小川フミオのモーターカー
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鋭いダッシュ力 独自ハイブリッドシステムのスタイリッシュなクーペSUV ルノー「アルカナ」

車体色は白や黒が売れ線なんだろうが、オランジュバレンシア、いいかんじ、だと思う

ハイブリッド車は日本の専売特許ではない。たとえば、フランス。2022年5月26日に日本で発売のルノー「アルカナ」は、「日本のハイブリッドの弱点を克服した」とメーカーの鼻息の荒いモデルだ。

鋭いダッシュ力 独自ハイブリッドシステムのスタイリッシュなクーペSUV ルノー「アルカナ」
円弧を描いたようなルーフラインとショートデッキがクーペ的な印象

フランスというと、どんなイメージがあるだろうか。農業国として有名で、日本の約1.5倍の国土の半分が農業用地であり、カロリーベースでの食料自給率は日本の37パーセントに対して125パーセント(関東農政局のデータ)だそう。マリーヌ・ルペンもいるけれど、全体としては、のんびりした国というイメージか?

実は、工業の分野でも進んでいる。JALやANAが使うエアバスの母体はフランスの企業だし、化学をはじめ、原子力や武器などでも(歓迎できない分野だけど)高い開発力をもつ。自動車は、戦前から名車が多く生まれ、いまもルノー、プジョー、シトロエンといったブランドが強い国際競争力を有している。

ルノーは、たとえばハイブリッドを作っても、かなり凝っている。今回のアルカナはいい見本だ。ちょっと詳しいかたなら、日産自動車や三菱自動車とのシナジーを思い浮かべるだろう。だからアルカナがハイブリッドと聞いて、ああ、ノートやキックスと中身はおんなじか、と考えるひともいるのでは。しかし実はまったく独自なのだという。

鋭いダッシュ力 独自ハイブリッドシステムのスタイリッシュなクーペSUV ルノー「アルカナ」
R.S.ラインは太巻きのステアリングホイールや人工スウェードのシート地などスポーティな仕上げ

「高速走行時の燃費や快適性を考え、1.6リッターガソリンエンジンにモーターを組み合わせ、さらに、もうひとつモーターを使った効率のよい変速機を搭載しました。日本製のハイブリッドでは、市街地はよくても、高速に弱いので、そのネガをつぶすべく開発されたルノー独自のシステムを採用しています」

日本法人のルノー・ジャポンで技術を担当するひとが、私に、上記のように説明してくれた。システムの基本は、発進や加速時にモーターを使い、負荷が増えるとエンジンで走行。いわゆるストロングハイブリッドだ。

欧州では全体的にピュアEVへと流れが向いているなかで、「いまさらハイブリッドですか?」と思うかたもいるだろう。結局、充電設備を考えると、まだEVは完全ではない。むしろエンジンを使ってでも燃費をよくすることで、走行時のCO2排出量を抑えるのも、現時点では現実的な選択。これがルノーの考えという。

鋭いダッシュ力 独自ハイブリッドシステムのスタイリッシュなクーペSUV ルノー「アルカナ」
後席はヘッドルームもレッグルームも広々としている

ノートやキックスは、エンジンはモーターを回す駆動用バッテリーへの充電のために使われるだけ。そこが違う。かつ、アルカナがいわゆるシリーズハイブリッドといっても、プリウスやシビックと異なるのは、変速機を積極的に使う点。ドグトランスミッションなる変速機が注目点だ。

通常は、エンジンからの出力と変速機のギアをかみ合わせるときのショックをやわらげる機構(シンクロナイザーなど)を持つ。ギアを変えるときは、いってみれば、じわっと滑らせるように、両側のギアをかみ合わせていくのだ。

ドグミッションは出力軸とギアを直接ガツンッと噛み合わせる。エネルギーが無駄にならず、変速も速いので、F1や世界ラリー選手権の車両では「常識」だ。ただし、回転を合わせるなど習熟が必要で、プロのドライバー並みの技術でないと使いこなせない。ルノーではこれを電子制御にした。モーターを使い、ギアをうまく噛み合わせる。

はたして、オートマチックの感覚で操縦できる。ショックも感じられない。日本のハイブリッド車の多くと違うのは、瞬間的な加速にすぐれ、かつ高速での快適性と燃費のよさ。

鋭いダッシュ力 独自ハイブリッドシステムのスタイリッシュなクーペSUV ルノー「アルカナ」
荷室容量は480リッターで、フロアの下にもモノ入れがある

ドライブすると、ほんと、ダッシュが鋭い。ゆっくり走っているところから、アクセルペダルをばっと強く踏んだとき、瞬時という感じで加速するのは、他になかなかない気持ちよさだ。かつ、エンジンでの高速巡航は力強いし、意外なほど静か。エンジンのよさをちゃんと活かしている。

私は、日本で2020年に発売されたルーテシアや2021年発売のキャプチャーをふくめて、最近のルノーには感心している。操縦性と快適性が両立していて、製品の出来がいいからだ。アルカナも、日本車やドイツ車とまたちがう、「ふわり」とでも表現したくなる独自の乗り味。ここも、私が好きな点だ。

鋭いダッシュ力 独自ハイブリッドシステムのスタイリッシュなクーペSUV ルノー「アルカナ」
弧を描いたルーフラインが特徴的なスタイル

燃費はリッターあたり22.8キロ(WLTCモード)と発表されている。乗り心地も快適で、かつ2720ミリのホイールベースの前輪駆動なので、パッケージもよくて、後席は空間的余裕がたっぷりある。長距離旅行などにも向いている。やっぱり、いい意味で欧州的だ。

運転支援システムも充実。ストップ&ゴー機能つきアダプティブクルーズコントロール、車線中央維持支援機能、歩行者検知機能つきアクティブエマージェンシーブレーキ、360度カメラなど。このあたりは、日本メーカーとのシナジーをうまく活かしているんだろう。価格は429万円。安くはないけれど、満足度は高いと思う。

写真=筆者撮影

【スペックス】
車名 Renault Arkana R.S. Line E-Tech Hybrid
全長×全幅×全高 4570×1820×1580mm
1597cc4気筒ガソリンエンジン使用のシリーズハイブリッド 前輪駆動
最高出力69kW(エンジン)+36kW(モーター)
最大トルク148Nm(エンジン)+206Nm(モーター)
価格429万円

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