1万円から始める草食投資

20年間非課税! 「つみたてNISA」ってどんな制度?

 投資知識ゼロのライター・藤田が、実際に投資するまでの奮闘記をつづるこの連載。これまで投資の概念や、日本人に多い「預金バカ」などについて学んできました。前回は、投資ビギナーにオススメな投資信託(投信)の選び方について教えてもらいました。今回は2017年10月1日に申し込みが始まった「つみたてNISA」について教えていただきます。
  

教えてくれるのは「草食投資隊」のお三方!

渋澤健・コモンズ投信取締役会長 草食投資隊長男
中野晴啓・セゾン投信代表取締役社長 草食投資隊次男
藤野英人・レオス・キャピタルワークス代表取締役社長 草食投資隊三男
藤田佳奈美・投資知識ゼロのライター

中野 そういえば、つみたてNISAの申し込みが始まりましたよね。運用開始は2018年1月からですが。

藤田 ??? “にいさ”って何ですか? どういう漢字を書くのでしょうか?

中野 漢字じゃないですよ(笑)。アルファベットでNISA。これは略語で、NISAの「N」は日本(NIPPON)の頭文字で、「ISA」は少額投資非課税制度(Individual Savings Account)の頭文字をとったもの。

渋澤 もともとはイギリスの制度で、それの日本版ということです。

藤田 なるほど。それで、NISAって具体的にどういう制度なのでしょうか?

中野 簡単に説明しますと、少額から積立・分散投資ができて、かつ非課税の制度のことです。たとえば、100万円投資したとして、それが倍の200万円になったとします。それを売りたくなったら、つまりは100万円の利益ですが、実はそこから約20%税金で引かれてしまいます。その税金が0%になり、100万円をまるまるもらえる制度がNISA。

藤田 へえ〜すごいですね! それは全ての商品に適用されるのでしょうか?

中野 現行のNISAは上場株式と株式投資信託が投資対象で、年間の投資可能額が120万円で5年間非課税が適用されます。

藤田 5年たったら更新されるのでしょうか?

中野 ロールオーバー(引き続き運用を続ける制度)を利用すれば、1度だけ更新可能なので、最大10年非課税が適用されます。一方で、今回始まるつみたてNISAの投資可能額は40万円。現行のNISAより上限額は80万円少ない上に、株式投資信託の積立投資でしか参加できないので、むしろ若い人やビギナーが始めるのにちょうど良い制度なのではないでしょうか。単純計算すると、非課税枠の上限に達するのは、月々3万3千円ぐらいの積み立てとなります。
  
藤田 すごい! 一気に身近に感じますね。

中野 しかも、現行のNISAは非課税運用の適用期間が最大10年ですが、つみたてNISAならなんと20年間も続きます。どれくらい育つのか、わくわくしますよね。毎年40万円を20年続けたら800万円。それが倍になったら1600万円!

藤野 運用成績の良いものに積み立てると、利益が多くなる。つみたてNISAは時間を資源にかえるものです。それが投資の素晴らしいところ。

中野 投資信託を買った次の日に相場が下がっていたら嫌ですよね。それはみんな同じ。だけど日々の相場は上がったり下がったりを繰り返すものです。そうした前提の中でも積み立て投資なら下がったときは安く買えるじゃないですか。つまり、上がってもうれしい、下がってもうれしい。これが長期的な投資する際に大切な点です。

渋澤 とても合理的なことをやっていると考えて下さい。積み立ては“気持ちが楽ちん”な投資です。

藤野 藤田さん世代の20年後って40〜50代だから、まだ定年前。その時点でそこそこ貯蓄があったら、やりたいことの選択肢が広がりますよね。20代からの20年投資って実はすごく大事です。

中野 つみたてNISAは、「気がついたらこんなに育っている」という感じの投資です。これはやらなきゃもったいないですよね。投資に対するマイナスイメージや固定観念でやらないでいるのは、残念な思考停止だと思います。

藤野 つみたてNISAの20年って、まさに長期投資にぴったりな期間ですしね。
  
渋澤 一般の人が買える投資信託は約6000本あって、販売手数料などがかかったりするのですが、つみたてNISAなら原則、かかりません。しかも6000本あるリストの中から114本に絞られ(2017年10月13日時点)、ずいぶん選びやすくなりました。
 さらに、その114は「インデックス型投信」と「アクティブ型投信」の二つに分かれます。前者は市場平均と同様の値動きを目指すもので、後者は厳選した会社に投資して市場平均以上の利益を目指すもの。アクティブ型投信は14本に絞られるのですが、そのうちの5本が私たち草食投資隊の3人が運用している投信です。

中野 私たちは、アクティブな資産運用に参加してほしいと思っています。今までは、それっぽいことやっている投信との違いを見極めることは難しかった。しかし、今回のつみたてNISAのスタートにあたって、金融庁が的確なファンド要件を作成して、リストにしました。いわば金融庁のお墨付きがあるので、選びやすくなります。
 インデックス型とアクティブ型の違いを例えると、どこで食べても同じ味という安心感があるチェーン展開の飲食店がインデックス型投信。個性がある個人経営のお店がアクティブ型投信です。ただ、個人経営だけど、どこも金融庁に選ばれたおいしいレストランです。

藤野 そうですね、チェーン店よりは高いかもしれないけど、それぞれ個性があって、ちゃんとお墨付きをもらったレストランといったところでしょうか。

中野 アクティブ型投信14本は全部味が違います。そこから先は自分の好みで選ばないといけません。自分がどんな料理を食べたいかは、自分で決めましょう。大変かもしれませんが、約6000本から選ぶより、ぐっと楽になりましたよ。

渋澤 ただ、つみたてNISAの口座は、現行のNISAと同じように1つしか作れません。ですが、私たち3社を扱っている金融機関で作れば大丈夫です。

藤田 なるほど。ハードルも低くて、安心材料もある。ますますやってみたくなりました。ちなみにこのつみたてNISAの制度が終わることはあるんですか?

中野 つみたてNISAは2037年までの制度となっていますので、購入は2037年までです。2037年中に購入した分についても、20年間(2056年まで)は非課税で保有することができます。

藤田 楽天証券の「積立かんたんシミュレーション」で調べたら、私が50歳までに3000万円積み立てるなら、毎月3万5千円、リターン10%、それを21年間続けると達成できるようです。毎月の積立額だけ見たら、毎月貯金する感覚と同じで、実現可能だなと感じました。

中野 そうそう。毎月の投資拠出金を家賃と同じように考えてほしいです。

藤野 あと、いつでもやめられるし、いつでも下ろせるのが投資信託の良いところ。
  
藤田 なるほど。では、積み立てたお金はいつ下せばいいですか?

藤野 友達の結婚式のご祝儀や車やお家の購入など、必要なときに下ろせばいいと思います。積み立てる金額を減らすこともできます。一度始めると、ずっとやり続けないといけない保険と同じだと思っている人も多いですが、僕らの商品はいつでも解約できます。

中野 下ろすときは全額下ろさなきゃいけないとか、それは思い込みで、1円単位でいつでも必要な金額を解約できます。でも、長期投資をする上で大事なのは続けること。

藤田 そうだったのですね。ちなみに下ろすときに手数料はかかりますか?

中野 ほとんどかかりません。ちょっと性能の悪いATMと同じです。下ろすのに少し時間がかかるけど、下ろせます。

藤野 本当に緊急用のお金だけ手元に置いておいて、それ以外は非課税枠の上限まではつみたてNISAを利用するやり方がいいかも。積み立て投資って、将来の余裕のための預金だと思ってもらえれば幸いです。

藤田 つまりそれって銀行に預金するのと同じ感覚ということですか?

渋澤 まさにそう! それにプラスアルファがつくイメージですよ。

藤田 これなら気兼ねなくできそう!

中野 インデックス型投信は最初から無難に50点という平均点を取りに行く。より良い波に乗るためではないですね。一方でアクティブ型投信は、インデックス型投信を上回るリターンをあげないと意味がない。
 まあ、いろいろ難しいことも話したけど、なんとなくこっちかな、という意識で始めていいと思います。やりながら概念を理解していけばいい。とりあえず、始めてみましょう。

 アクティブ型投信とインデックス型投信。保守的な預金思考だとリスクを考えて後者を選びそうですが、リスクとは単に変動の振れ幅のこと。長期的に見れば、上がったり下がったりしながら成長していくと考えれば、アクティブ型投信を選択したいと思った藤田なのでした。次回も乞うご期待!

  

(撮影・産屋敷光孝)

<渋澤さんプロフィール>
渋澤健・しぶさわけん
1961年生まれ。草食投資隊長男。
コモンズ投信株式会社 取締役会長
公益財団法人渋沢栄一記念財団 理事

<中野さんプロフィール>
中野晴啓・なかのはるひろ
1963年生まれ。草食投資隊次男。
セゾン投信株式会社 代表取締役社長
公益財団法人セゾン文化財団 理事
NPO法人元気な日本をつくる会 理事
一般社団法人投資信託協会 理事

<藤野さんプロフィール>
藤野英人・ふじのひでと
1966年生まれ。草食投資隊三男。
レオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役社長・最高投資責任者(CIO)
明治大学非常勤講師、東証アカデミー・フェロー

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投資ビギナーにオススメの“株式”を長期投資するといいワケ。

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