「団長おつかれさま」。野球好き家族の要の妻へ

読者のみなさまから寄せられたエピソードの中から、毎週ひとつの「物語」を、フラワーアーティストの東信さんが花束で表現する連載です。あなたの「物語」も、世界でひとつだけの花束にしませんか? エピソードのご応募はこちら。
〈依頼人プロフィール〉
佐々木一真さん 37歳 男性
看護師
埼玉県在住
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我が家は、この春中3になった長男と、中1で双子の長女と次女の5人家族です。私は学生時代に野球部だったほか、妻は大の巨人ファン。今も巨人の試合は欠かさずテレビ観戦する、ビールと巨人が大好きな、おおらかで人に好かれるキャラクターです。
そんな野球好きな家庭に生まれた長男は、小学2年生になるとすぐに地域の野球チームに入りました。お兄ちゃんの練習に保育園のときからついていき、グラウンドの片隅で砂遊びなどをしていたのが、双子の長女と次女です。
そんな娘たちも小学校に入るとすぐに野球チームに入りたいと言うようになり、6年生になるまで一度もやめたいと言わず、男女混合チームで熱心に野球に打ち込んでくれました。子どもたちが野球に夢中になることは、長年の野球ファンである私も妻も大歓迎。ただし、子どもたちをサポートする妻の負担は日に日に増えていきました。
例えば、泥だらけのユニホームは手洗いしてから洗濯機で洗濯する。おかげで子どもたちのユニホームはいつも白く輝いていました。そのユニホームの洗濯も、長男だけのときは1枚だったものが、長女と次女が参加するようになって一気に3枚に。朝早起きしては、おにぎりを作ってお弁当や水筒の準備をしたり、寝ぼけて二度寝してしまった娘をまた起こしにいったり、毎日朝は大忙しでした。
私も背番号をもらってコーチをして、送り迎えなどできるかぎりのことはしましたが、看護師という仕事は時間が不規則。夜中に呼び出されることもあります。フルタイムで就労移行支援の社会福祉・雇用の仕事をしている妻は、土日は野球と休みなく頑張ってくれました。
子どもたちの野球チームは毎年6年生になる子の親が団長をやる伝統がありますが、双子が6年生のときには妻が団長に選ばれ、さらに忙しくなりました。そこへやってきたのがコロナ禍です。練習の連絡や合宿の調整、練習場所の変更や確保やらに新たに対応しなければならず、妻はさらに忙しく動いていました。
コロナ禍が始まってからは、私の仕事もますます時間が不規則になりました。家族全員で食べるようにしていた夕食にも帰宅が間に合わず、家族とは朝しか顔を合わせない日が続きました。そんなときも妻はいつも笑顔で、子どもたちの洗濯、送り迎え、お弁当、そして団長まで、務め上げてくれました。
この春の卒団式で、妻も団長を卒業、双子の長女・次女も少年野球を卒業しました。長男はすでに中学生の野球チームで活躍していて、長女と次女も中学生になり、女子野球チームに入団して楽しく続けています。
先日も双子のひとりは、6年にわたる野球チームでの活動を振り返って、「私強くなったと思う」と感慨深げ。子どもが野球を好きになったことから始まって、野球を通していろんなことを学び、成長できたのも、すべて妻のおかげと心から感謝しています。
そこで、私と子どもたちから、「団長おつかれさま」という思いと、これまでサポートしてくれたことへの感謝を形にして、お花を贈っていただければと応募しました。これからも家族みんなで野球観戦に行ったりしようね。ユニホームの洗濯やお弁当作りは大変だけど、もうひと頑張り。これからも一緒にやっていきましょう!

花束をつくった東さんのコメント
周りを囲んだグリーンのボールのような植物は、グリーントリュフとも呼ばれるナデシコ。花が咲かないタイプです。一方、真ん中に入っているのは、フリージア。今はまだつぼみですが、やがて白い花が咲いて白とグリーンがすがすがしいアレンジに変化していくはずです。
グリーンと白をテーマにしたアレンジ。何かを思い出しませんか? そうです。野球場の芝生をイメージして作りました。
お子さんたちの野球を支えてきた奥さまの、アクティブなイメージにも重なります。ご家族みなさんでお花を囲んでこれまでの日々を思い出して、おしゃべりが弾むとうれしいです。




文:福光恵
写真:椎木俊介
こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。花を贈りたい人とのエピソードと、贈りたい理由をお寄せください。毎週ひとつの物語を選んで、東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介させていただきます。
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