Lorenzo STYLE
連載をフォローする

43年前の前衛、再評価される 古典車コンクール「ヴィラ・デステ」

イタリア・コモ湖畔で開催された「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」。クラスGに参加した「ポルシェ959」(手前)は、29台のみ造られたシュポルト仕様

世界屈指の古典車コンクール「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」が、2022年5月21-22日にイタリア北部コモ湖畔で催された。今回は51台のヒストリックカーと7台のコンセプトカーが参加。そのなかの1台が示したものとは?

40年行方不明だったエンジン

昨2021年のヴィラ・デステは、イタリアの新型コロナウイルス規制に配慮したスペシャル・エディションとして10月に開催された。いっぽう今回は、2019年以来ようやく恒例の初夏に戻された。ただし前年に引き続き、一般公開日の復活は見送られ、出展者と審査員そしてゲストのみで行われた。

会場であるグランドホテル・ヴィラ・デステの強烈なジャスミンの香りと、真夏を思わせる日差しに目眩(めまい)さえ覚えながら庭園内を歩く。

7つのクラスには、それぞれ以下のように魅力的なタイトルがつけられていた。

A: アール・デコ時代と自動車デザイン
B: スーパーチャージャー付きメルセデス・ベンツ
C: (グランドホテル)ヴィラ・デステの150年
D: フェラーリの75年
E: “日曜日に勝ち、月曜日に売れ”
F: BMW「M」と、その祖先たち
G: 魔法の時速300キロメートルを追い求めたパイオニアたち

審査員団には今回、フィアットで1998年「ムルティプラ」や2007年「500」をデザインしたロベルト・ジョリートも加わった。

2022年のベスト・オブ・ショーに輝いたのは、上述のクラスAでウィナーになった1937年「ブガッティ57Sカブリオレ」だった。その形態は、当時フランスの車体製作者たちが競うように採り入れていたアール・ヌーヴォー風の曲線基調と一線を画した、鋭利ともとれるラインをもつ。過去のオーナーは10人で、そのうち1人である、米国ゼネラルモーターズ社の副社長によって、エンジンをパワフルな米国のビュイック製に換装されてしまった。だが近年、インターネット検索を含む丹念な捜索の末、オリジナル・エンジンの発見に成功し、40年ぶりに元に戻された。

43年前の前衛、再評価される 古典車コンクール「ヴィラ・デステ」
審査員団によるベスト・オブ・ショーに輝いた1937年「ブガッティ57S」。クラスA「アール・デコ時代と自動車デザイン」にエントリーした

“ソフィア・ローレンのメルセデス”も

クラスGは、会場であるグランドホテルが150年を迎えたことを記念するもので、時代ごとのゲストたちが横づけしたであろう車たちが参加した。ガルウィング・ドアをもつ1955年「メルセデス・ベンツ300SL」は古典車イベントの常連である。だが、今回スイスのオーナーが持ち込んだ車両は、当時イタリアの大物映画プロデューサー、カルロ・ポンティのプロダクションのもとにあった。そして、彼のパートナーであった俳優ソフィア・ローレンのピンナップ撮影のほか、彼女が参加したラリーにも用いられた。

43年前の前衛、再評価される 古典車コンクール「ヴィラ・デステ」
「ヴィラ・デステの150年」には、往年におけるグランドホテルのゲストたちを彷彿とさせるモデルが8台集った。これは、新車時代に俳優ソフィア・ローレンによって撮影に用いられた1955年「メルセデス・ベンツ300SL」

クラスE “日曜日に勝ち、月曜日に売れ” とは、週末のレースにおける好成績が、翌週の販売に直結していた時代、頻繁に用いられていたフレーズである。こちらの最古のモデルはまさにメーカーがコンペティションの結果で名を馳(は)せていたときを象徴する1954年「マセラティA6GCS MM」だった。また、同じクラスには、かつてル・マン24時間レース用に開発された1998年日産R390GT1もいた。見るからにレーシングカーの出(い)で立(た)ちだが、公道走行用の認証を取得済みで、現在はスイス在住の元F1ドライバー、エリック・コマスのもとにある。

43年前の前衛、再評価される 古典車コンクール「ヴィラ・デステ」
クラスE“日曜日に勝ち、月曜日に売れ”にエントリーした車両たち。奥から1964年「AC289コブラ」、1993年「フェラーリF40LM」、手前は1998年「日産R390GT1」

クラスFに参加した、1981年「BMW M1」に関しては、その数奇な運命をオーナーのハリー・ファン・デン・アンカー氏が話してくれた。

「この車はシチリア島で僅(わず)か6年前に発見されたものです」。初代オーナーは、このスーパースポーツカーの納車を見届けたものの、しばらくして不慮の死を遂げた。「以来35年、走行距離計は7329キロメートルで止まったまま、車庫で埃(ほこり)にまみれていました」。惰眠をむさぼっていた車の晴れ舞台である。

43年前の前衛、再評価される 古典車コンクール「ヴィラ・デステ」
クラスF「BMW『M』と、その祖先たち」で。35年の眠りから覚めた「BMW M1」とともにオランダから参加したハリー・ファン・デン・アンカー氏(右)と夫人
NEXT PAGE永遠のインパクト

REACTION

LIKE
COMMENT
0
連載をフォローする

SHARE

  • LINEでシェア

FOR YOU あなたにおすすめの記事

POPULAR 人気記事

※アクセスは過去7日間、LIKE、コメントは過去30日間で集計しています。

RECOMMEND おすすめの記事

&MEMBER限定の機能です

&MEMBERにご登録(無料)いただくと、気に入った記事に共感を示したり、コメントを書いたり、ブックマークしたりできます。こうしたアクションをする度にポイント「&MILE」がたまり、限定イベントやプレゼントの当選確率が上がります。

&MEMBERログイン

ID(メールアドレス)
パスワード

パスワードを忘れた方はこちら

&MEMBER登録はこちら

&MILEの加算アクション

  • &MEMBER新規登録:100マイル
  • 記事に「LIKE」を押す:10マイル
  • コメントの投稿:30マイル
  • 自分のコメントに「LIKE」がつく:10マイル
  • *今後、以下のアクションも追加していきます

  • 朝日新聞デジタル有料会員の継続:100マイル
  • ログインしてサイト訪問:10マイル
  • アンケート回答:30マイル
  • 「朝日新聞SHOP」での購入:50マイル
  • イベント申し込み:50マイル

&MILEの獲得数に応じてステージがあがり、ステージがあがるごとに
&MEMBER限定のイベントやプレゼントの当選確率が上がります。詳細はこちら