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キャデラック初のピュアEV「リリック」に試乗 「適度に未来感覚」のデザイン

ラグジュリーモータリングの概念を変える、とキャデラック

キャデラックというと、米映画「エルヴィス」(バズ・ラーマン監督)に登場する、ピンク色の1955年フリートウッドを思い出すひともいるのでは? 私にとってもっとホットな話題は、ちょっとちがう。ピュアEVのキャデラック・リリックなのだ。

2022年7月下旬に、米国ミシガン州ミルフォード(デトロイトのそば)にあるゼネラルモーターズの試験路で、キャデラック初の量産EV、リリックを操縦することが出来た。北米で5月に発売されたばかりで、早くも24年生産分まで売り切れという人気ぶり。

キャデラック初のピュアEV「リリック」に試乗 「適度に未来感覚」のデザイン
まず後輪駆動で、23年には500馬力を超える全輪駆動が追加される

キャデラックの親会社ゼネラルモーターズは、2040年にカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量の均衡)という方針を発表ずみ。今回リリックが使うのも、大容量で高効率のパウチ型バッテリー搭載の「アルティウム」なるEVプラットフォーム(車台)だ。

なにより、デザインが目を惹(ひ)く。SUVというけれど、キャビンはファストバックと呼ばれるスタイルで、リアには大きく湾曲したガラスをはめこんだハッチゲートをそなえている。

フロントのデザインはさらにとんがっている。ICE(内燃機関=エンジン車)のように空気をたっぷり吸い込むための開口部と思いきや、ブラッククリスタルパネルと呼ばれ、孔(あな)のないパネルという新意匠。LEDがたくさん埋め込まれていて、システムを起動させるとSF映画の未来車両のようにここが輝く。

キャデラック初のピュアEV「リリック」に試乗 「適度に未来感覚」のデザイン
33インチの1枚の液晶パネルに、コラムから生えたシフトレバーが特徴的

「これからの新しい方向を示すとともに、キャデラックらしさを同時に作るのが課題でした」。エクステリアデザイナーは、私にそう説明してくれた。たとえば、このところキャデラックのデザインアイコンになっている縦長のLEDランプを、リリックにも採用している。

「私たちデザイン部門は、まず、セレスティックというプレミアムクラスのショーモデルを開発しました。これこそキャデラックの未来、と社内で高く評価されたので、デザインテーマを少しコンパクトなボディサイズのSUVに”翻案”したのがリリックなのです」

リードクリエイティブデザイナーという立場でリリックのエクステリアデザインを手がけたキル・ボビン氏がそう説明してくれた。

キル氏は、韓国出身。いっぽう、セレスティックのエクステリアデザインをまとめたのは、父親が日本国籍の杉之下貴彦氏だし、多様性を重んじるという昨今のゼネラルモーターズの社風を、デザイン部門が象徴しているようだ。

リリックは、まずリアにモーターを搭載した後輪駆動が登場。23年にフロントにもう1基モーターを載せた全輪駆動版が追加される。私が乗ったのも後輪駆動仕様。

キャデラック初のピュアEV「リリック」に試乗 「適度に未来感覚」のデザイン
ヘッドレストレイントにはノイズキャンセリング機能も持つスピーカー

バッテリーの容量は100キロワット時もあり、航続距離は約480キロとされている。モーターの出力は255kW、トルクは440Nm。ボディ全長は約5メートルで、車重は2.5トンあるけれど、充分速い。

走り出しから、ぐいぐいと後輪が車体を押していくフィールは、EVならでは。カーブでの車体の傾きは抑制されているし、ステアリングホイールを切ったときに車体の反応は速いので、大きいクルマを運転している感覚はない。

キャデラック初のピュアEV「リリック」に試乗 「適度に未来感覚」のデザイン
22年夏にお披露目されるショーモデル、セレスティック

一方で、ホイールベースは3094ミリもあるため、室内空間は余裕たっぷり。後席の空間は、足元といい頭上といいスペースが広いので、大きさからいえばリムジンみたい。乗り心地も悪くない。サスペンションシステムの設定がうまいのと、さきに触れたとおり車体が重いのがよく作用しているのだろう。

私が乗った22インチの大径ホイール装着車でも、路面の凹凸をうまく吸収していると感心したが、あとでべつのジャーナリストに聞いたら、20インチホイール車の乗り心地はそれに輪をかけたように上質だとか。

キャデラック初のピュアEV「リリック」に試乗 「適度に未来感覚」のデザイン
リリックとセレスティックのデザイナーが集合(前列右端がキル氏で、隣が杉之下氏、左端はリリックのインテリアを担当したキム・ミソ氏、後列右端はトリスタン・マーフィ氏)

インテリアのデザインも適度に未来感覚。ダッシュボードに据え付けられた33インチの液晶ディスプレイ(分割でないところをデザイナーは強調)が目をひくが、「デザインの肝はホリスティック(包括的)なところです」と、内装を担当したデザインマネージャーのトリスタン・マーフィ氏は説明してくれた。全体がきれいにつながっていることを心がけたという。

これからのキャデラックのすべてのモデルが同じような方向のデザインになるかどうかはわからない、とデザイナーは言葉を濁した。それでも、リリックは、興味のつきない存在だ。

キャデラック初のピュアEV「リリック」に試乗 「適度に未来感覚」のデザイン
プロポーションの美しさに気をつかったとデザイナーはいう

北米の参考価格は、RWDモデルが6万2990ドル、AWDモデルが6万4990ドルからだ。キャデラックを扱うゼネラルモーターズ・ジャパンは、日本への導入時期について「2023年を考えています」としている。

写真=Cadillac/General Motors提供

【スペックス】
車名 Cadillac Lyriq RWD
全長×全幅×全高 4996×1977×1623mm
エンジン 電気モーター×1 後輪駆動
最高出力 255kW
最大トルク 440Nm
航続距離 約482.8km

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