モーニング娘。20周年企画

高橋愛(後編)独自性を貫いたプラチナ期は夢半ばで

高橋愛後編・取り換え

9人体制の終わり、「……また変わっていくんだな」

高橋愛がリーダーに就任してからの9人体制、つまりは後に「プラチナ期」と呼ばれる時代の幕開けから約2年。シングル「しょうがない 夢追い人」で高橋がリーダーとなって初のオリコン週間ランキング1位を達成したものの、その後、それほど時間をおかずにプラチナ期は、終わりを迎えてしまう。

まず、テレビ東京系アニメ『きらりん☆レボリューション』で主人公の月島きらり役として声優デビューして以降、若年層やアニメファンにも存在感を示し、次期エースと期待されていた7期の久住小春が2009年12月に卒業。2010年12月には、高橋より1期下、6期の亀井絵里に加えて、8期で中国からやってきていたジュンジュンとリンリンも卒業していった。その結果、メンバーは1997年の結成当初以来となる最少の5人となった。

「実は私、3人の卒業公演の時点では、次が5人になることをしっかり認識できてなくて、3人を見送った後に集まったときに『……ちょっと待って。5人って少なくない? 』って(笑)。3人が抜けたらどうなるかまで考えられていなかったので、事の大きさに驚きました。単純に悲しかったです。みんな後輩だったので、卒業が発表された時は順番が違うと思いましたし、やっぱりみんなには私を見送って欲しかった。でも卒業していくことはモーニング娘。の常だったので受け入れるしかないし、その時はまだ“プラチナ期”とも呼ばれていなかったので、……また変わっていくんだなって」

  

まだプラチナ期と呼ばれていなくても、パフォーマンスの質の向上を目指し、3年以上も一緒に頑張ってきた仲間たち。9人の息の合ったチームプレイは、現在のモー娘。たちが観客を魅了しているフォーメーションダンスの基礎と言えるものだった。ただ、ようやく努力が実を結び始めるも、高橋が目指した9人での“格好いいモーニング娘。”は、完成することはなかった。

私には仲間がいた

「けっこう前だから忘れてしまったこともありますけど、でもきっと……、もっとやりたかったことはありました。ただ、ジュンジュンとリンリンに『モーニング娘。にいてよかった』と言ってもらえたことは本当にうれしかったです。もっと前に中国へ帰る選択肢もあったのに、残って活動してきた4年が、あの子たちにとって本当にハッピーだったのか、それは分かりません。欲を言えば、もっといろんな景色を見せてあげたかったと思いますけど、それでも横浜アリーナで卒業なんてなかなかできることではないですよね」

その後、新メンバーとして9期の4人が加入。その中には2018年現在リーダーを担当している譜久村聖や、PerfumeやBABYMETALの中元すず香らも輩出した「アクターズスクール広島」出身の鞘師里保など期待の新人も名を連ねていた。新たな布陣に期待が寄せられる一方で、高橋が卒業を迎える日もまた近づいていった。

  

「9期のメンバーが加入した頃から、9人でやっていた時代を“プラチナ期”と呼んでもらえるようになってきて、報われた感じはありました。もちろん、まだまだやりたいことはありましたけど、人生ってそういうものじゃないですか。いつでも『もっとやりたいことがあったのに』って」

「でも、モーニング娘。としての人生が終わった先でも達成感を得ることは絶対にあるし、新たな目標や志が絶対に出てくる。モーニング娘。の10年は決して楽ではなかったし、悔しかったこともあった。でもつんく♂さんだけじゃなく、周囲の方々は『もっとできるでしょ!』と見捨てずにいてくれました。1人で10年続けるのは難しいけど、私には仲間がいた。先輩もいて後輩もいて同期もいて、それぞれとの関係のおかげで、ここまで長く活動できたと思いますし、後になってから評価してもらえたのはうれしかったです」

プラチナ期と呼ばれた時代の私たち

在籍は10年の3687日、リーダー歴は4年4カ月の1582日と、長きにわたってグループをひっぱり続けた高橋は、2011年9月30日に日本武道館公演でグループを卒業した。そんな彼女は、受け継がれていく意志は“伝染する”と表現する。

「プラチナ期と呼ばれた時代の私たちは、『LOVEマシーン』の時代の先輩たちからたくさんのことを教えてもらいました。だから私もリーダーだった当時は、後輩のメンバーにそれを伝えていきましたし、ガキさん(新垣里沙)からバトンを受けたさゆ(道重さゆみ)がリーダーとして見せてきたモノが、ふくちゃん(譜久村聖)につながって、今もずっと続いている。やっぱり伝染するんですよね」

「だからモーニング娘。自体の進化はもちろん、個々のメンバーの成長も見えるところが面白いです。さゆがあんなにしっかりしたリーダーになるとは思っていなかったですし、あんなに怒られまくっていたふくちゃんも、いまや怒る立場だし(笑)」

14歳から10年。青春のど真ん中を捧げてきたモーニング娘。とは、彼女にとってどんな存在だったのだろうか。

  

「初代リーダーの中澤裕子さんから切れてない絆があって、その中にいろんな子たちがいて成立している。そこがモーニング娘。の面白いところだと思いますし、面白くなかったら本人たちも続けられないと思います。世の中にはいろんなグループがいるし、みんな可愛いですけど、『やっぱりモーニング娘。だな』って。自分が好きで加入したグループだからということもありますが、他に比べるモノがない。もはやアイドルというジャンルでもなく、唯一無二だと思います。私にとっては、あっという間の10年でした」

業界に先んじてライブ至上主義、パフォーマンス至上主義に活路を見いだし、努力を重ね、高橋たち9人は“格好いいモーニング娘。”を目指した。そして、後を引き継いだ現役メンバーたちのパフォーマンスの格好良さは高く評価されている。

インタビューの最後に高橋は、現役の後輩たちへの思いを、こう語ってくれた。

「そこは悔しさもありますね。『私もあんなパフォーマンスがしたかった!』って。でも、それはハッピーな“悔しい”。それだけ、今の後輩たちのパフォーマンスは魅力的だし、あれだけの歌と踊りをこなすことは、あの頃の私たちには絶対に出来ませんでした。いまそれが出来ているのは、モーニング娘。が続いてくれたからこそですし、後輩が私たちの夢を実現してくれたことは本当にありがたいです!」

次回からは、プラチナ期を知る最後の1人として、道重さゆみの言葉から、グループ再興の道のりをひも解いていく。
(インタビュー・文:平賀哲雄、撮影:Jumpei Yamada)

特集ページはこちら

  

■高橋愛さんオフィシャルブログ
https://ameblo.jp/takahashiai-blog/

■Instagram
https://www.instagram.com/i_am_takahashi/

■WEAR 
http://wear.jp/takahashiai/

高橋愛(前編) 低迷期に選んだ“質の向上”という奇手

一覧へ戻る

道重さゆみ(前編)夢叶える“最後のプラチナ期”は元落ちこぼれ

RECOMMENDおすすめの記事