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パタゴニアが満を持して発売した春夏レインジャケット 半袖の上でも肌に張り付かない

この数年、アウトドアウェアを街中で着こなす男性が増えている。カジュアルでちょっとオシャレで着心地もいい。本コラムでは、ファッション性と機能性を兼ね備えたアウトドアブランドが展開する「これさえ持っていれば間違いない」というマストバイなウェア、グッズを紹介していく。

カルサイト・ジャケット

カルサイト・ジャケット

雨が多く、湿度が高い春から夏にかけて心強い味方となってくれるのが、防水だが内側の湿気を発散してくれる「ゴアテックス」を使ったレインウェア。ちょっと意外だが、パタゴニアはこの数年ゴアテックスを使った春夏向けレインジャケットを作っていなかった。しかし2019年の春夏シーズン、満を持して2.5層構造のゴアテックスを使用した高性能レインジャケットが復活した。カルサイト・ジャケットだ。

「蒸れ」を実感してしまう肌への「張り付き」を解決

ゴアテックス・メンブレンを外側のシェル素材に貼り合わせ、油分を弾く物質と炭素から成る保護用の裏地をつけている

ゴアテックス・メンブレンを外側のシェル素材に貼り合わせ、油分を弾く物質と炭素から成る保護用の裏地をつけている

現在は廃盤となっているパタゴニアの名作ゴアテックス・レインウェア「スーパーセル・ジャケット」は、透湿性が高く、また軽量だったことから人気アイテムとなっていたが、ちょっとした欠点を抱えていた。内部に結露した水分によって、裏地が肌にベッタリ張り付いてしまうのだ。
パタゴニア日本支社の大堀泰祐さんはこう語る。

「春夏もののレインウェアは、半袖の上から身につけることも多いので、湿気で肌に張り付いてしまうことがあったんです。それだと、どうしても蒸れを意識してしまいます。そこでパタゴニアが裏地の素材として採用したのが、表面に凹凸があって、肌触りの良い『パックライトプラス』という素材。今回紹介するカルサイト・ジャケットの裏地には、この素材が使われているので、かつてのように湿気で肌に張り付くことがなくなりました」(大堀さん)

脇下にはダブルジップ仕様のピットジッパーを装備。ジャケット内にこもった熱を一気に放出できる

脇下にはダブルジップ仕様のピットジッパーを装備。ジャケット内にこもった熱を一気に放出できる

クライミングでの使用を意識しつつ、汎用性を追求

立体裁断が採用されているため、腕を垂直に振り上げても、裾がめくれ上がってくることがない

立体裁断が採用されているため、腕を垂直に振り上げても、裾がめくれ上がってくることがない

デザインがシンプルで、なおかつ非常に動きやすいため、岩壁だけでなく都市においても「使える」――それがクライミングウェアの特長だ。カルサイト・ジャケットもクライマーを意識して作られたアイテムであり、その名もクライミングの名所であるザイオン国立公園やレッドロックキャニオンの岩を覆う硬質な鉱石「カルサイト」に由来している。しかし、このジャケットには、あえてクライミング時には使うことのない機能も搭載されているのだとか。

 「腰の部分の左右にポケットが付いているんです。クライミングジャケットでは、ハーネスと呼ばれる安全ベルトを装着したときに隠れてしまうので省略することも多いのですが、クライミング前後の入下山や、普段の登山にもあったほうが便利だという判断です。裏地の肌触りが良いので、春先から初冬くらいまでは、雨が降っていなくても通常の羽織ものとして使っていただけます。高温多湿に特化した高性能クライミングジャケットでありながら、すごく汎用性が高いアイテムでもあるんです」(大堀さん)

2カ所にポケットを配置。ハーネスが干渉しにくい胸ポケットはクライミングジャケットならではのディテールだ

2カ所にポケットを配置。ハーネスが干渉しにくい胸ポケットはクライミングジャケットならではのディテールだ

パタゴニアの信用と地球環境を守るため「完璧であること」にこだわる

「使われなくなったパタゴニアのウェアは、店頭で回収され、細かく裁断されたあとに、溶かされ、紡ぎ直されて糸に生まれ変わるんです」と大堀さん

「使われなくなったパタゴニアのウェアは、店頭で回収され、細かく裁断されたあとに、溶かされ、紡ぎ直されて糸に生まれ変わるんです」と大堀さん

カルサイト・ジャケットを含む、パタゴニアが今季リリースした全てのレインウェアには、大きな特徴がある。シェル素材やシームテープなどがリサイクル素材で作られているのだ。だからといって、これまでの製品と比較して機能的に劣っている点は一切ない。プロのクライマーによる4年にわたる厳しいフィールドテスト、製品を24時間洗濯機にかけた後に耐水圧や素材の耐久性をチェックする『キラーウォッシュ』など、やりすぎとも言えるハードなテストをくぐり抜けているという。

リサイクルを言い訳にして性能が落ちるものを発売すれば、パタゴニアの信用が失われるだけでなく、世の中に『リサイクル製品は使えない』という風潮が広がってしまいます。それだけは絶対に避けたかった。だからこそ細心の注意を払って設計し、非常に厳しいテストを行ったんです。そのせいで発売までには少し時間がかかりましたが、あらゆる意味で完璧なアイテムに仕上がっていると自負しています」(大堀さん)

我々はこの先も石油由来の製品に頼っていくことになるが、いつか石油資源は枯渇してしまうのは自明の理。また石油製品の焼却や廃棄が環境を破壊していることはいうまでもない。そんななか、パタゴニアでは、来シーズンからはレインウェアだけでなく、全ての防水ジャケットがリサイクル素材100%使用となる予定だ。同社はCSRを意識したキャンペーンだけでなく、プロダクトそのもので我々の社会が進むべき道を示そうとしているのかもしれない。

形の良い大ぶりのフードも、2本のコードで頭部にしっかりとフィットさせることが可能。あごの部分がしっかり持ち上がるように作られているため、土砂降りや激しい風雨の中でも、しっかりと口元をガードしてくれる

形の良い大ぶりのフードも、2本のコードで頭部にしっかりとフィットさせることが可能。あごの部分がしっかり持ち上がるように作られているため、土砂降りや激しい風雨の中でも、しっかりと口元をガードしてくれる

メンズ・カルサイト・ジャケット
¥ 36,720
https://www.patagonia.jp/ms-calcite-jkt/84985.html

取材・文/吉田大
撮影/牧野慎吾

PROFILE

吉田大

ライター・編集者。大学卒業後、児童書出版社勤務を経て、フリーランスに。ファッション、アート、音楽、ストリートカルチャーから、政治経済、社会問題、テクノロジー、グルメに至るまで、多岐にわたるジャンルにおいて、長年に渡り執筆活動を続けている。趣味は自転車と立ち食いそば店めぐり。お酒や煙草を嗜まないストレート・エッジな生活を送っている。

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