小さなフードコートの人気者、無水チキンカレー 「Curry House 咖喱座」(東京・三軒茶屋)

昨年4月、コロナ禍の真っただ中に三軒茶屋駅から徒歩4分ほどのビルの中にある「FORT MARKET(フォートマーケット)」にオープンした「Curry House 咖喱(カリー)座」。フォートマーケットは、3店舗分のキッチンスペースと24席のイートインスペースを持つ、小さなフードコートのような空間で、私が訪れた日はほとんどが咖喱座の客で、人気のほどがうかがえた。
看板メニューは、水を使わずにチキンを軟らかく煮込み、スパイスと野菜のみで作ったカレーペーストと合わせた「パキスタンカレー」(無水チキンカレー)。店主の山崎亮さんが好きだった横浜・白楽の「サリサリカリー」のパキスタンカレーに触発されたものだ。崩れるまで煮込まれたチキンが主役で汁気はほとんどない。口に含むと甘みとうまみが先行し、食べ進むうちに辛さが追ってくる。

今回は「パキスタン」と「ポークビンダルー」とのあいがけ(1300円、以下税込み)と、パキスタンカレー、「ラムカレー」、「ほうれん草カレー」の3種あいがけ(1800円)を注文。そのどれもがメインのパキスタンカレーに負けず劣らずのクオリティーの高さだ。ポークビンダルーは、酸味と辛みがうまく混ざり合っていてイメージ通り。ラムカレーは北インド風。羊特有の臭みはまったくなく、サラッとしていて食べやすい。

ぐつぐつと煮立った鉄鍋に入れられて運ばれる「ほうれん草カレー」がまた秀逸。たっぷりのホウレンソウに、スパイスと生クリームを合わせて、カシューナッツで濃厚なコクを出す。クリーミーで滑らかな口当たりと、ホウレンソウのほのかな苦みのバランスが抜群だ。生クリームを使っているが、ライスとの相性も悪くない。カレーに合わせる米は、あきたこまち一筋。国際色豊かなカレーたちを、ライスに合うように意識しながら、日本人好みに仕上げている。

山崎さんは、以前はヘアアクセサリーの製作をしていたといい、アパレル業界からの転身だ。修業と呼べるようなこともせず、まずはシェアキッチンからと気軽に始めた店だが、人気も上々で、近日中に駒沢公園の近くに自身の店をオープン予定だそう。
カレーとアクセサリーは、まったく異なる仕事のようだが、さまざまな素材の組み合わせで味わいが変わるところは共通するという。いろいろと素材を研究して、掛け合わせて何かを作り上げる作業がすごく性に合っているのだそうだ。これ一本で勝負といった強烈さはないが、どれもおいしくて、また食べたくなるような中毒性がある。今日はパキスタン風、今日はカシミール風とその日の気分でチョイスしても外すことがない。

Curry House 咖喱座
東京都世田谷区三軒茶屋2-11-24 サンタワーズA 2F
090-6140-7315
https://www.instagram.com/curry_za/
料理もおしゃれも足し引きのセンスがいりますよね。
カレーは特にバラエティに富んでいるので難しそうです(^^;;
まさに口福!ビジュアルだけで美味しさが伝わってきます。糸のようにほぐれたチキン、ほうれん草カレーに身をゆだねるゆで卵、これぞ私の一目惚れカレーです。