キャンピングカーで行こう!

キャンピングカー 期待のバッテリー「リチウムイオン」って?

エアコンに電子レンジ……家電製品が当たり前に搭載される最近のキャンピングカー(画像:ロータスRV)


エアコンに電子レンジ……家電製品が当たり前に搭載される最近のキャンピングカー(画像:ロータスRV)

キャンピングカーに2種類のバッテリーがあることは、以前にもお伝えしました(キャンピングカーの中ってどうなってるの? ~電気・バッテリー編~ )。キャンピングカーには、いわゆる車としてのバッテリーのほか、快適な生活を支える「サブバッテリー」があります。

サブバッテリーがあるおかげで、キャンピングカーはエンジンを止めたままでも冷房や暖房が使えますし、その他の電気製品も(バッテリーの容量範囲内であれば)使うことができるのです。今回はそんなサブバッテリーについて考えてみたいと思います。

サブバッテリーの特性を知っておこう

現在、キャンピングカーに搭載されているサブバッテリーの主流は「鉛バッテリー」です。鉛バッテリーには次のような特徴があります。

【メリット】
・安価である ・様々な環境下(暑い・寒いなど)で安定した性能を発揮する

【デメリット】
・鉛を電極に使っているので、大きくて重たい

大きくて重たい以外に大きなデメリットもないことから、広く使われているのです。鉛バッテリーといえば、もっともよく知られているのが、いわゆる“車のバッテリー”と呼ばれるものでしょう。乗用車・商用車を問わず、自動車全般に搭載されていて、エンジン始動の際にセルを回す電力を供給します。

セルモーターを回す時間は短いのですが、大きな電力が必要になります。そのため、この車のバッテリーは、「短時間に大電量」を取り出せるように特化されています。具体的にはバッテリー容量の数パーセントの充放電を数千回、繰り返せるだけの寿命があります。その一方で、一度に容量の半分以上を消費するような使い方をすると、本来の寿命は縮んでしまいます。

さて、ではサブバッテリーの使われ方はどうでしょうか。動かしたい電気製品にもよりますが、基本的にサブバッテリーが受け持つのは“生活の電気”。そのため、長時間、継続して使えることが求められます。なので、いわゆる車のバッテリータイプには適さないということになります。そこで、同じ鉛バッテリーでも「空っぽに近くなるまで使っても問題ない」ように設計された『ディープサイクルバッテリー』というタイプが採用されています。

増える電気設備への要望

私がキャンピングカーに乗り始めて、そろそろ20年。その間にもどんどん、商品は進化してきました。従来はキャンピングカーで使える電気製品といえば、照明やFFヒーターなど車載用の機器がほとんどでしたが、昨今は電子レンジ、エアコンなど、一般の家電製品を使いたい、という要望が増えてきました。

「キャンピングカー=動く家」とはいうものの、何もかも自宅同様というわけにはいきません。外部電源があれば問題ないのですが、残念ながら、どこでも必ず取れるというものではありません。また、発電機は騒音の問題があります。

そこで、スペースや積載重量に余裕があればバッテリーの増設という対応策もあります。昨今増えてきている家庭用エアコン搭載車両では、サブバッテリーが三つある「トリプルバッテリー」という選択肢もあります。

ただ、問題もあります。冒頭でご紹介したとおり、鉛バッテリーの弱点は「重さ」と「大きさ」です。特にディープサイクルバッテリーは構造の都合で特に重く、よく使われているタイプのもので25Kgほど。それを3本も積めば75Kg、大人1人が乗っているくらいの重さになります。

大きさも、ひとつが幅33cm×高さ17cm×奥行き22cmほどです。これを三つとなると、そこそこのスペースが必要です。また、相互に配線をしなければならないので、車の前と後ろに別々に離して置くというのも、あまり現実的ではありません。サブバッテリーの増設は、置く場所による重量バランスやスペースなど、慎重に考える必要があります。

軽キャンピングカーにもリチウムイオンバッテリー搭載の波が。スペースが限られる軽には、むしろもってこいのアイテムだ


軽キャンピングカーにもリチウムイオンバッテリー搭載の波が。スペースが限られる軽には、むしろもってこいのアイテムだ

最近注目の「リチウムイオンバッテリー」

「家電製品は使いたい、でも積載重量やスペースに限りがある……」。そんな悩みへの一つの回答として注目を集めているのが、リチウムイオンバッテリーです。

キャンピングカー専門誌やショーなどで「リチウムイオンバッテリー搭載」とうたった車両や、リチウムイオンバッテリーそのものの広告などを見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。では、リチウムイオンバッテリーとはどんなものでしょうか。

ひとくちにリチウムイオンバッテリーといっても、実は様々な種類があります。その中でもサブバッテリーとしてよく採用されているのは、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーというタイプのもの。その特徴は……。

【メリット】
・長寿命であること
・急速充電が可能
・放電時の電圧変化が少ない
・軽量(鉛バッテリーの約2/3)
・容量で比較すると省スペース

【デメリット】
・価格が高い

中でも注目したいのは「放電時の電圧変化が少ない」という点です。どんなバッテリーでも放電するにつれて電圧が低下していくものですが、鉛バッテリーが徐々に電圧が低下していくのに比べ、リチウムイオンバッテリーの場合は放電し続けてもあまり変化がなく、放電末期に急速に電圧が低下します(図参照)。

同一容量の鉛バッテリーとリチウムイオンバッテリーの違いを図にしたもの。放電の仕方も、実際に使える時間も大きく違う


同一容量の鉛バッテリーとリチウムイオンバッテリーの違いを図にしたもの。放電の仕方も、実際に使える時間も大きく違う

どんな電気機器でもバッテリーが空になるまで動き続けるということはありませんよね。電池式のシェーバーやリモコンも、動かなくなった時に乾電池を外して量ってみると、わずかながら電気は残っています。つまり電気製品は、その製品ごとに稼働できる限界の電圧というものがあるのです。電気シェーバーは動かせないけれど、テレビのリモコンぐらいならまだ使える、という乾電池の使い回しをした経験のある人もいるでしょう。

さて、図のように、同じ容量であっても、鉛バッテリーとリチウムイオンバッテリーでは、放電時の電圧変化に大きな違いがあります。リチウムイオンは使い始めから高い水準を維持して、ギリギリまできてから急激に落ちる特性がありますから、一定の限界電圧の電気製品に対して、それだけ長時間稼働させられる、ということになります。

使う機器によっても違いますが、ざっくりいえば、同じ容量の鉛バッテリーに対して倍近い時間、使えるということになります。

6.5kWhもの大容量リチウムイオンバッテリーを搭載したキャンパーアシスト社のバンコン「Rich(リチ)」。「2泊3日程度なら、家と同じ感覚で家電製品が使える」のがウリだ


6.5kWhもの大容量リチウムイオンバッテリーを搭載したキャンパーアシスト社のバンコン「Rich(リチ)」。「2泊3日程度なら、家と同じ感覚で家電製品が使える」のがウリだ

小型で軽量、しかも長時間使えると良いことずくめ。ですが、今のところ価格が高いのが玉にキズです。バッテリー本体だけでも鉛バッテリーの数倍はしますし、充電器も鉛用のものとは特性が違いますので、買い替える必要があります。単純に鉛からリチウムに入れ替えるだけ、とはいかないのも事実です。

最近は、新車の段階からリチウムイオンバッテリー搭載の車両も出てきました。これなら充電器も含め、すべてがリチウムイオン対応ですので、鉛バッテリー搭載の新車と比べて若干車両価格が高かったとしても、途中でバッテリーの変更をするよりもコストの差は小さくてすみます。

キャンピングカーショーではリチウムイオンバッテリー単体での販売も見られるようになったが、少々値段が高いのが玉にキズ


キャンピングカーショーではリチウムイオンバッテリー単体での販売も見られるようになったが、少々値段が高いのが玉にキズ

どんな工業製品にも言えることですが、デビュー当時の価格は高いもの。量産されるようになれば、性能も向上し、価格が下がってくるものです。実際、リチウムイオンバッテリーも、一時期よりも価格が下がり始めていますので、どの程度の価格に落ち着くのか、キャンピングカーに適したどんな製品が出てくるのか、これからの動きに注目してゆきたいと思います。

PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。

病気や障がいでも諦めない キャンピングカー「動く家」がかなえる夢

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