キャンピングカーで行こう!

地震、台風、災害時にはシェルターに変身 キャンピングカーにできること

日常のレジャーはもちろん、災害時にも実力を発揮するキャンピングカー(gettyimages)


日常のレジャーはもちろん、災害時にも実力を発揮するキャンピングカー(gettyimages)

記録的に大規模な台風による豪雨。観測史上類を見ない大地震。この夏は多くの自然災害が日本を襲いました。亡くなられた方々に哀悼の意をささげるとともに、被災された方々が一日も早く日常を取り戻すことを願ってやみません。

これまでにも何度か、災害時にキャンピングカーが発揮できる力についてお話しさせていただきましたが、大きな災害が続いた今、改めて考えてみたいと思います。
「動く家」であるキャンピングカーは、車種によって装備の差はあれ「非常時のシェルター」として優れた機能を備えているのです。

災害時、キャンピングカーにできること

生活できる空間がある
大規模な災害で多くの家屋が被害を受けた場合、想定されていた避難所では足りなくなることがあります。また、さまざまな理由から、避難所ではなく自家用車の中で寝泊まりする被災者もいます。
過去の災害では、乗用車での長期にわたる車中泊生活で、何人もの方がエコノミークラス症候群を発症して病院に運ばれ、中には亡くなった方もいました。

当然のことですが、普通の車は長時間過ごすことを念頭に作られていません。それに対してキャンピングカーには、身体を伸ばして過ごせるだけのスペース(広さ、天井の高さなど)があり、外気と断熱されていて暑さ・寒さが過ごしやすいことなど、住む空間としてのメリットの大きいことはお分かりいただけるでしょう。

キャンピングカーは、自宅から一部屋持ち出して避難しているようなもの。そしてその車内空間は、キャンピングカーオーナーのプライベート空間でもあります。
避難生活が長期にわたるほど、この「プライベート」の意味は大きくなります。人目を気にせずに安心して過ごせるスペースがあることは、被災した方の生活再建にとってとても重要な問題なのです。

体を伸ばして寝られる平らな場所がある。たったそれだけでも、非常時には貴重なこと。ましてや電子レンジなどがあればQOLは各段に向上する


体を伸ばして寝られる平らな場所がある。たったそれだけでも、非常時には貴重なこと。ましてや電子レンジなどがあればQOLは各段に向上する

基本的インフラを備えている
普通の車でもエンジンをかければ冷暖房や照明を使うことはできますが、災害時には燃料の確保も難しくなります。その点、キャンピングカーには走行用とは別に、生活用のサブバッテリーが搭載されています。十分に充電されたサブバッテリーがあれば、エンジンに頼ることなく、ある程度の空調や照明を使うことができます。最近は大容量のバッテリーを搭載し、数日間の電気をまかなえるようなクルマも登場しています。

災害発生から、最初に行政から食料や水の供給などが届くまでの時間は、平均すると2~3日。その3日間を何とか乗り切るだけの電力があればとても心強いですね。また、自宅で停電にあったとき、キャンピングカーを巨大なバッテリーとして活用した人もいます。今回の台風で、大阪で何日間にもわたる停電に遭遇したあるユーザーは、ガレージのキャンピングカーから自宅の冷蔵庫に電気を供給して、食材を守ることができたそうです。

ペット同伴で避難できる
東日本大震災以降、災害時のペットの問題がクローズアップされるようになってきました。どのようにすれば、人と動物の命を守れるのか。不幸なペットを増やさずに済むのか。さまざまに研究も進んでいますし、ペット同伴で利用できる避難所も増加傾向にあります。

ここで知っておくべきなのは、「同行避難」と「同伴避難」は違うということ。同行避難とは、ペットを連れて逃げて避難所に入ることですが、必ずしも一緒にいられるとは限りません。ペットはケージに入れて、決められた場所に置いておくようになっている「同行避難所」では、飼い主と同じスペースで寝泊まりすることはできません。

もう一方の「同伴避難所」は、飼い主の生活スペースにペットも一緒にいられる場所。ただし、その場合にも解決すべき問題はたくさんあります。避難所は公共のものですから、動物嫌いな人がいるかもしれません。犬と猫は分けるのが理想ですが、犬も猫も飼っている人は、どうしたらよいのでしょう?

避難所での生活はもちろん非常事態ですが、そんな時でも周囲に迷惑をかけないよう、最低限のしつけができていること。他の動物との接触によるトラブルを防ぐため、犬も猫も各種予防接種はもちろん、避妊去勢手術を必ず受けておくことなど、飼い主の責任で備えるべきことはたくさんあります。我が家も猫が6匹もいますから、いざというときのことを考えたら、猫を全部つれてどこかの避難所に入るのは難しいだろうと思っています。

そんな時、キャンピングカーは強い味方です。プライベートな空間ですから、そこからペットが出るようなことさえなければ、誰かに迷惑をかけることはありません。もちろん、万一を考えて打てる手は打っておく必要がありますが、ペット連れにとって、キャンピングカーが心強い存在であることは確かです。

遊びに出かけたら、どんなに疲れていても帰宅前か翌日には「満タン」にする習慣をつけよう


遊びに出かけたら、どんなに疲れていても帰宅前か翌日には「満タン」にする習慣をつけよう

災害時に活用するために……

いざというときキャンピングカーを活用する。そのためには、もちろん「キャンピングカーを持っている」だけでは不十分です。巨大な「非常持ち出し袋」と考えて、以下のことを心がけましょう。

非常食・飲料水のストックを
前項でも紹介しましたが、「とりあえず3日間を自力でしのぐ」ことを目標に、食料や飲料水を搭載しておきましょう。家族にアレルギー体質の人がいる場合はなおさらです。救援物資が届き始めても、アレルギーに対応した食材まではなかなか手が回らないもの。健康上の理由で食べられるものに制約のある人ほど、安心な食べ物や薬品を備えておくことが大切です。また、どんな食料にも消費期限があります。遊びに出かけるタイミングなどで、ストックしている水や食料の消費期限のチェックも忘れずに。

ペットフードやケア用品も忘れずに
ペットも家族の一員! 非常用のペットフードも準備しておきましょう。シニア世代だったり持病があったりして、療法食が必要なペットには、専用フードも用意してあげたいですね。そのほかペット用のトイレ、ケージやリードも。
こうしたケア用品は、いざというとき、人にペットを預けたり、一時的であっても避難所で共同生活する際には不可欠なものです。そのためにも普段からトイレやケージ、リードにならしておくこと。肝心な時に、用意した用品を使ってくれないようでは人も動物も困ることになります。

トイレは大切!
トイレの確保は避難生活のQOL(生活の質)の維持にとって非常に大切です。ついつい、水や食料などにフォーカスしがちですが、衛生環境は人間の健康に直結します。キャンピングカーの場合、すべての車両にトイレが備わっているわけではありません。しかし、トイレがない車でも、コンパクトに収納しておける組み立て式簡易トイレを積んでおくなどの備えはできるはず。
トイレがついている車でも、タンクの処理がしばらくできない場合を想定して、タンクに貯める必要がない「非常用トイレ処理セット」を用意しておけば安心です。

燃料確保は重要!
キャンピングカーの外出から帰ったら、燃料は満タンにする習慣をつけましょう。せっかくの避難ツールも、動けなくては話になりません。プロパンガス搭載ならプロパンガスをチェックしておくこと。カセットガスも使ったら補充を心がけ、発電機がある場合には定期的に試運転をしたり、発電機の燃料確保など、日常の手入れをお忘れなく。

自宅の駐車スペース(コンクリート)にアンカーを埋め込み、台風前にはがっちりとトレーラーを固縛。これならどんな強風にあおられても安心だ


自宅の駐車スペース(コンクリート)にアンカーを埋め込み、台風前にはがっちりとトレーラーを固縛。これならどんな強風にあおられても安心だ

キャンピングカーの安全を確保せよ!
どんなに備えていても「キャンピングカーそのもの」が被害を受けてしまえば元も子もありません。実際、今回の台風でキャンピングトレーラーが風に飛ばされて全壊してしまったという例がありました。
キャンピングカーは側面積が大きく、風の影響を受けやすい傾向にあります。体積のわりに重量の軽いトレーラーは自走式以上に影響を強く受けてしまったのでしょう。トレーラーユーザーの中には車庫にアンカーを打設して、強風が予想されるときは手動ウィンチをつかって固縛している人もいます。「念には念を入れて」が、災害対策の基本なのです。

キャンピングカーでの避難は「よいこと」と自覚する

キャンピングカーと防災・避難のお話をすると「気が引ける」という声をよく耳にします。いわく、避難所で嫉妬されそう。自分たちだけ快適に過ごすのは……と思うと気が引けるというのです。
確かに、災害に遭えば誰もが困窮します。ですが、そこでキャンピングカーで逃げたからといって、後ろめたい思いをすることはないと思います。

第一に、キャンピングカーオーナーは、決して安価ではないキャンピングカーに「投資」していること。投資に見合ったメリットを享受しているにすぎず、ある意味では保険と同じです。

第二に、キャンピングカーの所有者がそれを使うことで、避難所側の負担が減るということ。避難所の限られたスペースが、ひと家族分でも空くのです。また、キャンピングカーでしっかり身体を休めて健康を維持できれば、医療の面で負担をかけることもなくなりますし、ボランティアとして元気にお手伝いすることもできますよね。

とはいえ、人の感情は理屈では整理できないもの。まして、誰もが強いストレスにさらされる非常時です。いわれのない逆恨みや嫉妬を受けることもあるかもしれません。そうした場合は、キャンピングカーで少し離れたところへ移動するのもひとつの手です。

何が起こるかわからない。それが自然災害です。少しでもできることを考えておきましょう。何を載せて、どこへ逃げるのか。いざというときのシミュレーションをしておくだけでも違うのではないでしょうか。

PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹と妻ひとり。

・Youtubeチャンネル「キャンピングカー坊主めくり」開設!
https://www.youtube.com/channel/UCZzeJtgZFLR0yJLkr052kug

欧州キャンピングカー文化の奥深さを知る キャラバンサロン最新リポートvol.2

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