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フェラーリに打ち勝つ快挙「フォードGT」

フェラーリに打ち勝つ快挙「フォードGT」

1966年のマークIIはルマン24時間レースで優勝した

史上最も有名なスポーツレーシングカーの1台がフォードGTだ。1964年に発表されたので50年以上も前のモデルだが、今も自動車ファンの間での人気は衰えていない。理由はいくつもある。

まずはスタイリングのよさ。「GT40」という愛称が示すように、車高は40インチ(1016mm)しかなく、地面を這(は)うような低さだ。スーパーカーとして知られるランボルギーニ・クンタッチ(カウンタック)も車高が低いクルマだったが、1030mmあった。

フェラーリに打ち勝つ快挙「フォードGT」

1968年からGTでのレースはプライベートチームに委ねられたが、マークIは5リッターV8で68年のルマンで優勝

フェラーリに打ち勝つ快挙「フォードGT」

低い車体ゆえ少しでも乗降性をよくするためドアはルーフにまで回り込んでいる

フォードGT人気のもうひとつは“伝説”である。60年代、レースでの活躍がクルマの販売増につながると考えた米フォード社長ヘンリー・フォード2世は、フェラーリを買収しフェラーリ・フォードとしてルマン24時間レースでの優勝を目指そうとした。しかし、フェラーリを率いていたエンツォ・フェラーリは買収を了承したものの、契約書を前にして、フォードの言いなりになんかなるものかと翻ったのだ。それに怒ったフォードが「ルマンでフェラーリを叩きのめす」という目的で開発したクルマがGTだった。

フェラーリに打ち勝つ快挙「フォードGT」

マークIのルーフ上のコブはヘルメットのスペースを確保するためのもの

マークIと呼ばれるモデルは、英国で開発されたシャシーに4.2リッターのフォード製V8を搭載していた。しかし、レースではリタイヤが続くなど成績は芳しくなかった。そこで7リッターV8を用意し、開発はアメリカのシェルビー・アメリカンに任せてマークIIを完成させた。66年のルマン24時間レースで1位から3位までを独占し、フェラーリに打ち勝つという快挙を成し遂げた。翌67年から69年にかけ、やはり優勝はフォードGTのものとなったのだ。

フェラーリに打ち勝つ快挙「フォードGT」

1966年のルマンにおいてブルース・マクラーレンとクリス・エイモンのコンビで優勝したGTマークII

2016年はルマン優勝から50周年。アメリカの「ペブルビーチ・コンクールデレガンス」のようなクラシックカーイベントなどでは、出場したフォードGTを前にファンが大いなる喝采を再び送っていた。

フェラーリに打ち勝つ快挙「フォードGT」

2016年の「ペブルビーチ・コンクールデレガンス」ではルマン優勝50周年を記念して数多くのGTが出品された

GTにも、ヘンリー・フォード2世という一人の人間の意地が背景にあった。それこそ筆者が惹(ひ)かれる、フォードGTのもうひとつの魅力なのだ。

フェラーリに打ち勝つ快挙「フォードGT」

ドアがルーフまで回り込む(写真はマークII)

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PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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