記事本文へ

“論理的思考”と“直感”で鑑賞する伝統美術「information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美」展

“論理的思考”と“直感”で鑑賞する伝統美術「information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美」展

1:本展を企画した、デザインオフィス「nendo」を率いるデザイナーの佐藤オオキさん

VIEW ALLBACK
本展を企画した、デザインオフィス「nendo」を率いるデザイナーの佐藤オオキさん
佐藤オオキさんとともに、本展の企画・展示デザインに携わった、サントリー美術館学芸副部長の土田ルリ子さん
製作過程や作者の思いを理論的に理解し生まれる感動(左脳的感動)と、理由なく心が揺さぶられる感動(右脳的感動)の2種類の感動。同一の作品に対して異なる二つの鑑賞方法を本展では提案している
会場は作品を隔て、白と黒の部屋に分かれており、好きなルートで鑑賞することができる。 白い部屋の「information?」は、作品の製作過程や作者の意図などの情報をキャプションから得られる“左脳ルート”
 黒い部屋の「inspiration?」は、作品の特徴を生かした展示方法で鑑賞者の感性を刺激する”右脳ルート”
「赤楽茶碗 銘 熟柿(あからくちゃわん めい じゅくし)」本阿弥光悦 江戸時代前期 17世紀前半 サントリー美術館 Photo: 岩崎寛 /「inspiration?」側からは「赤楽茶碗 銘 熟柿」の高台を見せる展示になっており、まるで熟れた果物の上部を思わせる
「赤楽茶碗 銘 熟柿」の展示の仕組みをイラスト化して説明したもの
「薩摩切子 藍色被船形鉢(さつまきりこ あいいろきせふながたはち)」 江戸時代後期 19世紀中頃 サントリー美術館 Photo: 岩崎寛 /羽を広げているかのような蝙蝠(こうもり)を彷彿とさせる「薩摩切子 藍色被船形鉢」
「薩摩切子 藍色被船形鉢」の展示の仕組みをイラスト化したもの
1606年に制作された「蔦下絵新古今集和歌色紙(つたしたえしんこきんしゅうわかしきし) 本阿弥光悦書/俵屋宗達下絵 慶長11年(1606) サントリー美術館」。「たらし込み」と呼ばれる、顔料や墨のにじみを巧みに利用した技法が用いられている
室町時代に制作された「朱漆塗瓶子(しゅうるしぬりへいし) 室町時代 15世紀 サントリー美術館」。酒などを入れ、宴や神前に供えるものとして使われた。黒漆に朱漆を重ねて塗る「根来塗(ねごろぬり)」と言われる手法が用いられており、長年の使用によって次第に黒漆が顔をのぞかせ、趣に深みが増している
肥前・有田を代表する陶工、酒井田柿右衛門による雄鶏形の香炉「色絵鶏形香炉(いろえにわとりがたこうろ) 江戸時代中期 17世紀後半~18世紀 サントリー美術館」。くちばしから煙が出る構造になっている
「inspiration?」側から見た「色絵鶏形香炉(いろえにわとりがたこうろ)」。小窓からのぞくようにして鑑賞する
江戸時代後期に作られた「藍色徳利(あいいろとっくり) 江戸時代後期 18世紀後半~19世紀前半 サントリー美術館」。一個一個が手作りだが、形状やサイズに大きな差異が見られないことから高い技術がうかがえる
「inspiration?」側から見た、「藍色徳利(あいいろとっくり)」。大量の徳利から発せられる存在感は圧巻
「information?」側にある、「藍色徳利(あいいろとっくり)」を解説するイラスト
「information?」側の会場風景。壁面にはキャプションがあり、その向かいに作品が並ぶ
無色のガラスに紅色ガラスをかぶせた「薩摩切子 紅色被皿(さつまきりこ べにいろきせさら) 江戸時代後期 19世紀中頃 サントリー美術館」。太い縞(しま)と細い縞を組み合わせた薩摩縞や細やかな幾何学文の魚子文など、文様の種類は豊富だ
「inspiration?」側に展示されている「薩摩切子 紅色被皿(さつまきりこ べにいろきせさら)」の模型。特徴となっているカッティングが施されており、手で触れて感触を味わうことができる
「inspiration?」側から見た「藍色ちろり」。輪郭がにじみ、ぼんやりと浮かび上がったシルエットから想像が膨らんでいく
濁りのない藍色と、雫(しずく)が連なっているかのような取っ手が涼しげな「藍色ちろり 江戸時代中期 18世紀 サントリー美術館」。日本のガラス職人たちは、欧州や中国など、海を越えた国々の技法を取り入れて技術を高め、そして完成した和ガラスを「びいどろ」と呼んだ
小倉百人一首を散らし書きした「蓮下絵百人一首和歌巻断簡(はすしたえひゃくにんいっしゅわかかんだんかん) 本阿弥光悦書/俵屋宗達下絵 江戸時代前期 17世紀前半 サントリー美術館」。色変わり料紙に、金銀泥で蓮の一生を描いた作品
「inspiration?」側から見た「蓮下絵百人一首和歌巻断簡(はすしたえひゃくにんいっしゅわかかんだんかん)」。中央に開いている小窓に、反対側の展示空間にある作品が収まって見えるような仕掛けになっている。遠近を利用した展示方法で、本来の姿であった25メートルもの長巻を再現している
尾形乾山による「銹絵染付松樹文茶碗(さびえそめつけしょうじゅもんちゃわん) 尾形乾山 江戸時代中期 18世紀 サントリー美術館」は円筒の形状をしており、茶碗の側面に施された一枚の絵画のような絵付けが特徴的だ
「inspiration?」側の「銹絵染付松樹文茶碗(さびえそめつけしょうじゅもんちゃわん)」。中央の回転する銀色の筒に、茶碗側面に描かれた一枚の絵画が反射して円筒に写し出される仕組みになっている
江戸時代後期に作られた「御所車桜蒔絵提重(ごしょぐるまさくらまきえさげじゅう) 江戸時代後期 19世紀 サントリー美術館」。精巧な作りで、酒器や皿が一箱に収まる作りになっている
「inspiration?」側の「御所車桜蒔絵提重(ごしょぐるまさくらまきえさげじゅう)」の展示では、同型の提重がバラバラになって広げられており、実際に正しい順番で重ねて箱に収めることができる体験型の展示になっている
佐藤オオキさん率いるデザインオフィス「nendo」による映像作品は、偏光板を利用した特殊な傘を用いる体験型の作品
佐藤オオキさん率いるデザインオフィス「nendo」による映像作品は、偏光板が用いられた特殊な傘を手に白いステージ上を歩くと、足元に空模様や景色が映し出される
/