私の一枚

三浦翔平が若き日のピカソと自分を重ねたスペイン&フランス旅

三浦翔平さん

バルセロナのカフェ「Els 4 gats」の前で

4月に出演する舞台『ピカソとアインシュタイン~星降る夜の奇跡~』で若き日のピカソを演じます。もしも同じ時代に生きたピカソとアインシュタインがパリで出会っていたら……という架空のストーリーです。

実在の人物を演じる時は、まずその人物について勉強することから役作りを始めています。今回、ピカソを演じることが決まり、その生涯を調べたいと思いました。今までヨーロッパに行ったことがなかったので、よい機会だと思い、2月にスペイン4泊、パリ5泊の日程で、実際にピカソゆかりの地を訪ねる旅行に出かけました。

この写真は、ピカソも実際に通っていたというバルセロナのカフェ「Els 4 gats」で撮ったものです。

若き日のピカソの苦悩を知ることができた

Els 4 gatsのほかにも、ピカソが暮らした街や通った店に行き、彼がどんな場所で育ち、どのタイミングでどんな絵を描いたのかをたどりました。有名な「アビニョンの娘たち」を描いたというアビニョン通りへ行って、当時の街の雰囲気を想像したり、今回の舞台でピカソとアインシュタインが出会う場所に設定されているパリの「ラパン・アジール」というキャバレーに行ったりしました。

今のラパン・アジールはシャンソンバーになっていて、ピカソが通っていた頃とはまったく趣が異なっていましたが、それでもいろいろと想像できました。100年以上前にピカソがここで何を飲み、どんな会話を交わしたのか考えました。

一般的にピカソの絵というと、「よくわからない」感じで、いわゆるキュビスムの絵が有名ですよね。もちろん僕もずっとそのイメージでしたが、スペインで生まれ育ち、写実的な絵からスタートして、パリに移ってからは「青の時代」と呼ばれる暗い色合いの絵をたくさん描いた時代があり、社会情勢などによって思うように絵が描けない時代があって、やがてキュビスムに目覚めていったことを知りました。

天才だとか、解釈が難しいとか、ピカソのそういう一面が取り上げられる機会が多いですがあのピカソですら20代にはさまざまな悩みを抱えていたと知ることができたことは、今回の旅の大きな収穫でした。

立ち止まって考える余裕がなかった20代

自分も20代を振り返ると、芸能界に入ってすぐの20歳前後の頃は、勢いと若さだけで演技をしていました。しかし、やがて自分の技量不足や仕事に取り組む姿勢の甘さを痛感するようになり、さらに、自分よりはるかに能力が優れた人たちと出会ったことで、壁にぶち当たって悩んだ時期がありました。

当時は休みがなかなか取れなかったこともあり、立ち止まって考える余裕はありませんでした。日々の仕事に追われて、ただ「こなしていた」だけになっていたのかもしれません。一度立ち止まって自分をリセットする時間を持ちたくなって、25歳になったころ、半年ぐらいのお休みをもらいました。

長い休みの間は、忙しくて会えていなかった人たちと会い、家族と食事をして、旅行に行って誰も人がいないようなところでのんびり過ごしました。そうやって自分をフラットな状態に置くと、忙しくしていた時は見えなかった本当の気持ちが見えてきて、「どうしてあんなに悩んでいたのだろう」と思えるようになりました。その頃から、あまり難しく考え過ぎず目の前のことに全力で取り組むという、今の仕事に対するスタンスが作られていった気がします。

三浦 翔平

昨年デビュー10周年を迎えた三浦翔平さん

舞台は“フルコースの料理”のようなもの

今回の舞台では、岡本健一さんとのキャストチェンジがあります。岡本さんがピカソを演じる時には僕が「未来からの訪問者」を演じて、僕がピカソを演じる時には岡本さんが「未来からの訪問者」を演じます。昼の公演ではピカソ、夜の公演では未来からの訪問者という日もあるので混乱しそうですが、そこが最も楽しみな部分でもあります。

岡本さんは以前もこの役を演じていらっしゃいますので、困った時には助けていただきつつ、自分なりのピカソを出していけたらいいですね。コメディーなので、見終わった後に楽しい気分で帰っていただけたらうれしいです。

そして、ちょうど上演期間中に元号が変わります。この舞台も19世紀と20世紀の境目における未来ある若者の話ですから、その点でもこの時期に上演する意味があると思っているので、新しい時代に向けてこれから頑張ろうと思っている人にきっと楽しんでいただけるのではないかと思います。

僕にとって舞台の仕事は、料理でいうフルコースのようなイメージ。物語の幕が開いたらまずアペリティフが来て、前菜、アラカルト、メインと続き、最後はデザートがあって幕が下りる。そんなイメージです。

映像の撮影の場合は、最初にデザートから入る時もあれば、メインから入る時もあれば、メインがなかなか運ばれてこない時もあったりして、ワンカットのためにいかに自分をピークに持って行くかを考える必要がある。そこが映像で演じる際に大変なところですね。

舞台は責任が大きくて、常に一発勝負という緊張感もありますが、自分自身がストーリーに入り込める面白さがあります。今回もそんな舞台の魅力を感じながら演じたいです。

(聞き手・文 髙橋晃浩)

『ピカソとアインシュタイン』バナー

『ピカソとアインシュタイン』では岡本健一と三浦翔平がピカソを、川平慈英と村井良大がアインシュタインをダブルキャストで演じる

みうら・しょうへい 1988年、東京都生まれ。2007年、第20回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで「フォトジェニック賞」と「理想の恋人賞」を受賞。2008年、ドラマ『ごくせん』第3シリーズに出演し注目を集める。その後、多くのテレビドラマ、映画、舞台等に出演し活躍中。2011年には映画『THE LAST MESSAGE 海猿』で第34回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。舞台『ピカソとアインシュタイン~星降る夜の奇跡~』は4月25日(木)より5月9日(木)まで東京・よみうり大手町ホールにて、5月12日(日)に大阪・森ノ宮ピロティホールにて開催。

■『ピカソとアインシュタイン~星降る夜の奇跡~』
http://hpot.jp/stage/picassoeinstein2019

PROFILE

髙橋晃浩

福島県郡山市生まれ。ライター/グラフィックデザイナー。ライターとして有名無名問わず1,000人超にインタビューし雑誌、新聞、WEBメディア等に寄稿。CDライナーノーツ執筆は200枚以上。グラフィックデザイナーとしてはCDジャケット、ロゴ、企業パンフなどを手がける。マデニヤル株式会社代表取締役。

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