会議のチカラ
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女性がお茶を入れる会議はなぜだめなのか

今から10年以上前のこと。ある会社の会議で、最年少の女性社員がお茶を出す、という暗黙の決まりがあった。午前8時から会議が始まる。女性は午前7時にひとりで出社して、お湯を沸かし、ポットと茶器を温め、全員に配る。

15人ほどの部課長クラスの社員が参加する会議だった。お茶を出す担当になった女性社員は疑問を感じ、「なぜ女性がやるんですか」「いつからやっているのですか」と周囲に聞いてみた。答えはおおむね、「ずっと引き継いできた伝統です」という内容だった。

そんな伝統は引き継ぎたくない

なぜ、「最年少」なのか。なぜ、「女性」なのか。その女性社員は「そんな『伝統』は引き継ぎたくない」と思った。過去に担当した先輩社員の中には「みんな喜んでくれますよ」という意見の人もいた。しかし、理由は明確に示されていなかった。納得できなかった。

会議の時間帯が朝から夕方に変わった。女性社員はそのタイミングを逃さなかった。「朝とは違って、夕方ですと前の仕事があるので、お茶を用意する時間がありません。もう、お茶は入れません」。勇気を出して宣言した。

女性がお茶を入れる会議はなぜだめなのか
誰がお茶を出すのか。そんな日常の習慣にも組織風土が影響している 写真=Luda311/Getty Images

女性社員が声を上げると、意外にも反論する人はいなかった。「今の時代はそうかもしれないね」などという声が広がり、自然消滅のような形で、その「伝統」はなくなった。

スコラ・コンサルトの刀祢館(とねだち)ひろみさんが、2011年に知人の女性から聞いた会議にまつわるエピソードだ。「最年少の女性社員がお茶を出す」というしきたりを守ってきた会社はどんな会議をしていたのか。知人の女性によると、「出席者が報告を繰り返すだけの会議だった」。参加者が「知っていることになっている状態」をつくる、主催者が漠然とした安心感を得る会議だったという。

「お茶だし」のエピソードを紹介したが、みなさんの会社にそんな納得できない「伝統」はないだろうか?

刀祢館さんの知人女性はその後、別の会社に転職した。

消費者の好みが多様化する時代

スコラ・コンサルトに転職する前、刀祢館さんは、日産自動車で働いていた。入社したのは86年。男女雇用機会均等法が施行された年だ。入社を決めた理由の一つは、就職活動をしているとき、日産は大卒の女性が男性と同じ賃金をもらえる仕組みがあると知ったからだ。大企業で大卒の女性が男性と同じ条件で働ける職場は、今よりもずっと少なかった。

男女雇用機会均等法を受け、職場は急速に変わっていた。それまで女性は制服を着ていたが、私服が認められるようになった。海外勤務の経験がある上司の課長からは「会社の肩書ではなく、名前で呼んでください」と言われていた。刀祢館さんは、そんな職場の空気を気に入っていた。

女性がお茶を入れる会議はなぜだめなのか
男女雇用機会均等法が施行されてから、30年あまり。会社の景色はどう変化したのだろうか 写真=sefa ozel/Getty Images

職場で刀祢館さんが「お茶だし」を頼まれることはなかった。灰皿の掃除は喫煙者が責任を持って行うことになっていた。刀祢館さんの所属したチームの会議は、それぞれの考え方や意見が尊重され、一体感があった。

男女雇用機会均等法が施行されてから、30年以上たった。画一的な大量生産が経済を引っ張った時代から、消費者の好みが多様化する時代に変化した。能力の高い女性がいるのに活用しない経営、男性だけが優遇される経営では、斬新なアイデアが求められる競争に勝てない時代になった。男性中心の仕組みや暗黙のルールが維持されたままの会社は、時代に取り残され、競争力を失っていくのではないだろうか。

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