花のない花屋
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お父さん代わりだったのは叔父。背中を押してくれたのは叔母

読者のみなさまから寄せられたエピソードの中から、毎週ひとつの「物語」を、フラワーアーティストの東信さんが花束で表現する連載です。あなたの「物語」も、世界でひとつだけの花束にしませんか? エピソードのご応募はこちら

〈依頼人プロフィール〉
高橋利香子(仮名)52歳 
会社員
米国在住

    ◇

子供のころから可愛がってくれた、叔父と叔母へお花を贈りたいです。

小さい時から父がいなかった私を、叔父はお父さんのように可愛がってくれました。今も思い出すと泣いてしまうような、大切な思い出をたくさんくれました。例えば、小学校の父親参観日や運動会には忙しいなか駆けつけてくれたり、動物園や釣り堀などいろいろなところに連れて行ってくれたりしたのも叔父でした。

叔父は母と年の離れた弟で、時には「若いお父さんですね」と言われたこともあったそうです。初めての腕時計を買ってくれたり、小学1年生の時には私の名前で銀行口座を開き、「大切にお金をためることを覚えなさい」と1万円を入金してくれたりもしました。ちなみにその銀行口座は、私が50歳を過ぎた今も、大切に使っています。

その叔父と結婚した叔母も、叔父と同じくらい私を可愛がってくれました。20年以上前になりますが、私は社会人になったあと短期留学で出かけた米国で夫と知り合い、アメリカで結婚することを迷っていた時期がありました。当時私が同居していたのは、母と認知症の祖母。母には結婚を反対され、年老いた祖母を残してアメリカへ行くことも気が引けて、結婚を諦めようと思ったこともありました。そのとき私の背中を押してくれたのが、叔母でした。「愛する人を見つけたなら一緒になりなさい。いつか一人にならないように、自分の伴侶をつかまえないと」。そんな叔母の言葉に励まされ、私はアメリカに旅立ちました。

「人事を尽くして天命を待つ」という言葉を高校受験の時に教えてくれた叔父は、成人式、大学の卒業式と必ず私の人生の節目節目に駆けつけてくれました。アメリカでの結婚式当日は母と叔父に手を引かれて歩きたいと願っていた夢もかないました。

アメリカ人の夫と結婚を果たし、娘たちが生まれたときには、母と一緒に叔父や叔母もアメリカまで助けにきてくれました。今では2人の娘も小学生になり、幸せな毎日を過ごしています。そして日本へ一時帰国の際には、叔父と叔母の家は、必ず子供たちと訪れる第二の実家のような存在になっています。

叔父は昔から、山登りが好きな、寡黙な文学青年。自身も小さい時に父を亡くしたことから、私に同じような寂しい思いをさせないようにと、何かにつけて気をかけてくれたそうです。そんな叔父は70代になり、今、パーキンソン病と闘いながらも、近所のボランティアをするなど、病気に負けないよう活動しています。一方叔母は対照的で、看護師や教師として働いてきた、明るくて元気いっぱいなタイプ。庭で大好きなバラの花を育てているほか、定年後に始めた絵画の腕を上げて、最近、作品が公立美術館に展示され、賞を受賞するまでになったそうです。

そんな叔母への受賞のお祝いと、第二の人生を謳歌(おうか)している2人に、いつまでも元気で長生きしてほしいということ、そして今までの感謝を込めて、お花を贈ることができたらうれしいです。

お父さん代わりだったのは叔父。背中を押してくれたのは叔母
≪花材≫バラ、セダム、スプレーバラ、ヒペリカム、リューカデンドロン、クレマチス、マトリカリア、ブプレリウム

花束をつくった東さんのコメント

寂しい思いをしないように、いつも投稿者様のお父様の代わりを務めてくれたという叔父様。その叔父様は山登りが大好きとのことで、高山の野花を感じさせる涼しげなアレンジに仕上げました。

一方叔母様は、バラを育てていらっしゃるそうですね。そこで、グリーンのバラをメインに使い、その周りをリューカデンドロンという、やはり緑のお花で囲んでいます。

ほかにも緑の花材をふんだんに使っているので、グリーンの塊のようにも見えるアレンジですが、ヒペリカムやクレマチスなど、実はよく見るとさまざまなお花が顔をのぞかせています。みなさんでアレンジを囲んで、発見を楽しんでもらえればうれしいです。

お父さん代わりだったのは叔父。背中を押してくれたのは叔母
お父さん代わりだったのは叔父。背中を押してくれたのは叔母
お父さん代わりだったのは叔父。背中を押してくれたのは叔母
お父さん代わりだったのは叔父。背中を押してくれたのは叔母

文:福光恵
写真:椎木俊介

読者のみなさまから「物語」を募集しています。

こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。花を贈りたい人とのエピソードと、贈りたい理由をお寄せください。毎週ひとつの物語を選んで、東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介させていただきます。

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