猫が教える、人間のトリセツ
連載をフォローする

猫に学べ。by サジとスプン(飼い主・三宅和歌子さん)

人間を思うがままに操る、飼い猫たちの実例集「猫が教える、人間のトリセツ」。
猫と暮らすニューヨーク」の筆者、仁平綾さんと、イラストレーターのPeter Arkle(ピーター・アークル)さんがお届けします。

猫と暮らすようになって変わったこと。たぶんどんな飼い主さんも、ひとつやふたつはあるはず。早起きになった、という私のような些細(ささい)な変化もあれば、保護猫のボランティアを始めたとか、ヴィーガンになったとか、大きな変化を経験する人もいる。猫の影響力って、計り知れないなあ。今回は、そんなことをあらためて実感する猫2匹の物語です。


「上下関係がなく、お互い好き勝手にしている。そういう猫と人間の大人な関係性が、心地いいんです」

そう話すのは、東京で2匹の保護猫、サジとスプンと暮らす、編集ライターの三宅和歌子(みやけ・わかこ)さん。これまで猫、犬、猿(!)と共に生活してきたけれど、「やっぱり猫派」なのだとか。 「犬のように精神的に頼ってこない。独立心があるのが猫のいいところ。もちろん、犬ならではのかわいさもあるんですけどね」

猫に学べ。by サジとスプン(飼い主・三宅和歌子さん)
サジ(左)とスプン(右)。寒い冬はぴったり寄り添う2匹

過去の猫歴から、甘えん坊なオス猫よりも、サバサバとしているメス希望。仕事で留守にすることが多いので、寂しくないよう2匹がいい。そんな条件で猫を探していたところ、保護猫ボランティアさんから紹介されたのが、多頭飼育崩壊からレスキューされた、姉妹猫だった。

どちらもキジトラ。生まれつき右目が見えないサジと、柄が少し黒っぽいスプン。生後6カ月のとき、三宅さんと夫が暮らす家へ迎え入れられた。

猫に学べ。by サジとスプン(飼い主・三宅和歌子さん)
サジの平和な寝姿。保護猫ボランティアさんたちの活動に感謝

過酷な環境で育ったであろう2匹だけれど、人に慣れていて、性格も穏やか。「抱っこOK。名前を呼べば来る。いたずらをしても、ダメ!って言えばやめる。聞き分けのいい2匹」と三宅さん。猫パンチやシャーといった飼い主への攻撃も皆無なのだとか。

「でも最近は、名前を読んでも耳を動かすだけだし、ダメ!って言うと、ますますやるように。私たちに気に入られようと、初めだけ猫をかぶっていたのかもしれないです(笑)」

わがままになってきた、そんな猫たちに向けられる三宅さんのまなざしは、どこまでも優しい。

「警戒心がとけて、私たちを信頼するようになったってことだと思うんです」

猫たちが、ようやく家族として認めてくれた気がする、と三宅さんはむしろ喜び、歓迎すらしているのだった。たぶん、猫の思うツボである。

猫に学べ。by サジとスプン(飼い主・三宅和歌子さん)
猫にとって花は、愛でるものではなく遊ぶもの。それが2匹によって実証された瞬間

そんな三宅さん、猫を迎えた当初から、「猫に学ぶ」と題して、インスタグラムに2匹の写真と、文章を投稿している。漫然と猫の写真を投稿するよりも、「なにか企画にしたらおもしろいはず」と考えシリーズ化(さすが編集者!)。「そのほうが自分のモチベーションも維持できるかなと思って」と三宅さん。

たとえばある日の「猫に学ぶ」は、ハンカチなどの小さな布を入れていたカゴを、猫たちに占領されてしまったという内容。自分の居場所は自分で見つける大切さを学んだと綴(つづ)っている。

猫に学べ。by サジとスプン(飼い主・三宅和歌子さん)
口角があがっている口もと、階段をおりる足音。「猫はすべてがかわいい」と三宅さん。御意

別の日には、夫とケンカ中に、猫たちが結婚式の写真を壁から落とそうとするシーンを投稿。思わず「やめて!」と声が出て、ケンカはそのまま終了。その日の学びは、“家族は仲良く”だ。

また別の日は、最近の2匹のお気に入りが夫のひざの上であることを「寂しい」と嘆きつつ、“除(の)け者にされても僻(ひが)まない”と、前向きな学びで締めくくられている。
なにげない日常のなかから見いだされる学びもさることながら、投稿から透けて見える三宅さんの、猫たちをつぶさに観察している姿も微笑(ほほえ)ましい。

猫に学べ。by サジとスプン(飼い主・三宅和歌子さん)
冷蔵庫のマグネットを落とそうとするスプン。やめてください

なかにはこんな「猫に学ぶ」もあって……

朝起きたら、トイレットペーパーがゾンビ状態に。犯人、慌ててます。
無限(じゃないけど)にクルクル出てくるんだもの、面白いよね。
学んだこと。『バスルームのドアはきちんと閉める』

猫に学べ。by サジとスプン(飼い主・三宅和歌子さん)
大惨事のバスルームで、現場をおさえられ慌てる犯人(サジ)

食事の時間と猫の興奮時間が重なってしまい、支度をしているテーブルに2匹がダイブ。
おしぼり入れにしていた北欧ヴィンテージの器が落ちて割れてしまいました。
-中略-
でも、きっとそろそろ物を整理してみては?という啓示だと思う。
学んだこと。『断捨離も必要』

猫に学べ。by サジとスプン(飼い主・三宅和歌子さん)
断捨離のタイミングは、ある日突然やってくるものなのだ……

スプンは構って欲しくなると声の限りに鳴き、猛アピールしてきます。
締め切りがせまっている時など正直「うるせー」と思うのですが、
仕方なく撫(な)でているうちに焦っていた心がほぐれてきて、
いつの間にか「ありがとう、スプン」という気持ちに。
-中略-
学んだこと。『急いては事を仕損じる』

猫に学べ。by サジとスプン(飼い主・三宅和歌子さん)
スプンは眠くなると、進んでベッドへ。ちなみに朝は4時から遊びます

ちょっと迷惑な猫たちのふるまいも、教えや戒めと受け止め、我が身を振り返って反省までしてしまう三宅さん。

「猫には悪気がないし、怒ってもしかたがない。だから猫のやることはなんでも許します。いらついちゃいけないんです。必ず学びがあるんですから」。もはや仏のようだ。

そんな三宅さんに、「夫に対しても同じ気持ちで接することができたらいいですよね」と返したところ、「それは無理ですね。だって夫はかわいくないから(笑)。猫は素直でかわいい」と手厳しい答え。仏の顔も猫まで。である。

猫に学べ。by サジとスプン(飼い主・三宅和歌子さん)
サジ、クッションの上に、ちんまり

では最後にもうひとつ、心にぐっとくる「猫に学ぶ」シリーズをどうぞ。

サジとスプンができないこと。
1. かわいくない声で鳴くこと。
2. かわいくない眠り方をすること。
3. かわいくない食べ方をすること。
4. かわいくない走り方をすること。
やっぱり猫だからできないこと、たくさんありますね。
学んだこと。『できなくていいこともある』

かわいい猫たちよ、今日も学びをありがとう。人間たちは、これからも精進いたします。

猫に学べ。by サジとスプン(飼い主・三宅和歌子さん)
「2匹のおかげで毎日なにかしら幸せを感じています」と三宅さん
猫に学べ。by サジとスプン(飼い主・三宅和歌子さん)
置物の猫姫さまとスプン。完璧なシンメトリー
猫に学べ。by サジとスプン(飼い主・三宅和歌子さん)
猫を飼うようになって「自分を必要としている。そういう猫たちの存在によって生かされていることに気づいた」と三宅さん
PROFILE
三宅和歌子

東京生まれ。出版社を経てフリーランスで編集&ライターとして雑誌を中心に活動。雑誌『アンド プレミアム』(マガジンハウス)に創刊時より、コントリビューティングエディターとしてかかわる。旅、カルチャー、ライフスタイルが主な分野。著書に『日本の伝統的織りもの、染めもの』(日東書院本社)。
Instagram:https://www.instagram.com/wakakomiyake/

 

REACTION

LIKE
連載をフォローする

SHARE

  • LINEでシェア

FOR YOU あなたにおすすめの記事

POPULAR 人気記事

※アクセスは過去7日間、LIKE、コメントは過去30日間で集計しています。

RECOMMEND おすすめの記事

&MEMBER限定の機能です

&MEMBERにご登録(無料)いただくと、気に入った記事に共感を示したり、コメントを書いたり、ブックマークしたりできます。こうしたアクションをする度にポイント「&MILE」がたまり、限定イベントやプレゼントの当選確率が上がります。

&MEMBERログイン

ID(メールアドレス)
パスワード

パスワードを忘れた方はこちら

&MEMBER登録はこちら

&MILEの加算アクション

  • &MEMBER新規登録:100マイル
  • 記事に「LIKE」を押す:10マイル
  • コメントの投稿:30マイル
  • 自分のコメントに「LIKE」がつく:10マイル
  • *今後、以下のアクションも追加していきます

  • 朝日新聞デジタル有料会員の継続:100マイル
  • ログインしてサイト訪問:10マイル
  • アンケート回答:30マイル
  • 「朝日新聞SHOP」での購入:50マイル
  • イベント申し込み:50マイル

&MILEの獲得数に応じてステージがあがり、ステージがあがるごとに
&MEMBER限定のイベントやプレゼントの当選確率が上がります。詳細はこちら