キャンピングカーで行こう!

SNS情報頼りは危険かも キャンプ車の高性能パーツと上手に付き合うコツ

これまで何度もお話ししてきたかと思いますが、キャンピングカーのベース車両は多くが商用車です。そのため、どうしても経済性や耐久性が重視されていて、乗り心地や走行性能は後回しにされている部分があります。

そこで、登場するのが足回りやエンジン回りの性能向上を目的とした各種の非純正パーツです。キャンピングカー専門誌の広告などにも、各種パーツが多く掲載されていますし、ユーザーのSNSやブログなどにも、こうしたパーツの装着インプレッション記事などが多数あります。それだけユーザーの関心が高いのでしょう。今回はそんな非純正パーツについてのお話です。

副作用のない薬はない!

メーカー純正パーツとそうでないパーツは、どこが違うのでしょう。

「純正パーツの性能に不足を感じるから非純正パーツに交換したり、追加したりするのだ」。はい、おっしゃるとおりです。

もうすこし具体的に説明するなら、メーカー純正の部品は、経済性と性能のバランスをとったミニマムな性能だと言えます。対して非純正パーツは性能向上を第一に考えています。一番わかりやすいのが価格でしょう。純正パーツと比べて、非純正パーツは高価な材料が使われていたり、精密な構造だったりで、どうしても価格が上がります。それに生産量のこともあります。純正パーツは自動車の生産量・流通量を見越して万単位で製造されますが、非純正パーツはどうしても「高いお金を払ってでも買ってくれそうな人がどれぐらいいるか」、需要を見越しての生産ですから純正よりは少量です。当然、一つ当たりの単価は高くなりますよね。

単純に値段のことだけ考えるならば、それぞれユーザーが「向上が見込める性能」と「価格」が見合うと思うならば、それでよしです。しかし、副作用のない薬がないのと同じで、非純正パーツにはメリットもデメリットもあります。それが果たして、どの程度のものか、自分の体(車)にとってどの程度の影響になるのか。メリット・デメリットの両面を理解してから導入しないと、効果がないばかりか、思わぬトラブルの原因となることもあります。

人気の非純正パーツは……

以下に、特に人気の高いパーツについて簡単に解説してみました。車種によっても、パーツによっても千差万別。その組み合わせの良しあしを論ずるのは簡単なことではありませんが、「どう考えて選ぶべきか」にしぼってみました。参考にしていただければ幸いです。

■サスペンション

特に商用車の場合、乗用車に比べて視線が高く、重心も高め。そのため「カーブが怖い」「大型車に抜かれると怖い」につながりがちです。そこで対策を考えるとき、真っ先に思いつくのがサスペンションではないでしょうか。さまざまな非純正パーツが販売されていますが、まず第一に覚えておいていただきたいのは「正解は一つではない」ということ。「これさえ導入すればふらつきはピタリと止まる!」というような万能薬はありません。

また、ベース車両が同じであっても、車種や架装の状態、使用状態や運転のくせなど、さまざまな要因で「正解」は異なってくるのです。Aさんの車にとって最適だったパーツが、Bさんにとってもよいとは限らない、ということ。口コミや人のブログに書かれた感想を参考にするのはいいですが、自分の車をよく知る前に「絶対これ!」と飛びつくのは早計です。

自分の車の重量バランスがどちらかに寄っていたりしませんか? 後付けで家庭用エアコンを取り付けたりして、荷重が増えたりしていませんか? 本来の車としての足回りはどうなっているでしょうか? さまざまな要因を考えあわせなくてはならないこともあるし、各ショップやビルダーによって考え方が違うこともあり、もっとも難しいパーツとも言えます。

では、どうやって選んだらよいのか。健康管理をするとき、まず健康診断をしますよね。薬を処方してもらうときだって、血液検査や診察で「必要な薬」と「必要な量」を判断します。それとまったく同じだと考えてください。

足回りは安全性に直結する、非常に重要な部分です。安易に判断せず、まずは根拠をさぐることから。車種や使用状況などを十分にヒアリングしてくれる、知識も経験豊富な「キャンピングカーの」ショップやビルダーで選んでもらうのが最善の方法です。

■ブレーキ

「重いわりに止まらない」など、ブレーキの利きに不満がある場合、強化ブレーキパッドに交換するという選択肢があります。ブレーキも安全運転上でもっとも大切な要素ですよね。

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これがブレーキまわり。ディスクをパッドで挟んで回転を止めるしくみなので、どうしても摩耗する。高性能なブレーキほど消耗も早い

では、どんなブレーキがよいのでしょうか? 簡単に言ってしまえば「確実に止まる」「止めたいときに早く止まる」などが考えられますが、ブレーキパッドの性能はもうすこし複雑なものです。単に利きが強い・弱いの問題ではなく、

・軽く踏んだ時点から強めの制動力を発揮するのか
・グッと踏み込んだところから発揮するか

など、それぞれに「制動特性」というものがあります。いずれにせよ利いてくれたほうがいいのは当然ですが、重心が高く重量もあり、荷物もたくさん積んでいるキャンピングカーが「安全に」「確実に」「穏やかに」止まるためには、「がつん!」と止まるタイプよりは、安定的にソフトに止まってくれるタイプがよいはずです(私自身、急ブレーキをかけたら居室部分から物が飛んできた、なんていう経験もあります)。

さて、では強化パッドのデメリットはというと、まず純正に比べて「減りが早い」という点があげられます。よく利くということは、それだけ純正よりも強い摩擦を起こしているわけですから、減りが早いのは仕方がありません。また、それだけ「よく発熱する」ということでもあります。だとすると、ブレーキローターも心配になってきます。純正のブレーキローターは純正パッドとの組み合わせを想定しているからです。

・純正より減りが早い
・発熱しやすいからブレーキローターに負担がかかっている

強化パッドを組んだらこの2点を意識して、こまめに点検することが大切です。

■エンジン関係

エンジンパワーに不満を持っているユーザーも多いようです。居住部分(架装)の重量だけでも、フル積載したトラックを走らせているようなものですので、乗用車のようにはいかないのは仕方がありません。

そんなユーザーの間で人気なのがサブコンピュータと呼ばれるパーツ。略してサブコン、などと呼ばれますが、エンジン本体に手を加えることなく、コンピュータで自動制御されている燃料噴射量を手動で調節することで手軽にパワーアップができる、という装置です。

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サブコンピュータの一例。手のひらサイズの小さな箱だが、エンジンの出力をコントロールすることができる

・エンジンそのものを改造しているわけではないこと
・大幅な出力増ではないので、エンジンそのものの寿命に影響はない

というのがメリットだとされていますが、例えばミッションなどの駆動系やブレーキ周りへの影響はどうでしょうか。

具体例を挙げてみましょう。

トヨタのハイエースは一昨年のマイナーチェンジで、ディーゼルエンジンがそれまでの1KD型から新型の1GD型に変更されました。このエンジンはもとは同社のランドクルーザー プラドにも搭載されていたもの。旧型(1KD)に比べて最大出力・最大トルクとも大幅に向上しており、ハイエースでも走行性能向上が期待されました。

ところが、いざふたを開けてみると、ハイエースに搭載された新エンジン(1GD型)の出力・トルクは旧型(1KD)と同じになるよう、調整されていたのです。どうしてそんなことになったのか。このモデルチェンジは「フルモデルチェンジ」ではなく「エンジンを載せ替えただけ」です。ということは、駆動系はすべて旧型エンジン対応のまま。そこにパワーアップした新型を搭載すれば、当然負担がかかります。安全性や車そのものの耐久性にも関わる部分ですから、そのように調整せざるを得なかった、ということなのです。

このように、エンジンの出力が向上すれば、駆動系やブレーキに負担がかかります。もし、非純正パーツを採用してパワーアップを図ったなら、ATFやブレーキパッドなどの管理を、よりこまめにする必要があるのです。

非純正パーツと上手に付き合うには

どんなパーツであれ、忘れてはいけないのは、純正以上に細かなチェックが必要だということです。部分的に強化したからといって「車そのものの限界が上がったわけではない」のです。

たまに「サスペンションを強化したら変わりました! 60km/hで曲がると怖かったところが70km/hでも怖くなくなりました」なんておっしゃる方がいますが、これは大きな間違いです。「より安全になった」のではなく「より不安を感じにくくなった」だけで、自動車の性能自体は変わっていません。「スピードを出しても大丈夫!」と以前より荒い運転をすれば、それだけマージン(余裕)を削ってしまうことになるのです。

さらにもうひとつ。非純正パーツに交換や変更をした時点で、場合によってはビルダーやメーカーの保証が受けられなくなる可能性もあります。純正パーツでトラブったならともかく、非純正パーツの導入は、メーカーからみたら「独自改造」という扱いになります。

私は非純正パーツをすべて否定するものではありません。私自身、取り付けているものもあります。非純正パーツをうまく活用するコツは、

・購入した店や修理をお願いしている、ビルダーやショップによく相談すること
・何かを強化したからといって「無敵になった」気にならず、チェックはこまめに
・性能が向上した分、気持ちにゆとりをもって安全な運転を心がけること

これに尽きるのではないでしょうか?

オフ会やSNSでの情報交換はとても楽しく、勉強になることばかりです。しかし、口コミは口コミ。万一トラブルになっても、教えてくれた人が責任を取ってくれるわけではありません。聞いた話を参考にしつつ、信頼できるビルダーやショップスタッフに相談して確信を得てから導入するのが賢明です。

PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。

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