キャンピングカーで行こう!

気軽にお出かけしてほしい ユニバーサルデザインのキャンピングカーに凝らされた様々な工夫

前回に引き続き、ケイワークス社の「ユニバーサルデザインキャンピングカー Live」についてのお話です。今回は車両について、具体的に見ていきましょう。

(TOP写真:車いすリフトは片持ち式。乗り込んだあとは、リフトを上げた状態で床板をスイングアウトできるため車イスの固定がしやすい)

車両サイズはゆずれない条件

ベース車両は日産NV350キャラバン。ボディタイプはハイルーフ・スーパーロング・標準幅を選んでいます。この選択にも「こだわり」があります。

室内空間を考えるとハイルーフは必須
大型の車イスでも積み込めるようにするためにはスーパーロングが望ましい
運転の取り回しのよさを考えると、車幅はワイドではなく標準がいい

これらの事情を条件として重ね合わせた結果なのです。ちなみに、「なぜハイエースじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

トヨタ・ハイエースには「ハイルーフ×スーパーロング×標準幅」という設定がないのです(※)。キャラバンの全長5080mm、全幅1695mmというサイズは、大型ワゴン車と比較しても、車長はわずかに長いだけ、幅はむしろ小さい、ということになります。これなら町中の駐車スペースに無理なく収まり、普段使いのストレスも軽減できます。

「ワイド幅にすればスペース的に楽なのはわかっています。とはいえ、運転が難しいことで出かけるのが面倒になってしまっては本末転倒ですから、標準幅であることは譲れない条件なんです」(ケイワークス社の黒田功社長)

障がい者や高齢者など車いすを利用する人に、もっと気軽に出かけてほしい。積極的に外出を楽しんでほしい、というコンセプトを考えると、運転する人(家族あるいは介助者)にとっても負担のないサイズであることは重要なポイントなのです。

※注:ハイエースベースで造ることも可能ですが、「ハイルーフ×ロングボディ×標準幅」を採用することになります。その場合、キャラバンよりさらに小さなサイズになり、レイアウトにも若干影響が出るようです。

最大の特徴はイタリア製リフト

Liveの装備の中でなんといっても特徴的なのは、後部に装備されたイタリア・フィオレラ社製の車椅子リフトでしょう。車いす利用者向けの車両ですから、当然必須の装備ではありますが、これが国産のリフトと違って非常に洗練されているのです。

国産のリフトは左右にアームがあり、設置にスペースを必要とします。安全性や耐久性を追求するあまり、アーム類も非常に武骨なデザインです。その点、フィオレラ社のリフトはアームが1本。片持ちなので場所をとらず、デザインもスマート。しかもリフト部分が回転するので、車いすの固定など、作業がとてもしやすく設計されています。アームは1本だけで非常にすっきりとしていますが、許容荷重は360kg。これなら大型の電動車いすにも十分対応できます。

もうひとつ特徴的なのは、動作のスピードです。国産リフトに比べて動きが速くスムーズ。本人はもちろん介助者にとっても、乗り降りにストレスがないことは大きな利点です。

ユニバーサルデザインのキャンピングカーLiveの内部

エントランス脇のカウンターには、コンパクトにまとめられた各種スイッチ類(照明など)が。その下には冷蔵庫がセットされている

気になるレイアウトは?

乗車定員は5人。2列目・3列目にREVOシートを装備し、簡単にフルフラットなベッドに展開できます。また、シートは後ろ向きにも簡単にアレンジできるので、車イスと向き合ったレイアウトにも。リアには車いすが固定できるようになっており、その両側はカウンターに。カウンターにはシンクや水用タンク、冷蔵庫、FFヒーター(オプション)などが収められています。この両サイドのカウンターにベッドボードを差し渡せば、2段ベッドにもアレンジ可能。最大で大人4人の就寝スペースが確保できます。

ユニバーサルデザインのキャンピングカーLiveの内部

両サイドのカウンターにベッドボードを載せれば、2段ベッドにアレンジ可能。大人4人が就寝できる

シート類の表皮はレザー調。高級感がありながら掃除がしやすく、清潔を保ちやすくなっているのもポイントです。

生活装備についても、車いす利用者と介助者、双方が「安心して出かけられること」を最優先で考えられています。手を洗うシンクや流動食などを保管できる冷蔵庫をはじめ、場合によって医療用の機械を動かすことも考えて、リア部分に電源も確保。自宅で過ごすのと変わらないQOL(生活の質)を維持できるので、万一の災害に対する備えとしても優秀です。

これらは、キャンピングカーにとっては当たり前の装備と言えるかもしれません。しかし、車いすを安全に載せて固定して、そのうえで使いやすい位置にこれらを配置することがどれだけ難しいことか。国産キャブコンを愛用している方ならお分かりかと思いますが、限られたスペースに、いかに合理的に効率よく設備を収めるか、文字通りパズルのように工夫がなされています。そこに「車いすで」「安全確実に」「使いやすい位置に」という条件が追加されるのです。

「障がいの程度は皆さんそれぞれ違いますから、一つのレイアウトで全ての方を100%満足させることは、残念ながらできません。希望に沿ったフルオーダーも可能ですが、そうなると非常に高価なものになってしまいます。このLiveを造るにあたっては、家族を介助してきた自分の経験を生かして“最大公約数”と言える車ができたのではないかと思っています」(黒田さん)

ユニバーサルデザインのキャンピングカーLiveの車内

2列目・3列目シートをフルフラットベッドにしたところ。シンプルなオペレーションでベッド展開できるのもうれしい

車いすだから長時間の外出は無理で、ましてや旅行なんて考えられない。そうやって諦めている人たちにこそ使ってみてほしい。環境さえ整えば、気軽にバリアフリー旅が楽しめることを知ってほしい。そんな思いから黒田さんはLiveをレンタルしています。

Liveはもちろん、販売もされています。実車に触れてみた人が「これならハンディキャップがあっても出かけられる」と効果を確認して、購入するそうです。ベーシックなモデルに豊富なオプションを組み合わせることで、様々な要望に応えています。

キャッチコピーは「ハンディキャッパーの翼になる車」。ユニバーサルデザインの名の通り、あらゆる人のお出かけを助けてくれる存在として、注目です。

ユニバーサルデザインのキャンピングカーLive

株式会社 ケイワークス
愛知県豊橋市下地町字宮前35-1
電話:0120-223-448
http://www.kworks-aurora.com/live/

PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。

開発者と家族の体験から生まれた「ユニバーサルデザインのキャンピングカー」レポート

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