カニエ・ウエストの思いは多くの愛好家に届くか
アディダス オリジナルスの人気モデル「YEEZY BOOST 350 V2 TRIPLE WHITE」2度目の再販売

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2度目の再販が始まった「YEEZY BOOST 350 V2 TRIPLE WHITE」(&M編集部撮影)

この数年、音楽コンサートやスポーツイベントをはじめとするチケットの高額転売が社会問題として話題になっているが、転売が問題になるのはチケットだけではない。

幅広い年代に人気があるスニーカーの世界でも、転売業者いわゆる「転売ヤー」の存在による価格つり上げが問題視されてきた。転売ヤーたちは、店頭ではアルバイトを使った人海戦術を、オンライン上では自動購入ツールなどのテクノロジーを駆使して、人気アイテムを独占。発売翌日には、ネットオークションやフリマアプリなどを利用して、定価の数倍で販売している。

高値がついた商品は、一般の愛好家には手の届かない存在となる。1990年代からスニーカーを愛好しているというある40代の男性は「ブームの異常な加熱で、お金や手間をかけないと新作が手に入らない。僕はもっと “ゆるく” スニーカーを楽しみたいのですが」とため息まじりに語る。

こうしたスニーカー転売問題の渦中にあるのが、アディダスと人気ラッパーのカニエ・ウエストによるコラボレートコレクション「adidas + KANYE WEST」だ。同ラインが手がけるスニーカー「YEEZY」シリーズは、2015年の初登場以来、全モデルが転売ヤーたちのターゲットとなってきた。

その中でも一番人気を誇るモデルが「YEEZY BOOST 350 V2」で、ファッションアイコンとして次々に流行を生み出すカニエが手がけた現代的なデザインだけでなく、当時は上位モデルに搭載されることが多かった「プライムニット」や「ブーストソール」といった最新テクノロジーが生み出す履き心地も、スニーカーファンからの評価を獲得。「デザインと機能を高いレベルで両立した一足」として、時に定価の数十倍におよぶプレミアム価格で取引されることもあった。

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26日16時の時点では公式サイトでどのサイズも「在庫あり」。これまで買えなかった人にも届きそうだ(写真・アディダス提供)

スニーカーヘッズ(熱狂的コレクター)の間で、高値で取引される状況に対して、製造するメーカー側も、ただ手をこまぬいていたわけではない。昨年アディダスは、価格が高騰していた人気モデル「YEEZY BOOST 350 V2 TRIPLE WHITE」の大規模な再販売を実施。オンラインショップでアンケートに回答したユーザーに抽選で先行購入権利を与えるという形をとった。公正かつ公平な価格での購入機会を、より多くの人に提供することが目的だった。この試みは一定の成果を挙げ、同モデルの価格は以前に比べると落ち着いた。ただ、依然として定価の倍近い価格で取引されている。

1人でも多くの消費者に届けるため、アディダスは1月21日、同モデルの2度目の再販売を発表した。”YEEZY FOR EVERYONE“(YEEZYをすべての人のために)というカニエ・ウエストの思いを体現するモデルとして、1月26日からアディダス オンラインショップ並びに直営店、スニーカーショップで購入が可能になるという。同社によると、前回よりも流通量と流通経路を増やすとのことなので、これまでよりも「YEEZY」を買いやすくなることが期待できるはずだ。

いま、スポーツブランド側だけでなく、ブームの恩恵を受けてきたスニーカーショップも厳しい転売防止策をとるようになっている。昨年アメリカでは、購入時にスニーカーの外箱を廃棄させ、スニーカーを履いた状態で退店させるショップも登場した。もちろん新品での転売を防止しようというのが狙いだ。

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現在のスニーカーブームの“狂騒”の部分は、メーカーとショップと消費者(その中でも転売する人とそれを買う人)の3者それぞれに責任があると言って良いだろう。誰もがスニーカーを楽しめる日々を取り戻すために、メーカーとショップは変わり始めた。わたしたち消費者側も意識を更新すべきタイミングなのかもしれない。もっと気楽にスニーカーを楽しむために。

(文・ライター 吉田大)

PROFILE

吉田大

ライター・編集者。大学卒業後、児童書出版社勤務を経て、フリーランスに。ファッション、アート、音楽、ストリートカルチャーから、政治経済、社会問題、テクノロジー、グルメに至るまで、多岐にわたるジャンルにおいて、長年に渡り執筆活動を続けている。趣味は自転車と立ち食いそば店めぐり。お酒や煙草を嗜まないストレート・エッジな生活を送っている。

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