立佞武多と太宰治のふるさと奥津軽 青森県・五所川原市

青森県の8月は各地で「ねぶた」、「ねぷた」、「よされ」など祭りのシーズン。ここ2~3年はコロナ禍で中止だったが、例年、多数の観光客が押し寄せる夏の一大イベントである。今年は各地で開催が決定した。
立佞武多の優美さを上から下へ
なかでもひときわユニークなのが、7階建てビルの高さの“巨大ねぷた”が練り歩く「五所川原立佞武多(たちねぷた)」。1996年に80年ぶりに復活して二十数年。すっかり有名になった例年8月4日~8日に開催される。弘前や青森と重なる日程で、競い合って燃え上がる。

その五所川原は津軽半島中南部に位置する、弘前から五能線で約45分の人口5万余の北津軽の中心都市。米やリンゴづくりの盛んな町である。
駅前通りを徒歩で5分ほど。右手に高さ38メートルのひときわ高いモダンな建物の「立佞武多の館」がある。市で一番の見どころで、4階から1階へスロープを下りながらいろいろな角度から優美、豪壮、幻想的な立佞武多が見学できる。巨大スクリーンの「ヤッテマレ!」の力強い掛け声の祭りの映像に勇壮ぶりが伝わってくる。

この横には日本海でとれた魚介類や地元野菜や果物などの店が集まる生鮮市場の「マルコーセンター」がある。ご飯の上に好みの具材を買ってのせて食べる“のへ丼”が飲食スペースで食べられる。

周辺を歩いていると、電線や電柱がなくスッキリした景観に目をひかれる。聞けば巨大な立佞武多の巡行を妨げないために地下に埋設したという。
近くにある「まちなか『思ひ出』パーク」は、太宰治が病弱だった生母より大いに甘え慕った叔母・きゑの家があった場所で、思い出の蔵を再築。太宰の自筆のはがきなどゆかりの品が展示してある。

すぐ近くで目に付くのは金木町生まれの流行歌手の「吉幾三コレクションミュージアム」。出演の舞台・ドラマの台本やステージ衣装、愛用のギターなどが展示。作詞、作曲も手掛ける多才さを改めて思う。
津軽鉄道で太宰治の故郷金木町へ

五所川原駅から多くの人が足をのばすのが太宰治の故郷で知られる金木町。津軽鉄道のその名も「走れメロス」号で、緑の穂波の水田と岩木山を眺めながら約30分。
夏は“風鈴”、秋は“鈴虫”、冬は“ストーブ列車”が走るのどかなローカル鉄道だ。

金木町では、終戦後の1年3カ月、妻子とともに身を寄せた「太宰治疎開の家」に立ち寄って、お目当ての太宰の生家で、太宰治記念館の「斜陽館」を見学。れんが塀に囲まれた和、洋室取り混ぜて1~2階に計19室を数える1907(明治40)年の落成の豪邸。国の重要文化財として残されている。

〈交通〉
・JR五能線五所川原駅下車
〈問い合わせ〉
・五所川原市観光協会
0173-38-1515
※都道府県アンテナショップサイト「風土47」より転載。
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「じゃわめぐ」夏だ。青森の祭りは、厳しい冬に押さえつけられたエネルギーが、短い夏にパッとはじけるかのよう。(副編集長・橋本)https://t.co/9Z7fIwFEar
— 朝日新聞デジタルマガジン&Travel (@asahi_and_t) August 6, 2022
数年前の、何かのキャッチフレーズで、
『まだ大丈夫だ!太宰がいる!』が、
心に残ってます。
その太宰の郷に、
『ヤッテマレ!』の力強いねぷた祭りがある事に、
生きる力を感じます。