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効率的な特殊設計! 築城時の情勢が伝わる赤穂城

赤穂城の三の丸大手門と三の丸大手隅櫓(やぐら)

日本の城を知り尽くした城郭ライター萩原さちこさんが、各地の城をめぐり、見どころや最新情報、ときにはグルメ情報もお伝えする連載「城旅へようこそ」。今回は兵庫県赤穂市の赤穂城です。「忠臣蔵」で知られる赤穂藩の城ですが、実は、ほかの城に類をみない独特の構造をしているのです。

【動画】赤穂城を訪ねて

「忠臣蔵」で知られる赤穂藩の城

赤穂城は、赤穂浪士による仇討ちを描いた「忠臣蔵」で知られる赤穂藩の城だ。1701(元禄14)年、3代藩主の浅野内匠頭(たくみのかみ)長矩(ながのり)は江戸城内で吉良上野介(こうずけのすけ)義央(よしひさ)に斬りかかる事件を起こし、5代将軍徳川綱吉の命で即日切腹。赤穂藩は領地没収の上、家名断絶。筆頭家老の大石内蔵助(くらのすけ)良雄(よしお)は城内で評定(ひょうじょう)の末に赤穂城を明け渡した。その後、浅野家のみ刑に処されたことを不服とした大石内蔵助以下家臣47人が吉良邸に討ち入った。

赤穂城を築いたのは、長矩の祖父にあたる初代赤穂藩主の浅野長直だ。1645(正保2)年に5万3500石で赤穂に入り、13年間を費やして1661(寛文元)年に完成させた。

築城時には海に面した海城 海上監視の潮見櫓も

赤穂城は、本丸のまわりを二の丸が囲み、その北側に三の丸が置かれる構造だ。熊見川(現在の千種川)が形成した三角州の先端にあり、かつては二の丸の南側半分と三の丸の西側が瀬戸内海に面した海城だった。二の丸南側の水手門には船着き場が設けられ、二の丸の東南隅には潮見櫓(やぐら)と呼ばれる海上監視を目的とした二重櫓も建っていた。門前には船着きの雁木(がんぎ)と波よけの突堤が城壁から突き出しており、発掘調査に基づき復元されている。水手門から荷揚げされた米などの物資は、門の内側にある米蔵・番所に収められていたという。

本丸の外堀
本丸の外堀

熊見川は現在より川幅がかなり広く、城の北側には熊見川を挟むように町家が並んで城下町を形成し、川沿いには藩の船入が置かれていた。赤穂城下町は熊見川河口を掌握する河川海上交通の拠点だったのだ。元禄期頃の絵図「播州赤穂城下図」に描かれた城下町の「御船入」は東西約100メートル、南北約60メートルの広さがあり、北側には雁木、船手奉行や水主、船頭の屋敷が描かれている。南側には随鴎寺(ずいおうじ)と遠林寺を置いて防御拠点としていたようだ。

城下町は、池田氏が整備した前身の城下町を基盤として、長直が大拡張。浅野氏断絶後に入った永井氏時代にもにぎわいをみせていたようだが、宝永3(1706)年に森氏が入ると2万石まで石高が減少したため家臣団も減り、侍屋敷の一部や埋め立てられた船入は田畑となったとみられている。

城下町の船入
城下町の船入

甲州流軍学に基づく縄張 くまなく側面攻撃可能

赤穂城の最大の特徴は、小幡景憲(かげのり)が開いた甲州流(武田流)軍学に基づくとされる縄張(設計)だ。全国のほかの城には見られない、くまなく側面から攻撃できる工夫が見どころとなっている。星形ではなく発想も異なるが、どこか五稜郭(北海道函館市)を彷彿(ほうふつ)させる。塁線がカクカクと折れ曲がるいびつな多角形をしており、敵に対して多方向から射撃できる。

復元された厩口門
復元された厩口(うまやぐち)門

複雑に折れ曲がる城壁や堀に注目すれば、出っ張り(横矢出隅)や凹み(横矢入隅)などを巧みに取り入れているのがわかるだろう。たとえば本丸西側の城壁は途中大きく屈折して、屏風(びょうぶ)折れのようになっている。幾重にも折り曲げることで執拗(しつよう)な射撃を可能にしているのだ。

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