デジタルネイティブ世代じゃなくても始めよう 自撮ラー・りょかちに聞く20代のSNS文化

IT企業に勤務する傍ら、若者のSNS文化についてメディアで発信しているりょかちさん


IT企業に勤務する傍ら、若者のSNS文化についてメディアで発信しているりょかちさん

 SNOWやBeautyPlusなど、いわゆる“自撮りアプリ”は、若者がスマートフォン(スマホ)で使う必須ツール。Facebookより若者がアクティブなTwitterやInstagramでは、相変わらず自撮り文化が栄えており、OVER35世代にとってはちょっと特殊な光景として目に映っているのではないでしょうか。

「生まれた時からネットが普及していたデジタルネイティブ世代と、そうではない世代との格差とか隔たりは、世の中が大げさに考えているだけだと思うんです。若者の自撮りやカップル共同垢を見た上の世代の人たちが、『私たちの世代とは違う』と自ら線引きしてしまっているだけ。でも昔の若い人たちだって、インスタントカメラで思い出を残したり、恋人とおそろいのブレスレットを身につけたりしましたよね。表現する手段が違うだけで、持っている気持ちはどの世代も同じではないでしょうか」

 そう話すのは、Twitterで有名な自撮り女子・りょかちさん(25歳・IT)。彼女もまた、自撮りアプリを駆使しており、いわゆる“盛れる”自撮りが上手なことで一躍有名になりました。デジタルネイティブ世代とともに働くことが増えてきた昨今、「自撮りをSNSに投稿する」若者の思考を理解することは、コミュニケーションを取る上で役に立つのではないでしょうか。りょかちさんの視点で、若者のSNS文化をひもといていきます。

自撮りのコツを筆者に教えるりょかちさん


自撮りのコツを筆者に教えるりょかちさん

自撮りは世代を超えたコミュニケーションツール

――りょかちさんはなぜ自撮りで有名になったのですか?

 たまたまアプリで自撮りしたらうまく撮れたんですよ。かなり“盛れた”ので、試しにTwitterに投稿してみたら、フォロワー1,000人で40いいねがつきました。いままでこんなに反応が良かったことはなかったので、それからは実験として、Twitterの中でどんなものが受けるのか、試行錯誤して投稿しています。現段階での結果として、『女子あるある』(マフラーに顔を少し埋めて髪の毛をふわっとさせる、サッカーの日本代表戦のハーフタイムに合わせて、かわいいユニフォーム姿の写メをアップする)がウケるということもわかりました。

――自撮りは実験だったのですね。では、いまデジタルネイティブ世代が自撮りをする理由は何でしょうか?

 実は『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎plus)でも書いたのですが、ひとりで撮る自撮りのブームはピークアウトしたと思います。これからはコミュニケーション的自撮りがメイン。たとえば、おばあちゃんとSNOWを使って犬に扮することができる写メを撮ると、世代を超えて盛り上がります。その時、うまく自撮りをすることで、思い出は見返せるものになります。うまく撮れていないと、その思い出ごと封印してしまいがちですよね。アプリでフィルターをかけて加工してもいいと思います。好きな顔の自分で思い出を残すことは大事ですから。

――たしかに写りが悪い写真は見返すのも嫌ですし、そういう写真に限ってSNSでタグ付けされちゃったりすると死にたくなります……(涙)。良い思い出として残すには、良い写真を撮ることは必須ですよね。ほかにも自撮りをする理由ってありますか?

 元彼へのアピールとして自撮りを投稿する人もいます。「いまの私こんなにかわいいよ」って見せつけるために。複雑な乙女心を満たしたいといいますか、特定の人に見てもらうための自撮りです。もともと承認欲求を満たすためのものとも言えるのですが、いま自撮りに関する感情は複雑化してきていると思っています。たとえば、アプリによる加工は、自然に見える程度に抑える人も増えていて、それは「普通にしていてかわいいんだ」って思ってもらうためです。

りょかちさん③


IT企業で働きながら、若者のSNS文化について執筆もしているりょかちさん

リアルとバーチャルが混同? 20代のSNSに対する意識

――ほんの数年前、コンビニの冷凍庫に入ってふざけた写真をTwitterに投稿する行為が相次いだことは記憶に新しいですよね。デジタルネイティブ世代のSNSに対する意識はいま、どうなっているのでしょうか。

 SNSの主流はmixiから始まり、Twitter、そしてInstagramと移り変わっています。数年で主流のSNSは変わり続けていますが、変わらず若者の生活の中に自然に存在し続けています。若者はSNSを生活の一部として捉えているため、どうでもいいこともつぶやきますし、自撮りも載せる。それが、外からどう見られているかは、SNS世代以上の大人に比べてあまり深く考えていないと思います。とはいえ、Twitterの炎上騒ぎも見ているから、『SNSのお作法』はそこから自然と学んでいる。適当なこともつぶやくけど、燃えないような投稿が自然と体に染みついている部分はありますね。

――Twitterは拡散力もあり燃えやすく、恐ろしい側面を持っていますよね。

 そうですね。でもSNSはバーチャルで、いつでも捨てられる世界なのだから、もっとのびのびやっていいし、ある程度は無責任でいてもいいのではないでしょうか。SNSのいいところは、生きる世界を選べること。見せたい自分を演出できて、好きなコミュニティを選べる。そして、いつでもアカウントは消せます。実生活で感じている、煩わしい人間関係や、「自分のキャラではこんなことはできない」という自分の背景を気にしたらできない振る舞いもできてしまいます。SNSでは、自分の見た目や立場に関係なく発言する内容を選べることが、大きな楽しみの一つだと思っています。ただ、こう考えている若い人は多くないかもしれません。

いまは複数の人で撮る自撮りが主流


ひとりでの自撮りのブームは終わり、いまの主流は複数での撮影に移りつつある。2人でうまく撮影するコツをりょかちさん(左)から聞く筆者

SNSの楽しみを上の世代が味わうには?

――SNSの楽しさを知ることができれば、上の世代も、デジタルネイティブ世代とのギャップを埋めることができると思うのですが、具体的にどうすればいいと思いますか?

 上の世代の方々には、とりあえずやってみてほしいですね。まずは良さを知ってもらうことが大事。大丈夫、誰もあなたのアカウントを見ていないから(笑)! 手始めに自分が尊敬する人、好きな人を3人検索してフォローしましょう。今度はその3人がフォローしている人を探して芋づる式にフォロワーを増やしていく。いきなり自分から何かを発信するのではなく、誰かの投稿にリツイートや「いいね!」をすることからはじめてみるといいかもしれません。理解できないものを「自分とは違う」と切り捨てることは簡単だから、ついやってしまいがち。ですが、理解し合うには、違うと思いすぎないことが大事なのではないでしょうか。

――なるほど、それなら誰でも始められそうですよね。では、次のステップとして、自分が発信したり、コミュニケーションを取ったりするには、具体的にどういうアクションを起こせばいいですか?

 Twitterで言葉のコニュニケーションを発生させるには、次のことを試してみてください。

1)スタンスを取る
 ある意見に対して、自分がどっちサイドなのかを明確にしないと、見ているフォロワーも食いつきにくいし、味方もつかない。中途半端な立場ではなく、どちらかに寄せることで、議論が発生します。

2)突っ込まれる隙を与える
 全部説明してしまうと、「うん、そうだよね」と思われて終わってしまいます。

3)まず自分から行動する
 リプライ(返信)が欲しいなら、まず自分からリプライしなくてはいけない。引用リツイートしてリプライすると、「この人は積極的に返信をくれる人なんだ」「こんな返信をしてくれる人なんだ」ということを可視化できるので、より相互理解が深まる傾向にあります。

――上の世代のSNSビギナーにとって、具体的な行動を指南してもらいました。こういうアクションを起こせば、上の世代が感じていた若者との隔たりはなくなりそうですよね。

          ◇
 いま、自撮りはコミュニケーションの手段や思い出の振り返り、自分ブランディングなど多様化していることがわかりました。若者のこうした背景を知ることで、隔たりは緩和されたのではないでしょうか。また、SNSを使ったコミュニケーション方法は、若者との親睦を深めるためにもぜひ活用したいですね。次回はSNSのメリットやデメリット、今後のSNSのあり方などについてお話ししてもらいます。乞うご期待!

(文・ライター 藤田佳奈美、写真・野呂美帆)

自撮りした写真を持つ


自撮りした写真を持つりょかちさん。「盛れた」写真を撮るにはいろいろなコツがある

<プロフィール>
りょかち 1992年生まれ。京都府出身。著書に電子書籍『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎plus)。IT企業で働く傍ら、自撮り女子(通称:自撮ラー)として、SNSにセルフィーを投稿。自撮り以外にも若者のSNS文化に精通しており、多数メディアから取材を受ける。Twitterは@ryokachii

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