美しい5月に食べたくなる魚は? オーストリア、リヒテンシュタイン、ドイツ、ノルウェー

ヨーロッパを知り尽くした作家・写真家の相原恭子さんが、欧州の気候や風土に育まれ、長く愛されてきた食べ物や飲み物を紹介する連載「欧州おいしい旅」。今回は5月になると食べたくなる魚です。湖や川のほとりで味わいたいその淡水魚とは? 各地での味わいの違いは?
新緑が目に染みるような美しい季節になりました。日本に居ると、渓流を眺めながら鮎(あゆ)が食べたくなり、「目には青葉 山ほととぎす 初鰹(はつがつお)」(江戸時代の俳人、山口素堂の句)というように、鰹もおいしい時期ですね。
しかし、ヨーロッパに居ると新緑を眺めながら湖のほとりでマスが食べたくなります。味わいは、季節感や空気感、風景などと大きくかかわっていることを実感します。北ヨーロッパでは長い冬が過ぎて、ハイキングやカヌー、サイクリング、キャンプなどアウトドアを楽しむ季節です。また、淡水魚の禁漁期間が過ぎて、川や湖で釣りのシーズンも始まります。
澄み切ったアルトアウス湖とマス料理

オーストリアのアルトアウス湖で、鏡のように澄みわたった湖面に映し出される新緑。一枚の絵のようで、目を奪われます。

アルトアウス湖のほとりを散策して、湖畔(こはん)のレストランへ入りました。飾り気のないマス料理の一皿ですが、湖や森、林を吹き抜ける風に吹かれながらいただくと、素朴で新鮮なおいしさです。まさに季節を感じます。

アルトアウス湖はアルトアウスゼーという自治体にあり、自治体全体が空気が良いことで知られる保養地となっています。

人生には、こうしたくつろぎの時や語らいも大切ですね。
ドイツの大学都市テュービンゲンで

ドイツの大学都市テュービンゲン。ネッカー川に沿って散策したり、手こぎの舟・シュトッハーカーンで川を巡ったりすることができます。

河畔に揺れる柳などの新緑を眺めた後で味わうマス料理は、また格別な味わいです。薄切りアーモンドの香ばしさとともに、マスの皮も美味しくいただけます。新鮮なバターの味わいが料理全体を引きたてています。

ネッカー河畔にあるヘルダーリーンの塔です。詩人フリードリヒ・ヘルダーリーン(1770~1843)は、1807年から亡くなるまでこの塔に暮らしました。

ドイツのバーデン=バーデンにていただいたマス料理は、たっぷりのレモンの酸味がバターと溶け合って、爽やかな風味が楽しめました。
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美しい風景こそが、まさにお料理の「ベストソース」ですね。
綺麗な景色を見ながら食べることができるなんて素敵です!マスを丸ごと焼いたムニエルも豪華です!
マスとポテトとバター、アーモンド これは必須の取り合わせのようだけど 土地によってよりおいしくするさまざまな工夫が凝らされて、マス料理の写真に見惚れています。
そしておいしそうなお料理の紹介にとどまらず、その土地をめぐる多方面の紹介があって、いつもながらじっくり楽しんで読ませていただいてます!
ありがとう!!
2年前の春ドイツのドレスデンからオーストリア、チェコ、ハンガリー旅行がコロナでキャンセルになり、楽しみがなくなりました。春のヨーロッパ本当に大好きです‼️ノルウェーのマス、ニシン美味しかったです。春のやわらかな日差し綺麗に撮れていて癒されました。有り難うございます。これからも楽しみにしています。