スリランカ 光の島の原石たち
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だれもがプリンセス ティアラは絶対落とさずに

写真家・石野明子さんが光の島・スリランカで見つけた、宝石のようにきらめく物語を、美しい写真と文章でつづる連載です。13回目となる今回は、ひときわ目をひく日本人の「ギャルサーファー」がいるという噂(うわさ)を聞きつけ、世界中からサーファーが集まる南部ウェリガマを訪ねました。「私たちはだれでもプリンセス」――。年齢を重ねても、「ギャル」が輝き続けていられるわけを考えました。

「ウェリガマに日本人のギャルサーファーがいるらしいよ」

こんな噂を小耳に挟んで、SNSを探ってみると……。

だれもがプリンセス ティアラは絶対落とさずに

いた。「ギャル」という言葉が、こんなにもピッタリくる人がいるだろうか。ハイライトが入った髪、全身日焼けをして、身にまとう服は常に布地の面積が小さめ。クリスマスにはミニスカートのサンタ姿で波乗りしている投稿があった。

「きっと若い人なんだろう、自分とは接点がなさそうだ」。その時は彼女のインスタグラムのアカウントをフォローするには至らなかった。

それでも、彼女の投稿は、SNSで流れてくるとスクロールする手が止まってしまう魅力があった。いつも堂々としていて、自分が好きだ!ということを決して隠さない。そしてある日の投稿で私と3歳しか違わないと知り、信じられず何回もその投稿を見直してしまった。

同じ年代でこんなにも世の中の「〜でなければならない」の呪縛から自由な人がいるだろうか。そしてまた、ある日の投稿で彼女が書いていた言葉に心をつかまれた。

「ティアラを落とさないよう、常に頭を高く、前を向いていること」

その彼女、中村瑠衣さん(39)に会いたくなり、スリランカ南部ウェリガマを訪れた。

だれもがプリンセス ティアラは絶対落とさずに

「やりたいことは成し遂げろ」という鬼軍曹の教え

ウェリガマは私が住むコロンボから列車で約4時間。良い波がくることで有名なビーチで、世界中からサーファーが波を求めて集まる。

「明子さーん!」。大きな声の日本語が聞こえて、振り向くとSNSの中の彼女がいた。

その日は黒いコットンのミニドレスで、彼女のアプリコットオレンジ色の肌にとても似合っていた。頬のそばかすがとても魅力的だ。日に焼けたっていいじゃないか!と彼女を目の前にすると思う。

自己紹介を互いに交わす。取材のアポを取るときから感じていたが、瑠衣さんは驚くほど礼儀正しい。

「親友がつけてくれた私のあだ名は『軍曹』なんです」

どういうこと? 見た目とのギャップに、私は吹き出してしまった。

だれもがプリンセス ティアラは絶対落とさずに

10代のころから日本を飛び出したい、と考えていた瑠衣さんは、高校生の間に日常会話はできる水準まで独学で英語を習得した。文化に興味があった中国に留学をしたかったが、母子家庭で母への負担を軽くしたいと考え、大学へ進学後、猛勉強し国費留学生の制度に挑んだ。

そして、見事にその資格を勝ち取った。「母はやりたいことは絶対に自力で成し遂げろ、と言う人で、私は鬼軍曹と呼んでいます」と大真面目な顔で話す。彼女の軍曹たるゆえんは、この目標達成まで絶対に怯(ひる)まないところなんだろう。

瑠衣さんの職歴は、なかなかにバラエティーに富んでいる。大学卒業後は香港に移り、芸能活動やジムインストラクター、健康惣菜のデリバリー会社の経営にと職種を変えた。しかし、瑠衣さんが好きだった人間味あふれる香港がだんだんと失われていくのを感じると、香港でのキャリアをスパッと裁ち切った。

自然に近いところに住みたいと思い立ち、タイのプーケット島に移住し、得意の語学を生かして不動産の営業をこなす。「一つのことに生涯をかけるのが良し」という呪縛もサラリとすり抜ける。

だれもがプリンセス ティアラは絶対落とさずに

「バラバラなんですが、その時その時に投げられたボールに対して私の心がやりたい!と言った時には、素直に従っています。自信がついてから、なんて言っていたら新しいことには挑戦できませんし、飛び込んだらあとは誠実に、そして必死に、できるまでやればいいだけのこと。そうしてきたから、すべての経験が糧になって今の私があります」

彼女にとって怖いことは、挑戦せずに後悔することだと言う。

「でも新しいことに挑戦するとき、新しいコミュニティに入るとき、受け入れてもらえるだろうかと、やっぱり緊張します」

だからこそのティアラの言葉だった。香港で芸能活動をしているときに、瑠衣さんはステージに出る直前、緊張で体がこわばってしまうことがあった。そんなときに、自分に「私はプリンセス」と言い聞かせていたという。

「私たちはだれでもプリンセスですから。どんな時も気高くいないといけません、自分のために」

NEXT PAGEサーフィンに没頭、コロナ禍でスリランカ移住を決意

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