会議のチカラ
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部長の手帳は会議でびっしり 「アリバイ会議」の弊害

変化の激しい時代、仕事の価値を高める会議を実現するには、どうすればいいのでしょうか。「気楽にまじめな話をする」というのがコンセプトの「オフサイトミーティングⓇ」を通して、800社を超える企業の組織風土改革を進めてきたスコラ・コンサルトのメンバーに「会議のチカラ」を最大限発揮するために必要な知恵や考え方をわかりやすく伝授してもらいます。

「アリバイ会議というのがあるんですよ。レベルゼロの会議ともいうんですがね」。スコラ・コンサルトの高木穣(ゆたか)さんが、教えてくれた。私自身、これまでの会社人生、「早く終わらないかな」と願う会議に遭遇することがあった。しかし、その会議がなぜ、退屈で重要だとは感じられないのか、ということを突き詰めて考えることはなかった。今回は会議のレベルについて考えます。

まずは、スコラ・コンサルトの支援先の実例を見てみよう。いつも部長が「忙しい」と訴えている会社があった。手帳を実際に見せてもらうと、1週間のスケジュールは、ほとんど会議で埋まっている。役員との会議、部下である課長との会議、部門を横断した会議、取引先との会議……。びっしりと手帳は埋まっていて、まるで人気タレントのような過密なスケジュールだった。

部長の手帳は会議でびっしり 「アリバイ会議」の弊害
仕事の時間が無駄な会議に奪われてしまう。そんな悪循環に陥っていないか 写真=conceptualmotion/Getty Images

「どんな会議をしているのですか」と聞くと、「社内の会議は、担当者が順番に資料を読み上げていくので、それを聞いているだけです」とのこと。日中は会議に時間がとられてしまうため、どうしても仕事は夜にやることになって、上司も部下も残業が増えてしまう。

会議はたくさんあるのに肝心の情報伝達はうまくいっていない。報告を受けた部長一人では、取引先からの細かい質問にはうまく答えられないため、取引先との会議には、複数の部下を同席させなければならない。

みんなに念押しをするための不毛な「レベルゼロの会議」

高木さんによると、レベルゼロの会議とは、「みなさんに伝えましたからね」という念押しをするための会議のこと。「アリバイ会議」ともいう。ポイントは参加者の多くが「実際に情報が伝わっているかどうか、というのはどうでもいい」と本音では思っていることだ。伝える側も、伝えられる側も「知っていることになっている状態」を目指している会議のことだ。

もう少しくわしく高木さんに説明してもらった。「レベルゼロの会議は、主催者側からみると、メールのCc欄にできるだけ大勢の関係者を書き込んでおいて、『みなさんに伝えましたからね』と念を押しているつもりになっているような会議です。一方で、Cc欄で情報を受け取った側は、ほとんどがメールの内容を読んでいない。そんな状態の会議です」

部長の手帳は会議でびっしり 「アリバイ会議」の弊害
「知っていることになっている状態」をつくるのがレベルゼロの会議 写真=
eugenesergeev/Getty Images

部長が「会議でいつも忙しい」と訴えていた会社では、そんな「レベルゼロ」の会議が少なくなかったという。なぜ、その会社はそんな状況になったのか。背景のひとつには、会議に出席する管理職が本音では「自分にとっては聞く必要がほとんどない無駄な会議が多い」という自覚はあったものの、そこに参加しないと「仲間外れにされてしまう」という意識があったことだ。

「自分も我慢しているのに、なんであいつは出てこないんだ」

「自分も我慢しているのに、なんであいつは出てこない、と同僚から思われることに抵抗を感じている」。そんな管理職が多かったので、多くの人が「無駄な会議だ」と思いながらも出席していた。管理職が出るとなると、部下も同席する必要が出てくる。そんな流れで「レベルゼロ」の会議が量産される組織風土になっていた。

部長の手帳は会議でびっしり 「アリバイ会議」の弊害
漫然と会議を開き続けることは、貴重な仕事の時間を奪う 写真=BBuilder/Getty Images

変わるきっかけになったのは、コロナだった。「密を避けなければいけない」という目標が生まれ、会議の数を減らす必要に迫られたのだ。それまでは「たとえ報告を漫然と聞くだけであっても会議をやらないといけない」と信じていた人たちが、本当に必要な会議を選び、参加するようになった。必要でない会議は自然消滅していった。

さらに、スコラ・コンサルトが管理職を中心にオフサイトミーティングを2年ほど実施し、「仲間外れにされてしまう」という相互不信の壁を取り外したことで、部長間で「本当に会社の成長のためにやるべきこと」を本音で話せるようになったことが功を奏した。時には意見や感情がぶつかりあうこともあったが、本音の対話を通して、互いの信頼感が醸成されたのだ。

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