車は、家族や友達とのコミュニケーションを深める絶好の空間/ラジオDJ・秀島史香さん

車は、家族や友達とのコミュニケーションを深める絶好の空間/ラジオDJ・秀島史香さん

目的地に向かって車で出かけるのも楽しいですが、気分転換であてもなくのんびりとドライブをするのも気持ちいいですよね。

ラジオDJとしてドライバーに交通情報や楽しい情報を届けている秀島史香さんに、お出かけやドライブの楽しみ方についてうかがいました。

10代の頃から、暮らしの中で車は身近なもの

——車は普段から運転されますか?

茅ヶ崎の実家に帰った時に、運転することが多いですね。父の車ですけど、海沿いを走ったり、家族を乗せてお買い物に行ったり、ご飯を食べに行ったり。

——お気に入りのドライブコースはありますか?

134号線という海沿いの道、「イチサンヨン」と呼んでいますが、箱根駅伝でも走る道ですね、それをずっと走っていくと、とにかく気持ちいいんです。学生時代からずっと定番のコースです。

家族が寝静まった後に、一人でドライブすることもあります。音楽を聴きながら一人で運転しているとリセットされるというか。道もすいていますから、ストレスなく走れるし、夜の海って気持ちいいんですよね。音楽がしみて。家にいるとあれもやらなきゃこれもやらなきゃって急かされて、頭の中のリストがどんどん積み重なってしまうんですが、30分とか1時間だけでもドライブに出られるとすごくリフレッシュできる。悩んでいたことや考え事からいったん離れられる場所が、車という空間なのかもしれません。

10代の頃から、暮らしの中で車は身近なもの

——免許を取ったのはいつ頃でしょうか?

小学校6年生の時に父の仕事の関係でアメリカに引っ越しました。向こうは高校で学校の中で免許の講習みたいなものがあって。高校生が自分で車に乗って学校に通うという、海外ドラマの「ビバリーヒルズ高校白書」みたいな世界で。友達の車でみんなでピザ屋に寄ったりして。

本当にアメリカって車社会なんですね。それで私もアメリカで免許を取ったんですが、初めの頃はうれしくてしょうがなかった。歩いて行けるスーパーにもわざわざ車で行ってましたね。

——高校卒業後に茅ヶ崎に戻って来られましたね。

10代の頃から慣れ親しんだ乗り物だったので、戻ってきてからも車にはよく乗っていました。江ノ島とか逗子までなかなか自転車で夜中には行きにくいけれど、車があれば行きたいところに行ける。車って大人の象徴みたいなもので、自由を手にした解放感や、大人になったんだな、という気分になったのを覚えています。地元の友達と夜中にファミレスに集合して、たわいもない話を深夜までしてみたり。

大学では地方から出てきた友達もいたので、湘南ってどんなところか聞かれると、「泊まりに来なよ、案内するよ」ってドライブに行って。そうやって地元を案内するのは、すごく誇らしかったですね。それまでも知っていた街だったのに、車という手段を手に入れて、ますます地元が好きになれた。今、FMヨコハマで「SHONAN by the Sea」という番組を担当していますが、そういう地元への思いが、この番組にもつながっているように思います。

車の中の一体感は、フェスの感覚に似ている!?

——ドライブに行くときは、どんな準備をされますか?

ベタですけど、CDを選んで持っていきますね。もちろんラジオも聴きますけど、車だと好きなCDも部屋で聴くのとはまた別の感覚で楽しむことができます。定番は、山下達郎さん。達郎さんの曲は、動いている時に聴くと気持ちがいいというか、海沿いの開放感と空気感にもぴったりなんですよね。一緒に乗っている友達や家族に、自分のおすすめを聴いてもらったり。職業柄、自分が良いと思うものをみんなに知ってもらいたいという思いがあるのかもしれません。

秀島さんのお気に入りのCDは山下達郎さんのアルバム「FOR YOU」
秀島さんのお気に入りのCDは山下達郎さんのアルバム「FOR YOU」

——お子さんと乗るときも、音楽を?

はい。娘は今8歳なんですが、ラジオで自分の知っている曲がかかるとうれしそうにしていますね。友達も一緒に乗っていると大合唱になって。こういうの、私のアメリカの高校時代からみんなやってることは変わらないんだな、って。学校帰りにカーラジオから流れてくる曲をみんなで歌っていました。大学生の頃には、サザンやミスチルを流して、カラオケボックス状態ですよね。

車って一体感があって、なんていうか、すっごく小さいレベルでのフェスみたいな感じ(笑)。おいしいおやつがあって、きれいな景色が見られて、周りに友達がいて、みんなで歌って。

——まさにフェスと同じ状況ですね。誰もが一度は経験したことがある気がします。

あんなにいい空間はないなって思います。音楽を聴くのもそうですし、人とのコミュニケーションにとっても。通勤に車を使われている方にとっては、いつもの相棒なのかもしれないですけど、私にとっては非日常のワクワク感があります。やっぱり私の中で車に乗ることは、ちょっと「ハレの日」の感覚。

車に乗っていろんなところに連れて行ってもらいましたし、小さい頃の写真を見ると、私をボンネットに乗せて撮った写真があって。父もこれをやりたかったんだろうな、みたいな写真が。そういうのが残っているとグッときますよね。

——ご家族の思い出の1ページに、車が欠かせないアイテムとして存在しているんですね。

今でも実家から仕事に行くときは、父が駅まで送ってくれるんですけど、その10分とか15分の間に、「最近どうだ」みたいな話をしますね。食卓で面と向かって「どうだ?」って言われても、なんとなく身構えてしまいますが、車の中で同じ方向を向いていて、ラジオとか流れてくれていたら、お互いかしこまらずに自然とコミュニケーションが取れる、そういう良さがありますよね。

父はもう退職しましたが、仕事人だったので、「仕事でこういうことがあってさ」なんて私が言うと、人生の先輩としての言葉をかけてくれますね。「仕事してるといろんな人がいるけど、誰か見てくれている人がいるから」って。これが夕食終わった後に梨とか食べながら言われると「わかってるって」みたいになるんですが、そういう言葉も車の中だから素直に受け取れるのかもしれないですね。

急な予定変更も、車なら楽しめる

——車での思い出の旅行について、教えていただけますか。

2016年から1年間、ベルギーに住んでいたんですが、そこでも旅先では車でドライブをしました。国際免許は持っていますが、車をレンタルしようと思っても向こうはオートマ車がほとんどなくて、結局、運転はずっと夫に任せっぱなしでした。

スペインまで飛行機で飛んで、そこから車を借りて旅行したのがいい思い出です。イベリア半島の南、ジブラルタルに行ったんです。行ってみるまで知らなかったんですが、ジブラルタルってイギリス領なんですね。検問があってパスポートチェックがあるんですが、知らずにパスポートをホテルに置いてきてしまって。みんながスタンプとか押してもらっているのを恨めしい気持ちで見送りながら(笑)、場所を変えて港町に移動しました。そうしたら、不幸中の幸いじゃないですけど、すごくいい景色に出会えて。

——予定変更が、吉と出たんですね。

カディスという町に着いたんですが、ここがすごく良くて。鎌倉のような、雰囲気のある食堂や宿があって、昔から古都として栄えていて、ウィンドサーフィンの聖地とも言われているようです。

ものすごく趣のある古い街並みが広がっていました。石畳の遊歩道に露天の本屋さんがあって、色とりどりの本が並んでいて。世界一おしゃれな本屋さんじゃないのかって感動するぐらい。南スペインなのでお花が咲き乱れていて風も気持ちいいし、どこからかギターの曲が流れてきて。ジブラルタルはものすごく観光地のようなので、予定通りだったら「まぁこんなものか」で終わっていたかもしれません。

港町らしいカラフルな外装に心を奪われたというカディスで見つけたカフェ(写真提供=秀島史香さん)
港町らしいカラフルな外装に心を奪われたというカディスで見つけたカフェ(写真提供=秀島史香さん)

——ご家族での旅行では、秀島さんは助手席に?

そうですね、私が助手席で、娘は後ろで。海外では特に地図を見たり「その道は一方通行じゃない?」とかキョロキョロしています。助手席ではムードメーカーとして、渋滞の時は面白ネタを投入するとか、役割も意識していますね。先ほどの父との話もそうですが、やっぱり夫婦でも、車の中にいると、普段できないような話ができますよね。子供が寝ている間は、特に。

将来の話、お互いの仕事の話、そういう話が2時間とかできる。普段はお互い忙しくてドタバタしているし、なかなか夫婦で座ってさあ話そう、とはならないじゃないですか。2時間たっぷり話せる時間が、自然に持てるのは、すごくいいこと。いろんな話をして、そんなふうに思ってたんだ、っていう発見があったり、意思の確認ができたり。ちゃんと同じ方向を向けているのかなっていうすり合わせができる、夫婦にとって大切な時間だなと思います。

——ラジオのDJとして番組内でも交通情報をお届けしていると思いますが、トーク中もやはりドライバーを意識することがありますか?

私自身も車を運転しながらラジオを聞きますので、マイクの前に座りながらも自分がハンドルを握っているような気持ちを忘れないようにしたいなと思っています。

ラジオっていやがおうでも流れてくるものだし、嫌だったら消されてしまうものですよね。自分がドライバーだったらいま何が一番うれしいんだろうって想像するゆとりを常に持っていたいです。

どういう状況で運転しているのか、その日のお天気や気温、日曜の朝なら日曜の朝なりのゆったり感がありますし、夕方の番組をやっていた時はテンポよく話すことを心がけていました。急いでいる平日の朝のコアタイムだったら、早く必要な情報が欲しい、とみなさん思っているでしょうし、時間によって必要とされるものが変わってきます。

聴いている方々に一番気持ちいい声のトーン、リズムを意識しています。

(文:高橋有紀 写真:篠塚ようこ)

取材協力:FM ヨコハマ

秀島史香(ひでしま・ふみか) ラジオDJ、ナレーター

秀島史香(ひでしま・ふみか)

ラジオDJ、ナレーター
神奈川県出身。茅ヶ崎でサザンを聴きながら育つ。辻堂海浜公園で自転車を覚え小6でアメリカへ。一時帰国した夏休みは134号線沿いのファストフード店で初アルバイト経験。大学在学中ラジオDJデビュー。テレビ出演、朗読活動、CMナレーション、美術館の音声ガイド、機内放送なども。訪れた国は40カ国以上。ベルギー在住を経て2017年春に帰国。現在担当中の番組は、FM ヨコハマ「SHONAN by the Sea」(日曜あさ6時〜9時13分)など。著書に『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則』(朝日新聞出版)がある。
公式HP:https://fmbird.jp/dj/fumika_hideshima/
Twitter:https://twitter.com/tsubuyakifumika

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