写真家・石川直樹 20年以上の活動の集大成「この星の光の地図を写す」

世界各地を巡りながら、人々の生活の営みや大自然に焦点を当て、シャッターを切ってきた写真家・石川直樹さんの個展「この星の光の地図を写す」が東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーで開催中だ。

本展は2016年、茨城から始まった巡回展。新潟、千葉、高知、福岡と続き、今回の東京が終着地となる。会場のオペラシティがある初台は、石川さんの生まれ故郷ということもあり、感慨もひとしおだという。

展示物は石川さんの活動初期から現在まで20年以上にわたる作品約300点。

北極、南極、ヒマラヤ8000m峰といった極地での写真や、洞窟壁画の写真、あるいはポリネシアの島々の探訪記録など、旅のシリーズごとにエリアが分かれ、歩みを進めるごとに石川さんの足跡をたどることができる。

入り口を入ってすぐの場所に展示された「DENALI」は、石川さんの原点となるシリーズだ。

「20歳のときに初めて体験した高所登山で、アラスカのデナリという山の頂で撮影しました。一カ月以上の月日をかけて登ったから、きれいな景色を撮ろうと思ったんですけどね。仲間のフードが写り込んでしまって、当時は失敗したなと思いました。でも今振り返ると、逆に写っていて良かったと感じます」(石川さん)

山肌を一面に覆った真っ白な雪と、青い大気のコントラストが印象的な一枚。石川さんは、「時を経ても見返すごとに感情の変化や新たな発見がある」と語る。

撮影に使用しているのは、フィルムカメラと単焦点のレンズのみ。ズームレンズを用いないところが「距離感」に重きを置く石川さんらしい。

単焦点レンズは人の目と同じで、一部分だけを拡大することができない。これ以上近づきたくても近づけないというもどかしさや、憧れや畏怖(いふ)、好奇心といったさまざまな感情――被写体との距離感が映し出されるからこそ、鑑賞者はその場にいるかのような臨場感を感じることができる。

「インターネットで調べれば、何でも分かったような気持ちになってしまう時代ですが、北極だろうが南極だろうが、自分の足で歩いて身体で理解したい。そこにしか存在しない空気や匂い、人々と出会いながら、その土地を理解していきたいという気持ちが強くあります」

さまざまな場所で生の一瞬を捉えた写真の数々は、日常や世界を自らの目で見つめ直すきっかけを与えてくれるだろう。

(文・山田敦士)

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PROFILE

石川直樹(いしかわ・なおき)
1977年東京生まれ。写真家。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により、日本写真協会新人賞、講談社出版文化賞。『CORONA』(青土社)により土門拳賞を受賞。著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した『最後の冒険家』(集英社)ほか多数。最近では、ヒマラヤの8000m峰に焦点をあてた写真集シリーズ『Lhotse』『Qomolangma』『Manaslu』『Makalu』『K2』(SLANT)を5冊連続刊行。最新刊に写真集『Svalbard』『流星の島』(SUPER LABO)、著書『極北へ』(毎日新聞出版)がある。

BOOK

「この星の光の地図を写す」(リトルモアブックス)

EXHIBITION:

石川直樹 この星の光の地図を写す
2019年1月12日(土)〜3月24日(日) 東京オペラシティ アートギャラリー(3Fギャラリー1、2) 11:00〜19:00 (金・土は11:00〜20:00/いずれも最終入場は閉館30分前まで) 休館:月曜日  一般 1,200円(1,000円)、大学・高校生 800円(600円)、中学生以下無料

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