久保純子 LIFE in N.Y.
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役割は、見守り隊。モンテッソーリ教育の先生の一日

ニューヨーク在住6年目の、久保純子さん。新型コロナウイルスで世界がめまぐるしく変化する中での、ニューヨーク生活。家族や友人との時間、街で見かけたモノ・コト、感じたことなど、日々の暮らしを通して久保さんが見つめた「いまのニューヨーク」をつづります。

毎朝のルーティンと、子どもたちの「お仕事」

今年初めから始めたモンテッソーリ幼稚園の「先生」生活(先生になったきっかけは前回をご覧ください)。朝は6時に起床し、次女と自らのお弁当作り。7時半前には家を出て、登園する。昨今のアジアンヘイトや暴力事件を鑑みて、通勤は地下鉄ではなく、街中にある貸し自転車で30分かけて通っている。着くや否や、その日の教室の準備に取り掛かる。

モンテッソーリでは、専門の教具を使った子供たちの取り組みのことを「お仕事」と呼んでいるが、教室には100種類以上のお仕事がある。「日常生活」「感覚器」「算数」「言語」の四つの分野に分かれていて、それぞれに特徴がある。

役割は、見守り隊。モンテッソーリ教育の先生の一日
「日常生活」の「お仕事」には、ジッパーの上げ下げやボタンの開け閉めなど、生活をする上で必要な技術を鍛えながら、指先をフルに使って、脳に刺激を与える教具も

「日常生活」は文字通り、生活する上で必要な技能を身につける。裁縫、生花、窓拭き、靴磨き、洗濯干し、洗濯畳みなど、およそ考えられる全ての事柄を2歳から6歳の子どもたちが実践する。日本の学校では当たり前の床拭きや床掃除。アメリカの学校では、外部の専門会社が放課後にやってきてお掃除してくれるため、子どもたちが掃除をする習慣はない。モンテッソーリでは、みんなが幸せに過ごしやすい空間を作ることが大切とされていて、子どもたちは責任を持ってクラスを綺麗(きれい)に保つように心掛けている。

「感覚器」の教具も面白い。これまで見たことのないようなモンテッソーリならではのユニークなお仕事が揃っている。「ピンクタワー」は物の大小を、「ブラウンステアズ」は太さと細さを、「サウンドボトル」は音の違いを、「ジオメトリック・キャビネット」は形の違いを五感を使って体感する。

役割は、見守り隊。モンテッソーリ教育の先生の一日
「ジオメトリックキャビネット」には、いくつもの幾何図形の棚があり、目で見て、触れながら、形を認識していく。どの教具も早期教育を目的とするものではなく、自然に随意筋や脳の発達を促している

自分で選んで好きなだけ没頭。満足感、幸福感が生まれる

子どもたちは、まずは先生からマンツーマンで一つのお仕事のレッスンを受けて、その後は自分で好きな時に好きなだけお仕事に取り組み、冒険し、満足したら、次のお仕事へ進む、というサイクルになっている。子どもたちが自分で選んだ教具にとことん没頭することで満足感=幸福感が生まれる。幸せな気持ちで満たされて自信がつくと、次へとチャレンジする意欲が生じる、という流れなのだ。

時に「うまくできない」とつまずくこともあるが、2歳から6歳のミックスクラスのため、年上の子がお手本となり、年下の子の面倒を見る。反対に、年下の子は、お兄ちゃんお姉ちゃんのようになりたい、あんなお仕事もやってみたいと興味の幅が広がる。異年齢同士で過ごす「小さな社会」で、子どもたちは社会性や協調性を育む。年齢が違うからこそ、お互いを比べたり、競争したりすることはなく、マイペースで成長できるのも良いところだ。

役割は、見守り隊。モンテッソーリ教育の先生の一日
算数のビーズ。子どもたちは、小さな手で1粒1粒数えながら、数字や数量の概念を体得していく。暗記ではないので、しっかりと「数とは何か」を理解できるようになる
役割は、見守り隊。モンテッソーリ教育の先生の一日
文字の部分が砂のようにざらざらしています。ただなぞって覚えるのではなく、頭と手を使って学ぶことが重要とされているそうです

すべての教具に共通するのは、目と指先の共用作業で、脳を刺激する意味合いがある。「算数」はその最たるもので、目と指先を使って、数字の概念を体得する。例えば掛け算。日本では「九九」を丸暗記して、頭で覚えていくが、モンテッソーリでは、ビーズを使って、目で見て、触れて、感じて、数量の概念を習得していく。文字で丸覚えするのではなく、体で吸収していくので、応用が利くようになる。

役割は、見守り隊。モンテッソーリ教育の先生の一日
同じく、文字を見て覚えるのではなく、数字の概念を五感を使って覚えるべく、目で見て、触って、大きさを感じて、1個、10個、100個と覚えていくそうです
NEXT PAGE生まれ持った力で自分自身を成長させていくのを「見守る」

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