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新型「レンジローバー」に試乗 「そぎ落とし」の美学が生んだ個性的なデザイン

サンフランシスコの市街地も似合う

ここまでぜいたくってすごいな。いたく感心させられたのが、2022年4月下旬にカリフォルニアで乗った新型「レンジローバー」。世の中にはプレミアムSUVってカテゴリーがあって、かなり人気が高いようだ。元祖のレンジローバーは、いま、第5世代。実車に接すると、独自性がしっかりある。

「競合が出てきたからモデルチェンジしたわけではないんです。顧客のために、あたらしい価値観を提示する時期だと思いました。それでも他と違っている個性が大事なので、デザインテーマはリダクション(そぎ落とし)です」

サンフランシスコ市内から北上したワインで有名なナパとソノマ周辺が、新型レンジローバーで走ったエリア。レンジローバーを手がける英国のランドローバー本社からやってきたチーフクリエイティブオフィサーなる肩書きのジェリー・マクガバン氏は、試乗会場で私に、上記のように語ってくれた。

新型「レンジローバー」に試乗 「そぎ落とし」の美学が生んだ個性的なデザイン
サンフランシスコの牧場の片隅を走ったときは、後輪操舵システムのおかげで小さなカーブでの取り回しがよかった

実際に、エクステリアは特徴的だ。卵を思わせるぐらい、つるんとしている。聞けば、1年ほどかけて、突起物を可能なかぎり削りとって、パネルとパネルのあいだのギャップを詰めていったんだとか。ドアを開けるときのハンドルも、ぱっと見、どこにあるかわからないほど。乗員が近づくと電動で出てくるという凝りかただ。

日本でこのクルマが発表された22年1月に見たときは、表面があまりにもなめらかなので違和感すらあった。ナパの太陽の下で実物を見ると、5メートルを超える威容とあいまって、存在感が強い。個性的で、好ましいと思えるようになった。

デザインコンセプトを実現するために、エンジニアはそうとう苦労したらしい。こういうこだわりがプレミアムカーには大事と言うマクガバン氏の言葉に、私も納得する。

新型「レンジローバー」に試乗 「そぎ落とし」の美学が生んだ個性的なデザイン
リアがすぼまったボートテイルというデザインテーマは先代から継承

もうひとつ驚かされたのは、インテリア。こここそ、冒頭に書いた「ぜいたく」という表現がぴったりの場所だ。素材、色づかい、それに全体の設計が、飛び抜けている。どうせ、やるならここまで徹底的にぜいたくさを追求したほうがいい、という見本でもある。

私が、ある区間、後席に乗せてもらったのは、ぜいたくさを堪能するのにふさわしいモデルだった。ロングホイールベース(標準ホイールベースという仕様もある、それでも長いけど)の「シグネチャースイート」なる仕様。

新型「レンジローバー」に試乗 「そぎ落とし」の美学が生んだ個性的なデザイン
後席がリクラインしてリラックスしていられるオプションも用意される

空間的余裕、(そのモデルは)オフホワイトとライトブラウンのコンビネーションの色づかい、なにからなにまで電動の快適性、高い静粛性、そしてシート。背もたれが40度リクライニングする。「後席に乗るエグゼクティブは仕事なんてしない、寝るんだ」という日本の大手自動車企業のトップの「名言」が頭に浮かんだ。

乗ったのは、4.4リッターV8搭載「P530」と、3リッター6気筒マイルドハイブリッドディーゼル「D300」。ともに日本に導入されるエンジンで、「P530」には、標準ホイールベースとロングホイールベースという二つの車台が用意される。

ついでに書いておくと、ロングホイールベース車には7人乗り仕様の設定も。3列シートはレンジローバー初という。北米ではとくに売れるのだ。

すこし遅れてプラグインハイブリッドモデルが登場し、2024年にはピュアEVも計画されている。どんなクルマになるんだろうか。

新型「レンジローバー」に試乗 「そぎ落とし」の美学が生んだ個性的なデザイン
「テールゲートスイート」というオプションは、ハッチゲートにシートが設けられ、腰かけながら音楽が楽しめる

ナパバレーのブドウ畑のなかをくねるように続く道を走っていると、独特の乗り味がだんだんからだになじんでくる。ぐいぐいと力強い加速感はV8モデルだが、6気筒ディーゼルはカーブでより軽快な身のこなしだ。

操縦感覚にも、個性がある。レンジローバーは、ドイツ車などと異なり、あえて車体をすこしロールさせ、ゆったりというかんじで動くのを特徴とする。エアサスペンションや数かずの電子制御技術を組み込んだ新型は、先代よりもハンドリングにしっかり感が出たものの、それでも他のクルマとは、(あえて)一線を画している。

新型「レンジローバー」に試乗 「そぎ落とし」の美学が生んだ個性的なデザイン
物理的なスイッチを減らしつつモニター位置も下げてシンプルさを強調したダッシュボード

レンジローバーでのドライブには、中毒性のようなものがあり、乗っているとたいへん気持ちよく感じられ、このクルマじゃないとイヤなんて気分すらでてくる。もとより私が重量級のクルマの乗り味を好んでいることもあり、2日に渡った試乗が終わるときには、幼児心理学いうところのアタッチメント(愛着)がどんどん強くなってしまった。

写真=Land Rover提供

【スペックス】
車名 Range Rover SV P530(LWB)
全長×全幅×全高 5252×2209×1870mm
4395ccV型8気筒ガソリン 全輪駆動
最高出力 390kW(530ps)@5500〜6000rpm
最大トルク 750Nm@1800〜4600rpm
価格2858万円

車名 Range Rover D300 MHEV
全長×全幅×全高 5052×2209×1870mm
2997cc 直列6気筒ディーゼル 全輪駆動
最高出力 221kW(300ps)@4000rpm
最大トルク 650Nm@1500〜2500rpm
価格1687万円

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