キャンピングカーで行こう!

タイヤは取り付け方やホイールのチェックも忘れずに

今年はなかなか寒くならないな、と思っていましたが、12月に入って、いよいよ各地から雪の便りが続々と届くようになりました。スキー場開きのニュースも聞こえはじめ、冬遊びの好きな方はうずうずしていることでしょう。愛車の足回りにもばっちり、スタッドレスタイヤを装着されていることと思います。

前々回、タイヤとチェーンについて解説しましたが、キャンピングカーの足回りについてもう少し。「タイヤの選び方だけではない」というお話です。

ネジ一本締めるにも技術が必要

タイヤを交換するとき、みなさんどうされていますか? 多くの方が、ディーラーやビルダー、あるいはタイヤショップに依頼しているのではないでしょうか。

「プロに任せているのだから大丈夫」。みなさん、そう思っていますよね?

もちろん、その信頼感あってこそのプロですし、そうあるべきです。しかし、プロに依頼はしていても、大切な自分の車のこと。まして足回りは安全に直結する大切な部分です。自分でも理解を深めておいて損はありません。

では何を理解しておくべきかといえば、「ネジの締め方」です。

タイヤはホイールにはめ込まれています。そのホイールは車軸にボルト(ネジ)で止めつけられています。その取り付け部分が、万一ぐらついたりしたらどうなるでしょう。ものすごく危険なことになるのは、簡単に想像できます。

このネジの締め方にも技術がいります。付着した砂などのゴミが、ネジ山を痛めたりすることは珍しくありません。「ネジ山がきれいかどうか確認もせず、ただ動力工具でダダダッと締めて終わり」。そんないい加減な作業をするようなショップがもしあったら、決して愛車を任せるべきではないでしょう。愛車の足回りの整備を委託するということは、極端にいえば命を預ける大切な部分の整備を任せる、ということなのです。

では、どうやって締めるのが正解なのか。

まず、これから取り付けようとするネジをしっかり確認。ゴミや砂はついていないか。もしついていたらきれいに取り除き、ネジ用のグリスを塗布。その上でネジを締めます。

最初は手でやります。最初から工具を使うと、ネジが斜めに入ってしまったことや、ネジ山やナットの異常などに気づけません。手で締めれば「何かひっかかりがある」とか「(もっと軽く回るはずなのに)手ごたえが重い」とすぐにわかります。

正しくネジが回り始めたらあとはしっかり締めればいいわけですが、それもただやみくもに固く締まっていればいいものではありません。仕上げにはトルクレンチを使って、「規定トルク」で締める。ネジをきちんと締めるのも、実は結構ノウハウが必要なのです。

タイヤは取り付け方やホイールのチェックも忘れずに

国産キャンピングカーの場合、実用的なスチールホイールがほとんど。オシャレとはいえないが、強度や価格の面で利点も多い

規定トルクってなに?

さて、規定トルクという言葉が出てきました。ネジを締める力の強さを「トルク」といいますが、実はホイールをネジ止めするトルクの値は、車種ごとにメーカーが指定しているのです。

例えば、ほぼ同じサイズでルックスもよく似ている、トヨタ・ハイエースと日産・NV350(キャラバン)。

ハイエースの規定トルク値は100N・m。一方のNV350は108N・mで、ハイエースとは若干違います。

リアタイヤがダブルの車両や欧米からの輸入車は、さらに大きなトルクが指定されていることもあります。私の愛車のベース車両はアメリカ・フォード社のE350エコノライン。規定トルクは203N・m。ハイエースの倍以上ですね(※)。

※4輪車の規定トルクは基本的には4輪とも同じ値です。が、前輪と後輪のサイズが違う車両や、前がシングル・後ろがダブルのタイプの一部では、前後で規定トルクが異なる場合もあります

自分の車の規定トルクがいくつなのかは、取り扱い説明書に記載がありますから、確認しておきましょう。

ここで注意が必要なのが、単位です。国産車の場合はほとんどがN・m(ニュートン・メートル)で表記されていますが、車種や生産国によってはkgf・m(キログラム・メートル)やlbf・ft(ポンド・フィート)なども使われています。

いずれも、あまりなじみのない単位ですよね。

ちなみに100N・mは=10.2kgf・m。ケタが違いますのでめったに混同はしないと思いますが、ややこしいのがlbf・mという単位。150lbf・ftは=203N・mなのです。ショップスタッフは説明書などで数値と単位を確認するはずですが、ここで単位を間違えて作業してしまうと、思わぬ事故につながりかねません。

では、規定トルクはなぜ重要なのでしょうか。守らないとどんな危険があるのでしょうか。

まず、ボルトの締め付けが規定トルクに満たない(=ネジがゆるい)場合。これはお分かりですね。しっかり取り付けられるべきホイールがぐらつけば、走行が安定しないどころか大変に危険です。

では強く締まっていれば問題ないかといえば、締めすぎもトラブルの元なのです。まず、強く締めすぎると、ボルトは伸びてしまいます。ボルトの強度が足りなければ破断につながりますし、伸びたことで細くなったりもします。焼いたお餅を引っ張ってみてください。ある程度以上で外の硬い皮が破れ、柔らかい中身は伸びます。伸びれば伸びるほど細くなりますよね? すると、結果的にネジがゆるむことになるのです。

タイヤは取り付け方やホイールのチェックも忘れずに

これがトルクレンチ。規定トルクの管理には必須の工具だ。これを使わないようなショップとは付き合いを考えた方がいい

セルフチェックは簡単にできる!

タイヤ交換をした後、みなさんはホイールナットの増し締めはされますか?

「増し締めってなに?」と思った方は、要注意です。

どんなに慎重に作業をしても、ネジは緩んでくる可能性があります。まして自動車のように「揺れて」「動く」物体に使われている場合はなおさらです。ホイールを脱着してから100kmほど走ったら、かならず規定トルクで締まっているかどうかをチェックしましょう。点検する方法は二つ。

・お店(タイヤショップなど)に持ち込んでチェックしてもらう
・トルクレンチ(数千円からあります)を購入して、自分で確かめる

トルクレンチにはさまざまに種類がありますが、要は締めたい強さに目盛りを合わせてナットを締めると、希望した値に達したところで合図がある、というもの。ひとつ持っておけば、いつでもチェックできるのでおすすめです。

ホイール選びも慎重に

ホイールも安全な走行にとって大切です。

キャンピングカーのベース車両は商用車であることが多く、スチールホイールが標準装着されていることがほとんどです。

アルミホイールは、デザイン性が高いことから、愛車のドレスアップに一役買いますが、キャンピングカーの場合、その強度には十分な注意が必要です。

日本のアルミホイールには乗用車用(JWL)とトラック用(JWL-T)の二つの規格があります。制度上では、キャンピングカーは乗用車用(JWL)のホイールを使用してもよいことになっていますが、ご存じのようにキャンピングカーは居室部分に架装をしています。その分車両重量が増えていますから、もしアルミホイールを装着するならば、規格がどうであれ、ホイールメーカーにその耐荷重を問い合わせて、車の重量に耐えられるものを選ぶ必要があります。逆に言えば、メーカーに問い合わせても耐荷重がわからないような製品は使うべきではありません。

車の足回りは、まさに命を乗せて走る重要な部分です。こまめにタイヤの空気圧をチェックし、ホイールナットの規定トルクを把握しておく。整備はプロに任せていたとしても、大切な愛車の足回りは、自分でも常に点検しておきましょう。

PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。

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