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「漫画のためなら全部捨ててもいいや」一条ゆかりさんがつかんだ本当の幸せ

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(C)山田英博

『デザイナー』『砂の城』『有閑倶楽部』――と、50年以上にわたり数々の人気作品を手がけてきた漫画家の一条ゆかりさん。この6月、「金言集」と銘打った書籍『不倫、それは峠の茶屋に似ている たるんだ心に一喝!!  一条ゆかりの金言集』(集英社)を出版した。仕事、恋愛、美容、生き方に悩む女性たちに贈る、歯にきぬ着せぬ言葉の数々がぎゅぎゅっと凝縮した一冊。この本を通じ、後輩女性たちに伝えたいこととは? 

──サブタイトルにも「たるんだ心に一喝!!」とあるように、特に大人の女性には刺さりまくる珠玉の言葉が満載です。この本を手がけるきっかけは何だったのでしょうか? 読み手に伝えたいことは?

私がただペラペラとおしゃべりしていることを、長いこと一緒に仕事しているライターさんが「おもしろすぎる! 日めくりカレンダーにしましょう」と言い出したんです。一日一撃、毎日カレンダーをめくるたびに一発食らう。いいんじゃない?って思ったんだけど、その企画は残念ながら大人の事情でポシャっちゃった(笑)。

しばらくして、そのときのストックを40代、50代の女性がターゲットのウェブマガジン「OurAge」で毎週連載することに。おかげさまで連載がとても好評で、今回、一冊にまとめて出すことになったのです。

「漫画のためなら全部捨ててもいいや」一条ゆかりさんがつかんだ本当の幸せ

『不倫、それは峠の茶屋に似ている たるんだ心に一喝!!  一条ゆかりの金言集

“少女漫画界のレジェンド”一条ゆかりさんの大人向けエッセイ集。仕事、恋愛、美容、生き方……様々な状況で悩みを抱えがちな現代人に、人生を前向きに生きるための金言の数々をお届けします。特別描き下ろし『その後の有閑倶楽部』ショート漫画も収録。

著者:一条 ゆかり
1,760円(税込み)|集英社

日めくりカレンダーの企画から時間が経っていたんだけど、当時自分が言った言葉を改めて聞き返してみると、そうその通り、すばらしい! 私、そんなこと言った? なんて、改めて新鮮な気持ちで本にすることが出来ました。どうも私は20歳ぐらいから、性格も考え方も言ってることも、ほとんど変わってないみたい。ただ、「OurAge」の担当者から「打たれ弱い読者もいるので……」と、私としては普通にしゃべったことがずいぶんマイルドに変換されていて。強烈な一喝が、軽いシッペ程度になっちゃってますが。

これは本にも書いたんだけど、「私、打たれ弱いんですぅ」って言う人がよくいるけど、本当に打たれ弱い人はそういうことは言わないのよ。「打たれ嫌い」なだけ。攻撃されたくはない、でもかまってはほしい……というめんどくさい人種(笑)。とはいえ、連載が好評だったということは、私から一撃受けたいっていう人が多いのかしら? アントニオ猪木さんに闘魂注入してもらうみたいに(笑)。

40代、50代の女性って、「私たち、おばさんだわ」って思っていたら、「ちょっと待って、もうすぐおばあさんの域に入るかも!?」と気付き、慌てる世代。更年期の不調は出てくるし、子育てや介護の悩みもあるし、老後の不安も感じ始めるし……ってね。だから、「君たち、将来こんなに大変なことがあるから覚悟して頑張ってね」と、人生のちょっと先輩として喝!を入れて差し上げようと思いました。

「漫画のためなら全部捨ててもいいや」一条ゆかりさんがつかんだ本当の幸せ
(C)山田英博

憧れたのは「仕事にすべてをかけプライドを持って生きる女性」

──書籍では、自身の漫画作品について「テーマにしたのは、一貫して女性の自立」と書かれています。初期に手がけていた少女漫画では珍しいテーマだったのでは?

18歳でデビューし、私が漫画家としてのキャリアをスタートさせた1960年代末から70年代にかけては、まだまだ女性の地位が低く、男性と同じように仕事をしようと思ったらその倍、いえそれ以上頑張らないと認めてもらえなかったんですよ。私は自分の仕事にすべてをかけプライドを持って生きる女性に憧れていました。その思いから25歳で描いたのが『デザイナー』。1974年に「りぼん」で連載を始めました。

モデルからファッションデザイナーになる亜美と、やはりファッションデザイナーの母、麗香の物語。麗香は自分がファッション界の女王でいるために娘さえ利用するとんでもない母親だけど、仕事に関しては常にプライドを持っている。実はこの物語の本当の主人公は、麗香なんですよ。女性が仕事を貫くためには少々卑怯(ひきょう)なこともするし、ときには男を手玉にとらなければ自分の意見を通すことができない。あの頃はまだ女が生きづらい時代だったんです。

「漫画のためなら全部捨ててもいいや」一条ゆかりさんがつかんだ本当の幸せ

自分の存在価値をいつも探していた

──今から40年以上前に少女コミック誌の「りぼん」で連載していた、ということが驚きです。その後も時代に一石を投じる衝撃的な作品を手がけてきましたが、何が原動力だったのでしょうか?

私は漫画家を目指したときから「有名になりたい」とか「金持ちになりたい」とか考えたことはなかったんですね。少女漫画の「王道」を行く気もさらさらなくて、自分が好きなものを自分が好きなように表現したいだけだったんです。ただ、私の好みは変わってるし過激だから、メジャーの中ではきっと浮かばれないなとは思っていました。だったら少数のオタクな読者に引っかかって、いわば地下系アイドルのように細々と生きていければいいや(笑)。そんなふうに思ってたんです。

高校進学を前に漫画家になると決めましたが、そのときが一番悩みましたね。結局、進学校ではない高校に進んだのですが、それもこれも漫画を描く時間を確保するため。漫画のために学歴は捨てようと決心しました。それが人生最大の決断だったから、それ以降は悩んでも即決。離婚を決めたのだって5分かからなかったし(笑)。そうやって、私は自分のことは自分で決め、選び、生きてきたのです。

悩んでいるという女性を見ていてよく感じるのは、みんな「芯」となる覚悟がない。芯がないからゆらゆら揺れて、で、「どうしていいのかわかんない〜」って。私にはそれがわかんない〜(笑)。きっと、すべてを捨ててもこれだけは守りたいというものを人生で一回も持ったことがないんだろうな。

「漫画のためなら全部捨ててもいいや」一条ゆかりさんがつかんだ本当の幸せ
(C)山田英博

私は、自分が漫画家になるためだったら親の死に目に会えなくっても仕方ないとさえ思っていました。王道じゃないし売れるとも思ってなかったから、生活のためにバイトをせねばと思っていました。ちなみに、水商売ならスナックまで。客の横に座らなければダメな仕事ではなく、スナックでカウンター越し接客なら、ギリセーフと決めてました(笑)。

漫画のために捨てなければいけないものは全部捨てよう、漫画さえ捨てなければそれでいい――。16歳でそう覚悟して、そこから一切ブレなかったですね。漫画のためならなんでもする。極端に言えば命より漫画が大事と思っていました。この恐ろしいまでの漫画愛はなんだろう? そう考えたときに、気がついたんです。私は、自分の存在理由を幼いころからいつもいつも探していたんです。私が私を大好きでいるために必要な理由。自分の存在価値が欲しかったんです。

──幼いころから?

そう。6人きょうだいの末っ子で、家は貧乏でした。養子に出すという話もあったみたい。だから、親やきょうだいの機嫌を損ねないように気をつかい、勉強もしてお手伝いもして、いつも「いい子」を演じていました。でも、漫画が好きになって、好きで好きで描きたくて。母は古い考えの人で漫画のことをさげすんでいたので、「漫画なんて描いているから」と文句を言われないよう、もっともっといい子になろうと頑張りました。すべては漫画を描くために。何をおいても守りたい、大事にしたいもののためだったら人は強くなれますね。それを見つけられた人が勝ち組で、見つけられない人は、どれだけお金を手にしようと、人生においてはまだ“峠の茶屋”ですね(笑)。

私にとっては、それが漫画だった。漫画はお手軽な娯楽でありながら、人生で困ったときや失敗したときに、読んだ人を励ましたり考えるきっかけを提示したりもします。漫画が好きだったこともあるけれど、漫画を描くことで誰かの役に立つこともできたし、なにより私がこの世で生きていてもいいんだという存在価値になりました。大切な自己肯定グッズです。

「漫画のためなら全部捨ててもいいや」一条ゆかりさんがつかんだ本当の幸せ
(C)一条ゆかり/集英社

そういうことなので、私はずっと私のために漫画を描いてきました。私が描いたものを喜んでくれたらうれしいけど、だからと言って読者におもねる物語にしようなんて考えたことはなかったですね。でも、大きな連載はこれが最後になるだろうと思ったとき、今までずっと支えてくれた読者に最後のプレゼントをしたいと思うようになって……。

幸せを「他人が決める」か「自分が決める」か

──そうして手がけたのが『プライド』ですね。

はい。生まれも育ちも性格も対照的な二人の女性が、オペラの世界で懸命に生きていく、という物語。世の中にいる二つのタイプの女性を描こうと思いました。誰かに認められないと自分に存在価値がないと考える、漫画の中では「萌ちゃんタイプ」と、自分が自分を認めないと自分の存在価値がないという「史緒ちゃんタイプ」。日本の女性はこの二つのタイプに分けられると思っていて。つまり、幸せを「他人が決める」か「自分が決める」か。私は後者なんだけど、世間には圧倒的に前者のタイプが多いんです。でも、そういう人に限って「私って史緒ちゃんタイプなんです」とか言う。自分をわかってない!(笑)

どちらのタイプがいいとか悪いとか、どちらを選ぶのがいいとか、そういう話じゃないの。たいていは一人の中に両方の自分を持っていて、それがぐちゃぐちゃになり、だから悩むのです。女性の場合「仕事か子どもか、どちらを選んだらいいの?」とかね。どちらを選んでもいいんだけど、正しく自分と向き合えていないと、行ったり来たりするから迷っちゃう。対照的な二人の主人公の姿や生き方を作品を通じて見てもらうことで、読者が自分と向き合うヒントになったらいいな。そんな思いも込めて描きました。

本にも書いたのですが、本当の幸せは他人が与えてくれるのではなく、自分自身が納得できたか、満足できたかということでしか手に入れられないと私は思っています。そのためにも、自分が何で満足できるかを考え、自分と向き合わないと、今はよくても将来は寂しいものに……なるわよ!

「漫画のためなら全部捨ててもいいや」一条ゆかりさんがつかんだ本当の幸せ
(C)山田英博

──一撃がビシビシ刺さって、痛い(笑)。でも、自分ってどういうタイプなのか、わかるようなわからないような……。

なかなか他人は指摘してくれないから、自分で向き合うしかないんだけどね。たとえば、この本には私が見たり聞いたりしてきたいろんな女性が出てきます。「自分への気持ちを彼氏に確認したがる女」「ろくでなしは嫌い……でもなぜか付き合う羽目になる女」「アンチエイジングを『今さら手遅れ』と言い訳する女」「人から見たらいわゆる勝ち組なのに、いつも満足していなくて寂しい女」……などなど。それを読んでちょっと痛いと思ったりイラッと感じたりしたら、自分の中にそういう面があるのかも。

人間って、人から言われたくないところを突かれると自分を守るセンサーが働いてイラッとするものだから。自分の欠点、本質はその中にある。気づいたら治そうと努力してみる。この本をそんなふうに使ってもらってもいいかもしれないわね。

「一条ゆかり」からの解放

──連載作品は『プライド』が最後とのこと。本の中では「漫画道は卒業」と書かれていますね。

長年の過酷な漫画業で体がボロボロになったのもあるけど、単純に飽きちゃったのね(笑)。もう描きたいものが何も出てこない。何より、「一条ゆかり」から自分を解放したかった。今まで一条ゆかりが大事だったから、一条ゆかりに傷をつけないように本名の藤本典子を必死に律して生きてきたんです。でも、藤本典子の時間もまだたくさん残ってるから、そろそろ好きに生きてもいいかな、って。で、また描きたいネタが出てきたら描けばいいや。もし集英社に「もういらんわ!」って言われたら別の出版社に行けばいいや(笑)。

そんなことを思いながら、庭で野菜を育てたり季節の移ろいを感じたり、デビュー以来経験したことのない平和な時間を過ごしています。そのうち世界一周の豪華客船の旅なんか行けたらいいわね。でも、体のために断酒してるから船の上でやることなくて、結局、漫画描いてるかもね(笑)。

(文・中津海麻子)

PROFILE
一条ゆかり

漫画家。1949年岡山県生まれ。1968年「りぼん」で雑誌デビュー。1986年にアクションコメディ「有閑倶楽部」で第10回講談社漫画賞少女部門、2007年には「プライド」で第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。そのほかの代表作に「デザイナー」「砂の城」、エッセイ「正しい欲望のススメ」など。

「漫画のためなら全部捨ててもいいや」一条ゆかりさんがつかんだ本当の幸せ

『不倫、それは峠の茶屋に似ている ~たるんだ心に一喝!!  一条ゆかりの金言集~

“少女漫画界のレジェンド”一条ゆかりさんの大人向けエッセイ集。仕事、恋愛、美容、生き方……様々な状況で悩みを抱えがちな現代人に、人生を前向きに生きるための金言の数々をお届けします。特別描き下ろし『その後の有閑倶楽部』ショート漫画も収録。

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