“裏アカ“だっていい、SNSで自分の打席をつくろう 自撮り女子りょかちのアドバイス

 Twitterで人気の自撮り女子・りょかちさん(25歳・IT企業勤務)の視点で、若者のSNS文化をひもといていくインタビュー企画第二弾。前回はデジタルネイティブ世代のコミュニケーションや、OVER35世代の始め方についてうかがいました。今回は、SNSアカウントの使い分けや、ビジネスでの活用法について話を進めます。

いまは一人での自撮りよりも、複数で撮影することが主流になっている


一人だけの自撮りよりも、二人、またはグループで撮影した写真をSNSに載せる人が増えてきた

複数のアカウントを持つ理由って?

――りょかちさんの著書『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎plus)にもありましたが、最近Twitterアカウントを複数持つ若者が多いようですね。どのように使い分けているのでしょうか?

 高校生などはその使い分けが上手で、まずは趣味アカウント。自分の趣味についてしかつぶやかないとか、同じ趣味を持つ人同士がつながりを持つためですね。または、自分がこれからやりたい世界に飛び込んでいくためにつくるアカウントというのもあります。

――なるほど。趣味のことや仕事のこと、なんでもないことなど、全部を一緒のアカウントで発信するのではなく、住み分けることで、見せたい人に見せたい自分を見せているのですね。

 逆に、特定の人に見せたくないこともあると思うので、裏アカ(注:別に設ける匿名アカウント)もおすすめです。裏アカと聞くと、悪口をつぶやくというイメージがあると思うのですが、そうではなくて“脱・自分”。リアルの自分とは全然関係ない自分になれるアカウントのことだと考えて下さい。たとえば、何かを発信したくなったけれど、リアルな自分のアカウントで発言すると、その内容に、肩書きや経歴といったフィルターがかかってしまいますよね。また、同僚や知人が見るかもしれません。だから、純粋に意見だけを見てもらいたいときに裏アカは便利です。抱えた気持ちを文字にするだけで楽になれることはありますからね。

――ブランディングにも、趣味を深めるためにも、世界を広げるツールとしても、いろんな使い方があるのですね。

 複数のアカウントを使い分けたほうが、届けたい人に届くと思いますよ。

「裏アカを持つのは悪いことではない、むしろおすすめ」と語るりょかちさん


「裏アカを持つのは悪いことではない、むしろおすすめ」と語るりょかちさん

知っておきたい、SNSを使った仕事術

――いま、個人としてだけではなく、仕事としてSNSを活用するシーンも多いですが、ビジネスツールとしてのSNSのメリットってなんでしょうか?

 まず、最初から仕事にならなくても“同士”をすぐに見つけられることです。自分が好きな分野についてのコミュニティがあって、そこのイベントに参加することもできます。そこで好きなことをやって、同士と話せる。リアルでは自分がどこかに出向かないと参加できなかったけれど、ネットはゼロ距離だから、遠くの人とも自分が好きなものでつながることができる。リアルより広がりがありますね。大人の遊び仲間をつくるのに最適だと思います。

――たしかにSNSの可能性は無限大ですよね。

 次に、フォロワーを増やせば仕事につながります。NMB48のアイドル吉田朱里ちゃんは、YouTuberとしても活躍しています。彼女はYouTubeで人気を集めたことで、周りの注目を集め、選抜メンバーにも選ばれるようになりました。いま人気がある職業において、スポットライトが当たるのを待っていてもラチがあきません。だから自分で“打席”をつくることが大事。そこでファンやフォロワーをつくる。そうすれば仕事につながります。(次ページへつづく)

――りょかちさんはどうやって自分の打席をつくったのですか?

 私の転機は、自撮りについての自分の考え方をブログに書いたことがきっかけです。それを見た編集さんからお仕事の依頼のDMが来ました。私の場合、フォロワー2000人くらいになったところから、フォロワーの方々の反応を見ながらツイートしていくことをはじめました。やってみたいことを、反応を見ながら発信しつつ、フォロワーを増やしていく。フォロワーが増えればサンプルも増えるので、あとはひたすらアイデアをぶつけ続けていく。プロに声をかけてもらうのを待っているのではなくて、フォロワーを増やしながら自分のやりたいことをやり続けることが大事です。
 どれが当たるかを試行錯誤していくうちに、絶対ラッキーパンチが生まれます。突破口をひらけば、そこから枝葉が広がって、きっと見つけてくれる人がいて、思わぬ仕事につながる。万人の目にさらされるところがSNSの良さなので、結局は『SNSを始めること=行動することから始めよう』ということに帰結します。まずは発信することが何より大事なのではないでしょうか。

りょかちさんは、IT企業で働く傍ら、若者のSNS文化を各メディアで発信している


りょかちさんは、IT企業で働く傍ら、若者のSNS文化を各メディアで発信している

いまの若者が、おじさん・おばさんになったときのSNSは…

――自撮りアプリやSNSなど自己表現するツールが増えた背景に、若者の承認欲求の強さを感じるのですが、りょかちさんはどう思いますか?

 「こどもって、なんでアンパンマンが好きなんですか?」と同じ類の質問ですね。その答えは、「アンパンマンのアニメやグッズがすぐそばにあるから」だと思っています。いまの若い世代はSNSを頻繁に使っていて、「なぜ承認欲求がそんなに高いのか?」という声も聞かれたりしますが、それは承認欲求のはけ口としてのSNSが存在しているから、そうなってしまっただけだと思います。ツールによって自分の承認欲求がつくられているのではないでしょうか。たとえばインスタを見れば、自分もおしゃれな画像を投稿したくなりますよね。ツールが承認欲求を育てているのだと思います。

――なるほど、ではいまの若者がおじさん・おばさんになったとき、彼らは自撮りをしていると思いますか?

 そうですね、きっと自分が何をしているのかを共有するのが大好きなままだと思います。共有するツールは、ブログから始まってインスタから動画から、どんどんリッチになっているので、きっと30年後くらいはスターウォーズのレイア姫がホログラフでヒュッと出現するみたいなツールが登場して、それで共有し合ったりするのではないでしょうか(笑)。

――りょかちさんの今後の展望を教えてください。

 これからも実験を繰り返して知的好奇心を満たしていきたいです。自撮りという枠の中だけでなく、ものをつくったり、コミュニティをつくったり、収益を生み出したり。当たるものを探す単発の実験だけでなく、集客して盛り上がりをつくり、そこからコンバージョン(成果)に結びつけていく汎用性も生み出したいですね。今は自撮り女子として知られていますが、複数、肩書きを変えていけたらと思っています。

(文・ライター 藤田佳奈美、写真・野呂美帆)

1枚目の写真撮影時にとれたのはこの写真。自撮りテクを使うとこうなる


1枚目の写真撮影時にとれたのはこの写真。自撮りテクを使うとこうなる

<プロフィール>
りょかち 1992年生まれ。京都府出身。著書に電子書籍『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎plus)を持つ。IT企業で働く傍ら、自撮り女子(通称:自撮ラー)として、SNSにセルフィーを投稿。自撮り以外にも若者のSNS文化に精通しており、多数メディアから取材を受ける。Twitterは@ryokachii

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