会議のチカラ
連載をフォローする

なぜ、ベテラン世代は自分たちの「武勇伝」を語りたがるのか

若者の話をじっくりと聴く習慣がない

50代のベテラン社員たちは、若者にはとにかくアドバイスをすることが親切だと思っている人が多く、若者の声をじっくり聴く習慣がないことが最大の問題だった。スコラ・コンサルトが提唱するオフサイトミーティング「参加者の心得」では、「相手に関心を持って話をじっくり聴く」ことが掲げられている。若手社員が話す内容を徹底して聴く。いかに心の底にある悩みを聞き出すか。高木さんは、「傾聴」を試してもらうようにベテラン世代にお願いをした。

なぜ、ベテラン世代は自分たちの「武勇伝」を語りたがるのか
©スコラ・コンサルト

最初のうちは、しばらく若者たちの話を黙って聞いていても、そのうち「傾聴」することを忘れてしまい、生き生きと自身の「武勇伝」を語り、アドバイスを始めてしまう人が大多数だった。オフサイトミーティングが終わると、「私のアドバイスはよかったでしょう」と満足顔で自慢した。

それでも、高木さんは信じ続けた。ベテラン世代が「若者の本当の気持ちや考えに向き合うために、耳を傾けよう」という気持ちになるのを待った。しばらくすると、ベテラン世代も自分たちが若者の発言の機会を奪っていることを自覚し始めた。次第に「アドバイス」をすることを我慢して、若者の話に耳を傾けるようになっていった。

あるとき、突然変化が起きた。若手社員の一人が「昔はどうだったんですか。教えてくれませんか」とたずねてきたのだ。若手社員に質問されてから話す「武勇伝」は、ベテラン世代が一方的に話すのとは違って、断然、若手社員の反応がよかった。

聴くことを学べば経験やスキルを伝えることができる

「聴くことを学ぶことによって、初めて経験やスキルを伝えることができることがよくわかった」。ベテラン世代の社員の一人は高木さんにしみじみと語った。

なぜ、ベテラン世代は自分たちの「武勇伝」を語りたがるのか
価値のある会議を支える大切な要素はまず「傾聴」することかもしれない 写真=Mykyta Dolmatovd/Getty Images

筆者はかつての取材でシニア世代からは「若手社員を飲みに誘ったら露骨に嫌な顔をされた。何を考えているのかよくわからない」といわれ、逆に若者世代からは「上司とどうやって話せばいいかわからない。ストレスはたまる一方です」と不満を聞いたことがある。

しかし、高木さんによると、それぞれが相手の声に耳を傾ける習慣を身につけることが、世代の壁を乗り越えるために有効だという。言いたい欲求を我慢して、まずは耳を傾ける。意義のある会議を支える大切な要素が「傾聴」であることは、間違いないと思う。

なぜ、ベテラン世代は自分たちの「武勇伝」を語りたがるのか
#
PROFILE
高木明子


新卒で小売業界に入り、販売と買い付けの現場で下積み。食品製造販売メーカーに転職し、販促企画を主に担当。製造部門と販売部門の連携が十分でないといい商品・サービスにつながらないことを実感し、各部門の責任者が一緒に考える場を設けることで、ロングセラー商品を開発。そのときの経験や気持ちを大切に現在は、スコラ・コンサルトで企業支援をしている。スコラ・コンサルト「対話普及チーム」のメンバー。気づかいと問題点の把握・アイデア発想が強み。

変化の激しい時代、仕事の価値を高める会議を実現するには、どうすればいいのでしょうか。「気楽にまじめな話をする」というのがコンセプトの「オフサイトミーティングⓇ」を通して、企業の組織風土改革を進めてきたスコラ・コンサルトのメンバーに「会議のチカラ」を最大限発揮するために必要な知恵や考え方をわかりやすく伝授してもらいます。

REACTION

LIKE
COMMENT
1
BOOKMARK

リアクションしてマイルをもらう

連載をフォローする

COMMENT

評価の高い順
コメントを書いてマイル獲得! みんなのコメントを見る

SHARE

  • LINEでシェア

FOR YOU あなたにおすすめの記事

POPULAR 人気記事

※アクセスは過去7日間、LIKE、コメントは過去30日間で集計しています。

RECOMMEND おすすめの記事

&MEMBER限定の機能です

&MEMBERにご登録(無料)いただくと、気に入った記事に共感を示したり、コメントを書いたり、ブックマークしたりできます。こうしたアクションをする度にポイント「&MILE」がたまり、限定イベントやプレゼントの当選確率が上がります。

&MEMBERログイン

ID(メールアドレス)
パスワード

パスワードを忘れた方はこちら

&MEMBER登録はこちら

&MILEの加算アクション

  • &MEMBER新規登録:100マイル
  • 記事に「LIKE」を押す:10マイル
  • コメントの投稿:30マイル
  • 自分のコメントに「LIKE」がつく:10マイル
  • *今後、以下のアクションも追加していきます

  • 朝日新聞デジタル有料会員の継続:100マイル
  • ログインしてサイト訪問:10マイル
  • アンケート回答:30マイル
  • 「朝日新聞SHOP」での購入:50マイル
  • イベント申し込み:50マイル

&MILEの獲得数に応じてステージがあがり、ステージがあがるごとに
&MEMBER限定のイベントやプレゼントの当選確率が上がります。詳細はこちら