インタビュー

福山翔大「もっと僕を見て欲しい」映画『JK☆ROCK』で初主演

今注目の若手俳優、福山翔大さん。福山さんの存在を知らしめた作品が、昨年公開された映画『ガチ星』だ。競輪選手を目指す40過ぎのダメ男のライバルとなる若手エース役を圧倒的な演技で魅了し、見る人の心をつかんだ。そんな福山さんの初主演作『JK☆ROCK』が公開される。

『JK☆ROCK』は、音楽の夢を諦めた主人公が女子高生バンドを通じて、音楽への情熱を取り戻す青春ストーリーだ。主人公の海江田丈を演じる福山さんにインタビューした。オーディションの意外なエピソードから、人生を変えた『ガチ星』との出会い、俳優になることを決意した1本の映画について語ってくれた。

映画『JK☆ROCK』

金髪に染めたラフなヘアスタイルがよく似合う。「髪を染める役が意外と多くて、金髪も何度かやっています」(C)2019「JK☆ROCK」ビジネスパートナーズ

ギター持参のオーディション。40分のトークで本音をさらけ出した

「オーディションは、僕1人に対して監督を含む30人くらいの面接でした。いただいた紙1枚の台本から、海江田丈は何かを胸に抱えたキャラクターだろうと感じました。自分を繕ってオーディションに臨んでもどうせばれてしまうから、僕がその時に悩んでいることや感じていることを赤裸々に話しました。『今、こんなことを考えています』『芝居が分からないんです』とか。僕の内面を聞いてくださるオーディションでしたね。40分くらい話をして、『じゃあ、お芝居をやってみましょうか』となって、演技は20分くらいでした。1時間ほどをかけてオーディションしたので、とても不思議な感じでしたね」

オーディションにはギター持参で参加した。その時に演奏した曲が、シーナ&ロケッツの『You May Dream』だった。以前に福山さんが主演を務めた同名ドラマで、鮎川誠さん役を演じた時に覚えた曲だ。それをきっかけに、プライベートでもギターを弾くようになった。

映画『JK☆ROCK』

海江田丈は、もっとセリフが多い役だった。「見た人に『何を考えているんだろう』と想像してもらいたくて、セリフを削ってもらった」(C)2019「JK☆ROCK」ビジネスパートナーズ

「ギターは、『You May Dream』の打ち上げでいただいたものです。楽器を弾くのは、台本を読んだり芝居を考えたりするのとは違って、雑念を忘れられるんです。ギターは、触れば触るほど指が速く動くようになって、成長を感じられる。スポーツに近いイメージですね。芝居は、一つ演じたら空っぽになるのを繰り返すので、福山翔大の作品としては積み重なるけど、僕自身は次の作品に役を持ち込むことはありません。だから成長や積み重ねを感じられるギターが楽しいんですよね」

そして主役の海江田丈役を勝ち取った。丈は人気ロックバンドのボーカリストだったが、突然解散し、バンドメンバーだった1人だけがデビューを果たした。解散後、丈はくすぶった日々を過ごしていた。

「丈は、音楽の才能やセンスがあって、高校時代は勢いでバンドをやってきた。深く考えず、感覚的に物事をとらえて行動を起こすタイプで、そこから何となくうまくいかなくなった。僕も福岡から勢いで役者を目指して東京に出て、そこからうまくいかない時があって。そのプロセスや考え方を含めて、僕と似ているのかなと思います。その後、丈はいろいろな人に触れ合う中で人生を取り戻して行きますが、僕も同じように東京の居場所が増えていった。形は違うけれど似ているなと思いました」

【動画】福山翔大さんの踏み出したい一歩は「日々挑戦」(2月25日完成披露舞台あいさつ)

俳優を志すことを決めた1本の映画。「切なくて、泣いてしまった」

本作では、ボーカリストとして弾き語りも披露している。寡黙でクールな丈が歌う、優しく伸びやかな歌声のギャップが魅力的だ。音楽を舞台にした青春ストーリーというテーマにちなんで、高校時代によく聴いていた音楽は何か聞いてみると、予想外の答えが返って来た。

「X JAPANが好きで、『紅』を携帯電話の着メロにダウンロードして聞いていました。その流れで、さだまさしさんや尾崎豊さん、吉田拓郎さんを知って。父親が好きだったから、河島英五さんも聞いていましたね。この年齢にしては意外ですよね(笑)。もちろんGReeeeNやレミオロメン、アジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、スピッツも聞いていましたよ。『紅』を聞いて、東京に行って俳優になる夢を鼓舞していたんです。東京に出ることだけは決めていました」

福山さんが俳優を志したのは高校生の頃。父親が週末、映画館に連れて行ってくれたことからジャッキー・チェンやブルース・リーのファンになり、映画好きになった。高校1年生で見た1本の映画が、その後の人生を大きく変えた。

「母親に頼んでレンタルしてきてもらった『蛇にピアス』です。それまでは大作と言われるような作品しか見ていなくて、『こういう映画もあるんだ』と驚きました。ロミオとジュリエットみたいであまりに切なくて、僕、泣いちゃったんですよね。高良健吾さんに感化されて、役者を目指したというのもあります。それをきっかけに『3年間で映画を1200本見る』というむちゃな目標を立てたんです。これができないと、まず役者になれないと思って」

俳優・福山翔大さん

1200本見た映画のナンバー1は、『イントゥ・ザ・ワイルド』。「今でも一番大切な作品で、ラストシーンは今思い出しても泣けます。表情がいいんですよね」

人生を変えた『ガチ星』。「今でも久松がそばで支えてくれる」

その後、映画1200本鑑賞を達成し、役者としてデビュー。21歳の時に出会ったのが、映画『ガチ星』だ。監督の江口カンさんが同郷の福岡出身で、監督の弟さんと福山さんが同じ中学校だったなど、縁を感じることが多かった。

「3年前に撮った作品ですが、今でも同じ芝居ができるくらい全部覚えています。一番印象的なのは、リハビリ室のシーンですね。(僕が演じた)久松孝明が自転車から落車してリハビリをしている時に、レースで接触して事故を引き起こした(安部賢一さん演じる)濱島浩司が見舞いに来る。助けようとする濱島に『触るな!』って叫ぶんです。鼻水をダラダラ垂らしながらリハビリしているんですが、実はその時の記憶がないんです。あのシーンは3分くらいの長回しだったのですが、監督から『もっとあるだろ!』『母ちゃんを思い出せ!』と激しく言われて。

普段芝居をしている時は、演技している自分と、もう一つ冷静な頭脳があって自分がどう動いているかを意識しているんです。あの時は記憶が一切なくて、劇場で見た時に『俺、こんな顔してたんだ』と知りました。不思議な体験でしたね」

『ガチ星』は、役者としての人生を変えた作品。この作品があったからこそ、役者を続けてこられたと振り返る。

「正直、あの撮影の合宿はもうやりたくないと思うほどきつかったです(笑)。でも監督とは今でも飲みに行くし、共演した安部賢一さんとは家も近くて、先日箱根の九頭龍神社へ一緒に行くなど、今でも仲良くさせてもらっています。どんな役を演じていても、『ガチ星』で演じた久松孝明役が、ずっとそばで支えてくれています。何かあったら、いつも久松を思い出す。あの作品がなければ、今の僕はなかったです」

俳優・福山翔大さん

ヘアメイク:佐々木篤(GLUECHU)、スタイリスト:Stylist JOE(JOE TOKYO)

役を一つ重ねるたびに「もっと人の心を動かしたい」

現在24歳の福山さん。ストイックに演技に向き合い続ける衝動や欲求は、どこから生まれるのだろうか。俳優として望むこと、そして本作『JK☆ROCK』へのメッセージをくれた。

「役を一つ重ねるたびに、『もっと表現したい』『もっとこんな芝居をしたい』『もっと人の心を動かしたい』『もっと人に伝えたい』と思うんです。『JK☆ROCK』のように主演をさせていただくと、『もっと僕を見て欲しい、知って欲しい』と思います。高倉健さん、ライアン・ゴズリング、ハビエル・バルデムといった世界中の素晴らしい俳優さんたちに救われたように、僕もそういう人物になりたいと思っています。

『JK☆ROCK』は生演奏のライブシーンあり、男の復活劇あり。爽やかな青春ドラマですが、誰かの背中を押してあげる作品になってくれたらと思います」

(文・武田由紀子 写真・花田龍之介)

『JK☆ROCK』

(C)2019「JK☆ROCK」ビジネスパートナーズ

『JK☆ROCK』作品情報

キャスト:福山翔大、山本涼介、小林亮太、熊谷魁人、早間千尋(DROP DOLL.チヒロ)、結那(DROP DOLL.ユイナ)、三宅ゆきの(DROP DOLL.ユキノ)、吉本実憂、金井勇太、橋本マナミ、若旦那、吹越満、本田博太郎、高島礼子、西村まさ彦
監督:六車俊治
脚本:谷本佳織
音楽:遠藤浩二
音楽指導:横川雄一
主題歌:「シークレットボイス」(DROP DOLL) 徳間ジャパンコミュニケーションズ
制作プロダクション:エース・プロダクション
制作協力:東映東京撮影所
配給・宣伝:ファントム・フィルム
製作:KAGEYAMAJUKU ENTERTAINMENT (C)2019「JK☆ROCK」ビジネスパートナーズ
2019年4月6日(土)新宿バルト9他 全国ロードショー
公式サイト:https://jkrock-movie.jp/

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