地酒と響き合うミシュランの美食 新潟・松之山「酒の宿 玉城屋」

ひとりでふらりとごほうびの旅に出かけたい時があります。誰にも気兼ねせず、ひとりで宿泊し、好きなだけ温泉につかり、美食と酒を満喫して、いい気分で過ごしたい。がんばった自分を癒やす、ごちそうの温泉旅へ出かけました。今回の宿は、新潟県十日町市の松之山温泉「酒の宿 玉城屋」。有馬(兵庫県)・草津(群馬県)と並んで日本三大薬湯のひとつといわれる温泉につかって疲れを解放し、ミシュランガイド新潟2020特別版で一つ星を獲得した、栗山昭シェフのフランス料理を新潟の日本酒と一緒に楽しみます。
【動画】残雪の日本三大薬湯・松之山温泉(新潟県十日町市)「酒の宿 玉城屋」
■連載「楽しいひとり温泉」は、国内外の温泉をめぐり、温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する筆者が、テーマごとにひとり温泉にぴったりなお宿を紹介します。
太古の海水が地圧で噴出する温泉

松之山温泉は温泉熱発電ができるほど高温の源泉で、1200万年以上前に地殻の隆起によって地中に閉じ込められた太古の海が年月を経て化石海水となり、マグマによって温められ、地圧によって噴出する「ジオプレッシャー型」と呼ばれる温泉です。まずは、空いているうちに大浴場へ。湯船のお湯は、やや熱め。かけ湯をたっぷりして体を慣らしてから、ざぶんとつかれば「くうぅう、きく~」と言いたくなるような重量感があります。

露天風呂はひんやりとした外気が心地よくて、ゆっくり入れる温度。泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物泉。化石海水を含む温泉特有の、ちょっと焦げたような芳しい香りがします。塩が肌表面を皮膜となっておおい、体の芯まで温まった熱が持続する温泉です。人間の体液よりも濃い高張性の温泉で、体に浸透するパワーを感じます。
露天風呂付きウォールアートの部屋

部屋は全8室で6室が温泉付き、純和風の落ち着いた雰囲気の部屋と、アートを意識したモダンな部屋があります。「虹」の部屋は、温泉露天風呂付きのアートルーム。地元の十日町などで行われている「大地の芸術祭」気分になれるウォールアートの部屋です。

深めで源泉がたっぷり注がれた部屋の露天風呂。これをずっとひとり占めできるのは、とても幸せです。成分の濃い温泉なので、短め入浴を数回。夕食前、寝る前、朝、最後に出発前と、存分に温泉を満喫しました。
地酒と料理が織りなす「里山キュイジーヌ」

「小さな湯宿の中にレストランが出現」と非日常が味わえるディナータイム。宿の4代目である山岸裕一さんが、ソムリエバッジを輝かせて迎えてくれます。山岸さんは、唎酒師(ききさけし)、酒匠(さかしょう)の認定資格ももち、世界唎酒師コンクールのファイナリストでもある酒のプロフェッショナル。壁全面にずらりと並ぶお酒。ワインもそろえていますが、この宿ならではの、新潟の日本酒と新潟食材のフランス料理の組み合わせを楽しまなければ。
せっかくの美食なので、一皿ごとに料理と合わせたお酒を出してくれるペアリングをぜひ楽しみたいけれど、実は、お酒があまり強くないので、たくさんは飲めそうにない。という悩みを解消してくれる「ひとくちペアリング」。料理ごとに7種類の日本酒を約30ミリリットルくらいの量でちょい飲みができて4000円です。玉城屋は酒の宿というだけあって、ペアリングもひとくちコースからたっぷり飲みたいのん兵衛コースまであるのです。

アミューズは、スモークした美雪鱒(ます)にわさび菜、チーズのシューの中は、レバームースとキウイ、ほろ苦いコクがおいしいイカ墨。ペアリングは、Kamosu mori という津南町の苗場酒造で造った宿オリジナルの日本酒に、村上市の冨士美園のほうじ茶の茶葉とハイビスカスを漬け込み、ガスを入れた「日本酒スパークリング」。日本酒のフルーティーな甘さとほうじ茶のスモーキーさがレバーやイカ墨とぴったりです。
- 1
- 2
新潟は食材そのものが美味しいですよね!
それがフレンチになるなんて…絶対に美味しい!!
そして、新潟は米が美味しいので、お酒🍶もいいですね!!