小川フミオのモーターカー

美しさと速さ「フェラーリ365GTB/4」

美しさと速さ「フェラーリ365GTB/4」

1972年にこのような格納式ヘッドライトになった

 

イタリアのフェラーリは、世界のクルマ好きから愛されてきた。その理由は、車体の美しさと速さにある。その代表例が1968年に発表された、公道用のスポーツカー、フェラーリ365GTB/4で、愛称の「デイトナ」でもよく知られたモデルだ。

365GTB/4の魅力は、ノーズが非常に長いスタイルにある。そこに4.4リッターの60度V型12気筒エンジンが収まる。当時はすでに運転席の後ろにエンジンを搭載することでカーブを曲がる性能向上を目指した、ミドシップのスポーツカーが増えてきていた。しかしフェラーリを率いていたエンツォ・フェラーリは、12気筒を搭載するクーペはフロントエンジンに限ると主張した。

美しさと速さ「フェラーリ365GTB/4」

当時の最高速は時速280キロと驚く数値が発表されていた

スタイリングを手がけたピニンファリーナは、傑作をものにした。慣れていたともいえるが、それまで誰も見たことのない美をつくり出すことに成功している。古くて新しいクルマなのである。鋼管フレームというチューブで組んだシャシーにアルミニウムをかぶせる伝統的な手法だが、金属でできているとは思えないほど滑らかに見える。そして、全長4425mmのボディーは車重を1280kgに抑え、352馬力は十分すぎる速さを実現した。

美しさと速さ「フェラーリ365GTB/4」

オープンのGTSもつくられた

愛称になったデイトナとは、アメリカ・フロリダのデイトナで行われる24時間レースからきている。アメリカ市場を重要視するフェラーリではこのレースにも力を入れ、戦闘力あるレーシングマシンを投入して、アメリカやドイツのライバルと競うことで観客を大いに湧かせていた。67年にフェラーリは、330P4というモデルで総合優勝。365GTB/4をデイトナと呼んだのは、その栄光を記念する意味があり、アメリカ市場での販売戦略としても重要なことだったのだ。「レースで勝たなくてはスポーツカーを売る資格がない」。そんなことを言う自動車ファンもいるが、フェラーリはそれを地でいっていたのである。

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PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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