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永遠の恋人、悠遠の山脈、要塞の村々……スペイン・アラゴン州はいざなう

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「テルエルの恋人」のミイラが眠る石棺。2人の手は触れていないが、床の影はつながれて見える。この世で結ばれなかった悲恋©Fundación Amantes de Teruel

「時代」に迷い込む絶景、アラゴンの「美しき村」

テルエル県のアルバラシン村©スペイン政府観光局
テルエル県のアルバラシン村©スペイン政府観光局

切り立った岩山と川に囲まれた村が、赤く輝き始めた。アラゴン州南部のテルエル近郊のアルバラシン村。この地の土は鉄分を多く含み、外壁はもともと赤茶けて見える。それが夕日に照らされ、さらに赤っぽさが増す。中世にタイムスリップしたかのような街並みを眺めていると、ヨーロッパであってヨーロッパでないような「異邦」を感じる。

「エキゾチック」とは少し違った雰囲気だ。それはこの村が、戦の世に築かれた要塞だからかもしれない。「イスラム」と「キリスト」がせめぎあうレコンキスタの時代、スペイン各地にこうした村々が築かれた。「隠れ里」のような地で身を寄せ合い、外部の者を拒むかのような城壁。妖しく光るアルバラシンを眺め、しばし言葉を失った。

アルバラシンは、各地の田舎町の街並みや伝統、景観を保全する協会によって認定された「スペインで最も美しい村」の一つ。人口1.5万人以下、特筆すべき自然や文化、車両の出入り制限、観光サービスがあることなどが認定基準だ。国内に約100の認定村があるが、それらを代表する三つの村がアラゴン州にある。近年訪問者が増え、すばらしい眺めが、SNSなどによって広く知られている。

アルバラシンの街並み。狭い傾斜地のため、建物は上へ上へ延びるように立ち並ぶ©スペイン政府観光局
アルバラシンの街並み。狭い傾斜地のため、建物は上へ上へ延びるように立ち並ぶ©スペイン政府観光局

北部のウエスカ県に移ろう。ピレネーの山あいに、有名な二つの「美しい村」がある。

ウエスカ県のアインサ村©スペイン政府観光局
ウエスカ県のアインサ村©スペイン政府観光局

アインサは、対イスラムの砦として築かれたキリスト教の村だ。教会や広場、城壁に加え、伝統家屋が立ち並び、展望台もある。キリスト教建築に特徴的な切り石が目立つ。

アインサ村の街並み©アラゴン州政府観光局
アインサ村の街並み©アラゴン州政府観光局

アインサから南に直線距離で約22キロ。こちらのアルケサルは、イスラムの砦として、北のアインサと対峙(たいじ)していた。

ウエスカ県のアルケサル村©スペイン政府観光局
ウエスカ県のアルケサル村©スペイン政府観光局

天空の城のような村に張り巡らされた無数の路地に入り込むと、ここに積もり重なった「時代」に迷い込んでいくようだ。そして、土地の石材や粘土を使った建物群は、自然と調和したたたずまいを作り出している。こうした「美しい村」は観光施設ではなく、当たり前に住民がいて、日常の暮らしが営まれている。

道路の真ん中に家屋が©アラゴン州政府観光局
道路の真ん中に家屋が©アラゴン州政府観光局
イスラム建築に特徴的な瓦やれんがが多用されたアルケサルの建物©スペイン政府観光局
イスラム建築に特徴的な瓦やれんがが多用されたアルケサルの建物©スペイン政府観光局

人気が出ている「美しい村」だが、要塞だった性格上、公共交通は不便なところもある。旅行会社の探訪ツアー利用や専用車手配も考えたい。また、小さな村の駐車場は狭く、村へ向かう道も渋滞する。7月中旬から8月いっぱいのバカンス期間、復活祭前のセマナ・サンタ(聖週間)の休日期間(3~4月)などのハイシーズンは避けたい。5、6、9、10月の暑すぎず天気のよい時期がおすすめだ。

スペインの「源流」アラゴン

アラゴン州は、首都マドリードと第2の都市バルセロナのほぼ中間に位置する。州都サラゴサは人口67.5万人で国内5位の人口規模だが、多くの海外観光客が高速列車AVEでマドリードとバルセロナを移動することもあり、ともすれば通過されがちだ。しかし、アラゴンは、これまで紹介してきたように、スペインがスペインたる証しのようなスポットや風景が集まっている。

州都サラゴサは、カスティージャ王国(1035-1715年)とともにスペインの基礎となったアラゴン王国(1035-1715年)の古都として知られる。広い盆地にあり、市を貫くように、エブロ川がとうとうと流れる。

市中心部のエブロ河畔に、二つの大聖堂が立ち並ぶ。ピラール大聖堂と、エル・サルバドール大聖堂だ。国内には、旧大聖堂(宗教的に大聖堂として機能していない)と新大聖堂を持つ街は多くあるが、宗教的に機能している大聖堂が二つある街はここだけ。ローマ・カトリックの世界で、サラゴサは特殊な位置にあるのだ。

ピラール大聖堂©アラゴン州政府観光局
ピラール大聖堂©アラゴン州政府観光局
エル・サルバドール大聖堂©アラゴン州政府観光局
エル・サルバドール大聖堂©アラゴン州政府観光局

エル・サルバドール大聖堂はもともとイスラム教のモスクだったが、サラゴサの国土回復運動後、サラゴサにおける最初のキリスト教寺院となった。一方、ピラール大聖堂は聖母マリア信仰の中心地として知名度と信者の支持を誇っていた。司教座(司教のいす)をどちらに置くかを巡り争いは続いたが、1676年にローマ教皇が「大勅令」を発し、二つの教会が大聖堂として認められた。大勅令は今も有効で、毎年4月1日、参事会(聖職者の合議体)の引っ越しが行われ、司教座が1年おきに二つの大聖堂を行き来する珍しい慣習がある。

スペインの精神的支柱であるカトリック。カトリック信者が多いラテン系の国々に特徴的な祭礼「ヒガンテスとカベスードス(巨人と大頭)」が、サラゴサでも毎年10月の「ピラール祭」で見られる。街中をパレードする9体の巨人像の姿はおなじみだ。女王、中国人(アジアの象徴)、黒人(アフリカの象徴)、ドン・キホーテや公爵など、歴史的にサラゴサやスペインにゆかりの人物がずらりと並ぶ。

ピラール祭の「ヒガンテスとカベスードス」©Zaragoza Tourist Board
ピラール祭の「ヒガンテスとカベスードス」©Zaragoza Tourist Board

アラゴン王国のフェルナンド国王と、カスティージャ王国のイサベル女王が結婚したのは1469年。1479年にはアラゴン王国とカスティージャ=レオン王国の同君連合が作られ、スペインの原型となるスペイン王国が成立した。1492年にはイベリア半島に最後まで残ったイスラム王朝のグラナダ王国も征服され、長いレコンキスタの時代は終わる。同年にはコロンブスが「新大陸」に上陸した。そんなスペインの原型となったアラゴン王国の赤黄縦じま紋章は、現在のスペインの国旗の黄帯上にある盾の左下に使われている。

スペイン国旗。アラゴン王国の赤黄縦じま紋章が、盾の左下に使われている
スペイン国旗。アラゴン王国の赤黄縦じま紋章が、盾の左下に使われている

今回紹介した州都サラゴサ以外のスポットは、主要都市からは交通が不便なところも多い。しかしそれらは「行きにくいけれど、行ってほしい」おすすめの場所。通り一遍のヨーロッパ旅行やスペイン旅行ではなく、「スペインの源流」を感じる一歩先の旅は、大きな感動を与えてくれるはずだ。そんな宝物が、アラゴン州にはちりばめられている。

永遠の恋人、悠遠の山脈、要塞の村々……スペイン・アラゴン州はいざなう

「#もっとスペイン!」関連記事はこちら 

【取材協力】
■旅行会社 エン・デスティーノ社(ウエスカ市)・細川桜 https://endestino.jp/
■スペイン政府観光局 アラゴン州の観光情報や旅のアドバイスはこちら

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