京都ゆるり休日さんぽ
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「この器で、また食べたい」 民芸×タイ料理のコラボ「コイコイ商店」

ゆらぎや気泡が味わい深い手吹きガラスや、素朴な料理も受けとめてくれる民芸のうつわ。初夏の食卓にぴったりなそれらを、タイ料理とともに楽しめる食堂が左京区・鹿ケ谷(ししがたに)にあります。今回訪ねた「コイコイ商店」は、民芸×タイ料理のスタイルで好評を得ていた西陣の店が、場所を新たに再スタートを切ったというもの。サブカルチャーの人気店が点在する左京区に、また一つ立ち寄りたい店が増えました。

暮らすように、小さな旅にでかけるように、自然体の京都を楽しむ。連載「京都ゆるり休日さんぽ」はそんな気持ちで、毎週金曜日に京都の素敵なスポットをご案内しています。

タイ料理ファンをうならせる味、西陣から新天地に

今年1月、西陣から鹿ケ谷に移転。営業はランチ(12~15時)、カフェ&ショップ(15~18時)、ディナー(18~21時L.O.)の3部制
今年1月、西陣から鹿ケ谷に移転。営業はランチ(12~15時)、カフェ&ショップ(15~18時)、ディナー(18~21時L.O.)の3部制

一面のガラス戸から庭木の緑がのぞく、広々と開放的な空間が「コイコイ商店」の新天地。レトロな居酒屋跡を利用した西陣の前店舗から、よりゆったりと時間を過ごすことができる場所に生まれ変わりました。

テーブルや椅子は「松本民芸家具」のものでそろえられ、落ち着いた雰囲気
テーブルや椅子は「松本民芸家具」のものでそろえられ、落ち着いた雰囲気

あめ色のテーブルや椅子、民芸の本がずらりと並んだ本棚、そして出番を待つおおらかな民芸のうつわに囲まれた店内は、どこかなつかしくほっとする雰囲気。ちらちらと目に入るタイの調味料やビール箱が、この店のアイデンティティーを物語ります。

「民芸も料理も、どちらも手仕事のもの。以前から民芸のうつわは好きで自宅でも使っていたんですが、やっぱり手料理に合うなと思って」

本棚には民芸関連の蔵書が並ぶ。飾られたピッチャーは「平安蚤(のみ)の市」で見つけた山陰地方の焼き物。船が描かれているが抽象画のような印象もある
本棚には民芸関連の蔵書が並ぶ。飾られたピッチャーは「平安蚤(のみ)の市」で見つけた山陰地方の焼き物。船が描かれているが抽象画のような印象もある

そう語るのは、店主の渡部裕太さん。「コイコイ商店」を始める前は、京都のタイ料理好きに熱烈なファンを持つタイレストランに勤務していました。惜しまれつつ閉店したその店の味を自分らしくブラッシュアップした料理は、かつての常連客はもちろん、初めて訪れる人からも評判に。かねて愛用していた日本の民芸のうつわと組み合わせることで、独自のスタイルを築きました。

タイ料理に「どこかなつかしい」民芸のスパイスを

カウンターにも民芸のうつわがどっさり。荷物置き用の箱はタイのお酒や食材が入っていたもの
カウンターにも民芸のうつわがどっさり。荷物置き用の箱はタイのお酒や食材が入っていたもの

人気のランチはメイン2種を選べ、ソムタムキャロット(にんじんのサラダ)やカイトゥン(タイ風茶わん蒸し)といったタイではおなじみの副菜、ドリンクが付く食べ応えのあるもの。この店の顔とも言えるパッタイ(焼きそば)は、桜エビやニラ、ナッツなどでうまみを引き出したシンプルな一品で、ナムプラー・酢・砂糖・唐辛子を自分で足して、好みの味に仕上げます。

「本日のランチセット」(1300円、税込み)。写真のメインはパッタイ。料理はもちろん、調味料類もすべて民芸のうつわに入れて
「本日のランチセット」(1300円、税込み)。写真のメインはパッタイ。料理はもちろん、調味料類もすべて民芸のうつわに入れて

料理とともに4種の調味料が出されるのは、タイの食堂ではお決まりのスタイル。生のもやしやレモンを添えるのも、タイを旅したことがある人なら「これこれ」とうなずきたくなります。それらが異国の印象ではなく、どこかなつかしく親しみやすい顔をしているのは、民芸のうつわの力でしょうか。

店主の渡部裕太さん。コロナ禍以前は毎年タイに足を運んでいたそう
店主の渡部裕太さん。コロナ禍以前は毎年タイに足を運んでいたそう

「民芸のうつわの『実演販売』のようなつもりでいます。料理が盛り付けられている様子を見て、うつわの良さや使い勝手を知っていただけたらな、って。実際に食事して、手にとって、気に入ったうつわは購入していただくことができます」(渡部さん)

渡部さんの出身地でもある大分の小鹿田(おんた)焼をはじめ、愛媛の砥部焼、福岡の風見窯、沖縄のやちむん(焼き物)などさまざまな民芸のうつわが並ぶ
渡部さんの出身地でもある大分の小鹿田(おんた)焼をはじめ、愛媛の砥部焼、福岡の風見窯、沖縄のやちむん(焼き物)などさまざまな民芸のうつわが並ぶ

使うほど、食べるほど、クセになる

店の奥の物販コーナーには、渡部さんが日本各地の窯元や職人を訪ね、仕入れた民芸の器が並びます。大分の小鹿田(おんた)焼や愛媛の砥部焼、吹きガラスなど、産地として歴史がありつつも、作り手は30〜40代の若手が中心。伝統に学びながら新しい民芸のかたちを表現していく職人に刺激を受け、「同世代で切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」と渡部さんは話します。

さまざまな吹きガラス作家のグラスや、伝統的な小鹿田焼の意匠をアレンジした坂本工窯のリムプレート、沖縄の北窯で修業し独立した中ノ畑窯(大阪)の蓋(ふた)物、鮮やかなあめ色が目を引く坂本浩二窯のカップなど
さまざまな吹きガラス作家のグラスや、伝統的な小鹿田焼の意匠をアレンジした坂本工窯のリムプレート、沖縄の北窯で修業し独立した中ノ畑窯(大阪)の蓋(ふた)物、鮮やかなあめ色が目を引く坂本浩二窯のカップなど

タイ料理と日本の民芸のうつわ。一見別々のもののようにも見えるこの二つは、実は多くの共通点を持っています。その土地の風土を映したものであること、おおらかで親しみやすいこと、使うほど・食べるほどにクセになること。「またあのうつわであのパッタイを食べたい」と記憶に残る味が、タイと日本、料理とうつわをゆるやかにつないでいます。

新しい取り組みとしてうつわなどをレンタルして使い心地を試せる「民芸のサブスク」(月1000円、1回3点まで)も行う。図書も貸し出し可能
新しい取り組みとしてうつわなどをレンタルして使い心地を試せる「民芸のサブスク」(月1000円、1回3点まで)も行う。図書も貸し出し可能

■ コイコイ商店 https://www.instagram.com/koikoi.syoten/

フォトギャラリー(クリックすると、写真を次々とご覧いただけます)

BOOK

「この器で、また食べたい」 民芸×タイ料理のコラボ「コイコイ商店」

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が2019年6月7日に出版されました。&Travelの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。税別1200円。

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