“かっこいい”との付き合い方
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斎藤工「人間としての状態を良くしたい。“発酵”している人はかっこいい」

宮田浩史撮影

“発酵”と“腐敗”は紙一重――斎藤が考える「かっこよさ」 

スマートに生きてきた桧山は、妊娠を通してそれまでとは違う人間関係を築いていく。そのひとつが、弱さやつらさを吐露して相談し合う男性妊娠仲間たちとのつながりだ。この関係性の描き方は、本作の中で印象的に感じられる。

「彼らが共有するのは『腰が痛いんだよね』みたいな、健康の話なんです。ご高齢になると、お互いに健康に関する話題が多くなってきてそこでつながったりするといいますよね。桧山たちも、妊娠することでそういう苦労を共有してつながりあっていく。それまで桧山の周囲にあった形式的な交友関係とは違うものの大切さに、初めて気づくんです」

斎藤工「人間としての状態を良くしたい。“発酵”している人はかっこいい」
宮田浩史撮影

そうした関係の中核にいるのが、宮地(宇野祥平)だ。彼の存在も斎藤にとって大きかったという。

「桧山が求めているもの、つまり人間同士の信頼関係を一貫して持っていたのが、宇野祥平さんと山田真歩さん演じる夫婦とそのお子さんの家族だったんです。役の上で身近に接していた宇野さん演じる宮地さんのことを僕はかっこいいと思いました。宮地さん夫婦の心の在り方って、痛みを伴った優しさだったと思うんです。僕は今年『シン・ウルトラマン』という作品にも出ているんですが、そこでは『本当に強い人は痛みを知っている』というのがひとつのキーワードになっています。まさにそうだなと思うんですね」

斎藤工「人間としての状態を良くしたい。“発酵”している人はかっこいい」
宮田浩史撮影

自身は、役を離れた人間としての「格好良さ」をどうとらえているのだろうか。たずねてみると、「ちょっと前置きが長くなるんですけど……」と言いながら、意外な方向性の答えが返ってきた。

「コロナ禍になって以降、どうしたら人間の状態を良くできるか考えていたんですね。それでたどり着いたのが発酵食品だったんです。お味噌(みそ)やぬか漬け、酵母菌のジュースなどをよく摂(と)るようになりました。“発酵”と“腐敗”って、微生物が物質に働きかけているという意味で状態としては実はほぼ一緒なんですよ。でも“発酵”はほかの成分からうま味を引き出すのに対して、“腐敗”は中毒を引き起こす要因になる。これって人間にも言えるのかなと思っているんです。周りの人に対してどういう影響を及ぼすかによって、人も腐敗するか発酵するかの二択なんじゃないか、と思ったんです。腐敗すれば周りの人に害を与えるけれど、発酵していれば周りに良い影響をもたらすことができるかもしれない。僕がかっこいいと感じるのは、発酵しているほうの人ですね」

斎藤工「人間としての状態を良くしたい。“発酵”している人はかっこいい」
宮田浩史撮影

独特の「かっこよさ」観を語る斎藤は、“発酵”したかっこいい人間になるためにどんなことに取り組んでいるのか。

「こういうことはまず体内から始まると思っているので、自分の監督作の撮影現場の食事は、自然食の食堂の方と連携して、よりオーガニックなものを用意したりしています。食はクリエーティブに直接つながると思っているんですね。自分がライフワークにしているプロジェクトはいくつかあるんです。撮影現場に託児所を作っているのもそうだし、ミニシアターをサポートしたり……。それを言語化して『こんなことをやってます』と声高に言うことで腐敗する感じもして、難しいんですが、できることからやっています。人は気を抜くと腐敗していくと思うんです。だから腐敗の側に落ちないように、保てるように生きていきたいと思っています」

ジャケット、シャツ、パンツ(いずれもstein/carol️)、その他 スタイリスト私物

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PROFILE
斎藤工

さいとう・たくみ 俳優。1981年生まれ、東京都出身。2001年俳優デビュー。主な出演作に、ドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』『臨床犯罪学者 火村英生の推理』『漂着者』、映画『麻雀放浪記2020』など多数。主演映画『シン・ウルトラマン』が5月13日に公開。映画監督としても活動しており、長編作品『スイート・マイホーム』が2023年公開予定。

Netflixシリーズ『ヒヤマケンタロウの妊娠』

原作/坂井恵理 監督/箱田優子、菊地健雄 脚本/山田能龍、岨手由貴子、天野千尋 出演/斎藤工、上野樹里、筒井真理子、岩松了、高橋和也、宇野祥平、山田真歩、リリー・フランキーほか 企画・制作/テレビ東京 Netflixにて独占配信中

斎藤工「人間としての状態を良くしたい。“発酵”している人はかっこいい」
©坂井恵理・講談社/©️テレビ東京

<ストーリー>
男性が妊娠・出産するようになった世界。広告代理店の第一線で働く桧山健太郎(斎藤工)は、ある日自分が妊娠していることを知る。パートナーの瀬戸亜季(上野樹里)と共に、想定外の出来事に戸惑う二人。現代の妊娠・出産にまつわる多くの問題に直面しながらも、二人は「産むか、産まないか」の決断を迫られる。その決断の先にあるものとは――。

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