口福のランチ

魚料理とご飯のおいしさを堪能したい日のランチ「大漁光」(東京・平河町)

麴町駅から歩いて7分ほどのビルの谷間にひっそりとたたずむ魚料理の店「大漁光」。引き戸の先にはテーブル席が四つと小上がりの落ち着いた空間。母体が新小岩の老舗鮮魚店「魚次三(うおじさ)」と聞けば、絶品の魚料理に納得がいく。見つけにくい場所にもかかわらず、午前11時30分のオープンと共に人々が集まってくる。

ランチタイムは、日替わりが3~4種類。「生本鰹の漬け丼(1000円)」「本マグロ丼(1000円)」「自家製鯖(サバ)みそ煮定食(1000円)」や「とろ鯖焼定食(1000円)」など、丼もの、煮魚、焼き魚の定食で、内容は入荷状況によって変わる。

だしのきいたみそ汁、味が染みた切り干し大根の小鉢もおいしい

だしのきいたみそ汁、味が染みた切り干し大根の小鉢もおいしい

店を訪れるたび、甲乙つけがたい好みのメニューばかりで迷いに迷う。前回訪ねた時は、店で一番人気だという「活〆真鯛のづけ丼特製ごまだれ(1200円)」を食べたが、朝締めのタイのコリコリ感を残しつつ、ねっとりと濃厚な風味がたまらず、どんぶり飯にもかかわらず躊躇(ちゅうちょ)なく完食してしまった。

今回注文したのは、カツオにたっぷりの薬味をのせた「初鰹叩き丼(1200円)」。こちらも、あっという間にたいらげてしまった。脂がしっかりとのっているのに、カツオ特有の臭みは皆無。山盛りの大根、カイワレ、海苔(のり)とすりたてのワサビがさらにうまみを引き立たせる。

薬味がたっぷりのった「初鰹叩き丼」

薬味がたっぷりのった「初鰹叩き丼」

タイにしてもカツオにしても鮮度が違う。一口食べるとこの値段ではなかなか味わえない上物だとすぐわかる。

現在店を任されているのは、銀座の高級天ぷら店やミシュラン星付きの和食店で腕を振るってきた下山正義さん。魚次三の大将が毎日河岸で仕入れる魚のうまさを最大限生かすよう、できるだけシンプルに、ただし、手抜きをせずに丁寧に仕上げることを信条にしているそう。「魚はおろし方や塩のあて方、切り方や厚み、食すタイミングなどで味わいが全く異なります」と下山さん。「例えば、塩を軽くあてうま味を引き出したり、身を休ませるため少し寝かせたり。その辺りには気を遣っています」

焼き魚のクオリティーも高い。「平政かま塩焼(1000円)」

焼き魚のクオリティーも高い。「平政かま塩焼(1000円)」

この店のもう一つの魅力が、ご飯のおいしさ。ご飯こそ、和食の基本。ご飯がおいしくなければ台無しになってしまう、と並々ならぬこだわりを持つ。米は、年によって味がかなり異なるため、銘柄だけで選ぶことはせず、実際に食べてみて、銘柄やブレンドを決めているそう。今は、ミルキークイーンとコシヒカリをおよそ2対1の割合でブレンドしたものを、仕入れ直前に精米して送ってもらう。

ひと口に新潟県産のコシヒカリといっても、県の南北や海側、山側など場所によって粘りが全く異なるという。下山さんによると、南部の山側が一番粘りの強いコシヒカリができるそうだが、それをやはり粘度の高いミルキークイーンに混ぜている。筆者には銘柄まではわからないが、ご飯がおいしいことはすぐにわかる。

つやつやのご飯に、プロの目利きで選び、腕利きのシェフが仕事を施した魚。だしのきいたみそ汁もひと味違う。ひと手間も、ふた手間も手をかけた魚料理のおいしさをご堪能されたし。

地下鉄・永田町駅から4~5分、麴町駅から7分ほどのビルの谷間にある

地下鉄・永田町駅から4~5分、麴町駅から7分ほどのビルの谷間にある

大漁光
東京都千代田区平河町2-14-12 ウェルビル1F
03-6261-2061

PROFILE

森野真代

ライター&エディター。徳島県出身。外資系ジュエリーブランドのPRを10年以上経験した後にフリーエディターに。雑誌やWebを中心に、旅、食、ファッションなどをテーマに執筆中。無類の食べもの好きでもあり、おいしい店を探し当てる超(?)能力に恵まれている。自分の納得した店だけを紹介すべく、「実食主義」を貫く。酒好きが高じて「唎酒師(ききさけし)」を取得したが、おいしいワインの探索にも余念がない。

ポークご飯はナイフいらずのやわらかさ 「ドーカン」(東京・半蔵門)

トップへ戻る

イタリアを旅した気分になれる「エリオ ロカンダ イタリアーナ」(東京・半蔵門)

RECOMMENDおすすめの記事