キャンピングカーで行こう!

JCCS2019トピックス キャンピングカー専用タイヤが本場ヨーロッパから上陸!

さて今回も、前回同様、「ジャパンキャンピングカーショー2019(JCCS2019)」の展示から気になったトピックスをご紹介。ですが今回は「気になる車両」ではなく「車輪」、タイヤのお話です。
キャンピングカーはその特性上、常に高荷重の状態で走っています。大雑把な言い方をするなら、常に満載状態のトラックと考えて差し支えないでしょう。この特性がタイヤにとっては非常に厳しい状態であり、日ごろのメンテナンスが重要なことは再三このページでも書いてきました。そんな中、ヨーロッパから新たに上陸することになったタイヤとは、どんなものでしょうか。

タイヤの規格は国によって異なる

日本は日本自動車タイヤ協会=JATMAが、独自の規格を定めています。
アメリカにはTRA(The Tire and Rim Association)、ヨーロッパにはETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)という団体があり、やはりそれぞれに規格を作っています。この規格でサイズや耐荷重が細かく規定されているのです。
ではキャンピングカーについてはどの規格が当てはまるのかというと、

日本とアメリカ
基本的に小型トラックタイヤ(LT規格)のタイヤが使われています(ただし、日本とアメリカでは同じ「LT」と名付けていても、規格の内容は異なります)。
日本ではブリヂストンタイヤから、キャンピングカー用としてデュラビス・キャンパーという日本のLT規格のタイヤが発売されています。

EUでは
ETRTOは2003年にキャンピングカー専用タイヤ規格「CP」を定めました。もちろん、高荷重で使われるキャンピングカーに配慮した規格となっています。今回日本でも発売されることが決まったミシュランタイヤの「アジリス キャンピング」は、この「CP」規格のタイヤなのです。

では「LT」と「CP」はどう違うのでしょうか。

CP規格のタイヤとは簡単に言ってしまえば「タイヤの構造を強化して、ふらつきの軽減と高い耐久性を目指した製品」。具体的には同一サイズの「LT」タイヤに比べて、より空気圧を高めて使うことができ、高負荷の状態で常用できるようになっているのです。
もう少しわかりやすくご説明しましょう。キャンピングカーは見た目のとおり、トラックによく似ています。実際、ベース車両も、貨物の積載に適した商用車(商用バンやトラック)であることが多いのはご存じのとおりです。ですが、商用車とキャンピングカーは、その「使われ方」に大きく違いがあります。

トラックや商用バン
物を運ぶのが仕事ですから、車は毎日仕事に出ます。車が動かない=商売にならないわけですから、じっとしている時間は非常に短いのが特徴です。
また、積み荷は満載になったり、空っぽになったりします。空っぽで移動させるのは無駄になりますから、往路・復路とも荷物を積んでいることが多いですが、休眠(ガレージで待機する時間)中は空荷であることが多いでしょう。

キャンピングカー
レジャーのための車ですから、毎日は出動しません。使用頻度や走行距離は持ち主の使い方次第でまちまちですが、毎日キャンピングカーで出勤します、なんていう人でもない限り、一年を通して、走っている時間より止まっている時間のほうが長いのが一般的です。そしてキャンピングカーの荷重は「荷物」ではなく「装備」なので、使わない間も家具や電気設備など、生活装備の負荷はかかりっぱなしになっている、ということです。

こうした違いがタイヤに与える影響はどうでしょうか?
トラックのように休む間もなく走り続けることも大きな負担ではありますが、キャンピングカーのように、年の大半が止まった状態であり、しかも常に荷重がかかりっぱなしというのも、タイヤにとっては過酷な条件です。
では、キャンピングカーのように架装(フル積載状態)のまま長期間の駐車されるような場合、どんなタイヤがよいのでしょうか。
まず、同サイズのLTタイヤと比べて許容重量は同程度でなくては困ります。それでいて、じっと重い荷物を積んだまま止まっていられる強さが求められる=よりタイヤを丈夫にして、空気圧を高めて使用できる設計にした、というのが「CP」タイヤなのです。
ヨーロッパ製のキャンピングカーは、出荷される時点でほぼ、CP規格のタイヤが装着されています。しかし、やがてタイヤを履き替えるタイミングが来た時、従来は日本にCP規格のタイヤはありませんでしたから、該当するサイズのLTタイヤを履くか、ヨーロッパから取り寄せる以外にありませんでした。それがこれからは、出荷時と同様のタイヤに履き替えられるようになったというわけです。

JCCS2019トピックス キャンピングカー専用タイヤが本場ヨーロッパから上陸!

これがアジリス キャンピング。少々の雪や非舗装路にも対応したM+Sタイヤだ

キャンピングカーの本場から上陸

今回のジャパンキャンピングカーショーで日本ミシュランタイヤが発表したのが、このCP規格のキャンピングカー専用タイヤ「アジリス キャンピング」です。
発売は3月1日から。サイズは16インチ径の3サイズ、15インチ径の2サイズの合計5サイズで、価格はオープン価格だそうです。
同社がCP規格のタイヤを発売するに至った経緯を聞いたところ、タイヤ交換時期を迎えたヨーロッパ車ユーザーから、CP規格のタイヤについての問い合わせを数多く受けるようになり、日本である程度のマーケットが見込めるようになったから、とのこと。ヨーロッパ車人気が好調に推移しているのは知っていましたが、いよいよタイヤメーカーもその対応に乗り出すほど、市場でのヨーロッパ車のポジションが定着してきたのだといえそうです。
さて、では「CP」タイヤはヨーロッパ車にしか用のない代物なのでしょうか?前述のキャンピングカーの特性は、国産・外車を問わず変わりません。国産キャンピングカーにとっても「CP」規格のタイヤは適しているといえるでしょう。国産キャンピングカーオーナーで、次に履き替えるときには「CP」も検討してみたい、という方もいらっしゃるかもしれません。
今回導入されたタイヤは、すべてが輸入品。国産キャンピングカーでよく使われる、195/70R15や195/80R15はラインナップされていませんが、215/70R15や225/70R15があります。ボディーに干渉させることなく取り付けられるかどうか各車両ごとに確認する必要はありますが、理論上は国産キャンピングカーにも使用が可能です。興味のある方はビルダーに相談してみることをお勧めします。

実は「アジリス キャンピング」にはもう一つ特徴があります。それは従来の日本製LT規格に比べてスピードレンジがあるということ。
速度記号=スピードレンジとは規定の条件下で、そのタイヤが走行できる速度(最高速度=能力)を示すもので、LT規格のタイヤは速度記号はL=120km/hですが、アジリス キャンピングはQ=160km/h(225/75R16はR=170km/h)となっています。

JCCS2019トピックス キャンピングカー専用タイヤが本場ヨーロッパから上陸!

国内発売のサイズリスト。ヨーロッパ製キャンピングカーはもちろん、国産キャンピングカーにも使えるサイズがある

国産キャンピングカーの場合は100km/hまでを基準に考えられていますが、ドイツやフランスなどではキャンピングカー(車両総重量3.5t以下)の最高速度は130km/h。これを基準に考えられているため、国産LT規格よりもスピードレンジが高いということなのです。
実際、国内でも新東名高速道路の一部制限速度の引き上げも始まりますから、120km/hが能力ギリギリのタイヤで120km/h出すよりも、力に余裕のあるタイヤで120km/h出した方が安定している、とは言えるでしょう。

ただ、ここで明確にしておきたいのは、ヨーロッパ車であれ国産車であれ、車両全体の能力に見合ったスピードで走行するべきだ、ということです。タイヤだけスピードレンジの高いものに履き替えたからといって、車両の足回りそのものの能力が向上するわけでも、ましてや「スピードを出しても安全」になるわけでもありません。

同じ速度で走っても、そこからブレーキをかけても、乗用車とキャンピングカーでは車の挙動そのものが全く違います。乗用車と同じ感覚でアクセルを踏むと、思わぬ事故につながることもあります。よりハイスペックな装備を装着すれば安心感は高まりますが、その分「むちゃをしてもいい」ことにはなりません。タイヤが高性能化した分、安全への意識も高く持ちたいものです。

PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。

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