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なぜ、ベテラン世代は自分たちの「武勇伝」を語りたがるのか

「オレの若いころはね、しゃかりきになって顧客の信頼を勝ち取ったものだよ」。ベテラン世代が若手社員につい語ってしまう若き日の武勇伝。愛社精神や厳しい競争を生き残ってきたという誇りは、かえって共感を得られず、若い世代からは冷めた目で見られてしまいがちです。

多くの会社で世代間の断絶が問題になっています。ベテラン世代と若手世代の価値観が違いすぎてうまく対話ができないなどが、その理由です。世代間の壁を乗り越えて価値を生み出す会議にたどりつくには、どうすればいいのでしょうか。 

なぜ、ベテラン世代は自分たちの「武勇伝」を語りたがるのか
世代間の断絶は、コミュニケーションやつながりを阻む壁になる 写真=Martin Barraud/Getty Images

若手社員が辞める流れを止めてほしい

スコラ・コンサルト「対話普及チーム」の高木明子(めいこ)さんは、ある企業から「スコラ・コンサルト流の『対話』を広めて、若手の離職が進む流れが止まるような組織風土を一緒に考えてほしい」という要望があり、まずは「離職の理由を調べてほしい」と依頼されたことがあった。

高木さんが会社を訪れてみると、役職定年をした50代の社員はやる気も元気もあるのに、若手社員の間には冷めた空気が漂っていた。

この会社の歩みを見てみると、ベテラン世代が入社したころは中堅企業だった。彼らには、「激しい競争を勝ち抜くために営業成績をあげて、会社を成長させてきた」という自負心がある。一方で、大企業になってから入った若手社員は「大企業の看板」「知名度」「ブランド力」に魅力を感じて入社してきた安定志向の人たちが多い。

ベテラン世代は成果をあげるためには「早出・残業・休日出勤」は当たり前という感覚。そんな「熱血」のベテランたちから発せられる空気や言葉が、若手社員たちの「そこまでやらないといけないのか。正しいやり方なのか」という反発を招いていた。高木さんがヒアリングを重ねると、仕事や働き方についての価値観の違いが壁になり、本音で話し合えないことが、若者の離職につながっていた。

開始30秒で武勇伝を語り始めるベテラン世代

この連載の2回目で紹介した「気楽でまじめな話をする会議=オフサイトミーティングⓇ」を開くことになった。若手が生き生きと働いていないことを危惧したベテランが主導する形で、若手社員と本音で対話する会を主催した。

ベテラン世代はオフサイトミーティングで「モヤモヤガタリ」というスコラ・コンサルトの手法を使うことにした。「モヤモヤガタリ」とは、日々の仕事の中で「問題に感じていること」「違和感や不安」「本当はこうしたいと思っていること」など、個人のかかえる未整理な気持ちを率直に話して、参加者の中にある問題意識を明確にしていく。

「モヤモヤガタリ」がスタートした。若手社員が話し始めて30秒ほどで、我慢できない50代の社員が口を挟んだ。「もうちょっと歯を食いしばって頑張ろうよ。そうすれば何とかなるよ」「僕が若かったころはね、営業を重ねてお客さんの心をつかんだよ」。かつての自分の成功体験を語り出すと、話が止まらない人たちが多かった。

なぜ、ベテラン世代は自分たちの「武勇伝」を語りたがるのか
他人の成功体験を聞くことは、時には聞き手にとっては「圧」になることもある 写真=Hisae Ina/Getty Images

若手の話を聞かずに、右肩上がりの時代の「武勇伝」を語り始めるベテラン世代。若者たちは「圧」を感じ、戸惑いを隠せない表情の人もいた。

「なんで途中から口を挟むんですか」。会議が終わったあとに、高木さんは口を挟んだ50代の社員たちに質問をした。

「自分も苦しい時期があった。若者のために良かれと思って発言した」「決してマウントを取ろうとしたわけではない」。ベテラン世代からは、そんな答えが返ってきた。高木さんは「悪気がある人は一人もいないんだな」と思った。一人ひとりに話を聞いてみると、「これまで会社にお世話になった。自分たちが培った経験やスキルを若い世代に伝えたい」という思いを共通に抱えていた。

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