裏路地に、どっしり熟練の技 「スパイスバザール アチャカナ」(東京・西新宿)

熟練の味わい。まさにこの言葉に尽きる。東京・西新宿の古びた雑居ビルの半開きのシャッターをくぐり、3階に上がると、「スパイスバザール アチャカナ」の素晴らしいインドカレーランチが待っていた。2019年4月にオープンし、丸3年が過ぎたとはいえ、驚きの安定感。味はもちろん、店の雰囲気もサービスも好感度高し。

ランチタイムには、甘口、中辛、辛口の3種類のカレーがあり、1種類だと900円(以下税込み)、2種類は1000円、3種類は1100円。300円アップでチーズクルチャ+ミニライスに変更可能だ。メニューは、多少の重複はあるが、基本は日替わり。この日の辛口は、バイマックルー(コブミカンの葉)を使った「ポークバイマックルー」。タイカレーに使われるバイマックルー特有の風味がありながらも、クミンやカルダモンと調和して、しっかりとインドカレーに仕上げてある。

中辛の「チキンウプカレー」は、塩味とスパイスがいい感じに混ざり合い、甘口の「マスール豆と南瓜(カボチャ)のココナッツ」は、豆とカボチャ、ココナツのそれぞれの甘みによって優しい味わいに。どれも素材とスパイスの深みをなんともうまく引き出している。サラダもシャキシャキ野菜に手作りのドレッシングで抜かりなし。ニンジンとキュウリ、大根のアチャールは、黒ゴマの風味とレモンジンジャーの酸味で、箸休めというより、なくてはならない一品になっていた。

オーナーシェフの新直樹さんは、フレンチの料理学校を卒業後、就職活動の折に食べたインドカレーに魅了され、そのままインドカレー店に就職した。それがなんとあの「ダバ インディア」(八重洲)だった。ホール係をしながらシェフに作り方を教わり、どっぷりとカレーの世界にのめり込んだそう。その後、銀座の「グルガオン」などを経て、ダバ インディアの先輩に新しいカレー店を出すからと誘われたのが、多くのカレーファンを持つあの「カッチャル バッチャル」(大塚)だったそうだ。この経歴を聞けば、食べた瞬間の上質感も納得だ。
晴れてオープンした自身の店では、自分の目で物色して回りながら選んだ食材を使う。名店で学んだかいあって、スパイスの調合はお手の物。オイルは、サラダ油、ココナツオイル、インド産ゴマ油、マスタードオイルなどを縦横に使い分ける。ただ、マニアが好むような現地の味をとことん追求するというよりは、日本人の舌にも合うように工夫しているそう。

年季の入ったビルで、店のドアを開けるまではちょっとためらうが、店内はこぎれいで居心地もいい。ランチタイムは、オープン後すぐに満席になり、女性一人客やスーツ姿の人も多い。カレーの味はもちろんだが、サービスや接客も居心地の良さを意識しているそう。こんな熟練の技が光るカレー店が家の近くにあったら、毎週のように通ってしまいそうだ。

スパイスバザール アチャカナ
東京都新宿区西新宿7-12-23 松沢ビル3F
03-6883-3652
https://www.instagram.com/acha_kana/
このボリューム感でコスパもいいなんてすごい!
インドカレーはいろんな味を試したくなるので、3種類楽しめるのはいいですね^ ^