キャンピングカーで行こう!

ウワサのマツダ・CX-8でキャンプ用トレーラーをけん引してみる

トレーラーが普及している欧米では、ヒッチメンバー(トレーラーを連結するための器具)が乗用車の純正オプションとして用意されているのが「普通」と言っても過言ではありません。一部のSUVでは標準装備になっているものもあります。
ところが、日本ではそうはいきません。乗用車でトレーラーを引っ張るという文化が根付いていないため、国内販売されている国産車で、純正ヒッチメンバーが用意されている車はとても少ないのです。それどころか輸入車でも、本国では純正ヒッチメンバーがあるのに、日本では販売されていないことがほとんどです。
そんな中、話題になったのが一昨年の暮れに発売されたマツダ・CX-8。純正ヒッチメンバーが用意されている「ヘッド車」として注目を集めています。そこで、今回はトレーラーユーザーの方にご協力いただき、実際にご自分のトレーラーをCX-8(2.2L、ディーゼルターボ)でけん引してみたときの印象をお届けします。

「こんなに楽なんだ!」

最初に登場いただいたのは、今川みつるさん(49)、ひろこさんご夫妻。トレーラーはトリガノ・エメロード376です。普段のヘッド車は200系ハイエース・バン(2000ccガソリンエンジン車)。ハイエースは頑丈なので、ヘッド車に使う方も多いようです。
「ウインドサーフィンが趣味なので、ボードを載せられる車となるとワンボックス車しかないんです。ハイエースでのけん引は余裕しゃくしゃくとはいきませんが、まぁ十分です」(今川さん)
そこでまず、トレーラーを連結しない状態でCX-8に乗っていただきました。

 

ウワサのマツダ・CX-8でキャンプ用トレーラーをけん引してみる

今川さんご夫妻。秋には第一子の誕生予定だそうで、すでにトレーラー大型化に向けて、ご主人は教習所通いの真っ最中

ウワサのマツダ・CX-8でキャンプ用トレーラーをけん引してみる

今川さんの愛車、トヨタ・ハイエース+トリガノ・エメロード376。ハイエースはヘッド車としても人気が高い

「ディーゼルって、もっとエンジン音がうるさいかと思ったんですが、静かですね。それでいて、出だしが軽やか! ハイエースより幅はけっこうありますが、トルクが太いのでまったくストレスがありません」

さて、次はいよいよけん引です。今川さんのエメロード376を連結して、いざ、スタート。
「けん引してる感じが全くしないですね。クリープ状態(アクセルを踏まない状態)でも、スッと動き出してくれて、加速していっても全く重さを感じないです」
ハイエースで引いているときよりもトレーラーと車幅の違いが少ないのも(エメロード:2100mm、CX-8:1840mm、ハイエース:1695mm)運転のしやすさに繋がっているようです。「乗用車で引いている人は、こんなに楽な思いをしていたんですね(笑)。当たり前ですけどワンボックスバンとは乗り心地が段違い」と、ひろこさんもかなり満足しているようです。
「夫はすっかりトレーラーにはまってしまって、けん引免許の教習に通ってる最中なんです。ウインドサーフィンのこともあるからワンボックスバンしかないんですけど、この乗り心地は羨ましいなぁ(笑)」(ひろこさん)

次期ヘッド車選びが振り出しに

もうお一人、体験していただいたのは一野瀬昌則さん(51)。トレーラーはおなじくトリガノ社のエメロード390です。一野瀬さんが普段使っているヘッド車はちょっと珍しいトヨタ・セリカGT-FOUR。言わずと知れた、バリバリのスポーツカーですね。新車で購入されてから30年大切に乗っていて愛着もひとしお。他にも英国製クラシックスポーツカーを所有するなど、根っからの自動車趣味人です。
一野瀬さんがトレーラーに出会ったのは、海外でした。オーストラリアに赴任中、会社からマツダ・CX-5が支給されました。これにヒッチメンバーを取り付け、レンタルのキャンピングトレーラーを引いて車旅を満喫したといいます。日本に帰国後もやってみたくなり、セリカ用のヒッチメンバーを特注で造っている会社を見つけて、トレーラーライフに突入しました。
「セリカがけん引に向いていないことは判っていました。燃費も良くないし、MTなので運転も楽じゃないし」
というわけで、実は今、次期ヘッド車探しの真っ最中。自動車趣味人としては、あまり国産車に食指が動かず、最終的にはアルファロメオ・ステルビオとジャガー・Fペースが候補に残っているそうです。さて、一野瀬さんのCX-8の評価はどうでしょうか。
「ディーゼルエンジンって、気持ちよく上まで回らないし、CX-5に乗ってたこともあるので、候補からは外れてましたね」と、これは乗る前の感想です。

CX-8

一野瀬さんの愛車、トヨタ・セリカ+トリガノ・エメロード390。ヘッド車としてはかなりレアといえるだろう

一野瀬さんはヘッド車を探しているので、いきなりトレーラーを連結して走ってもらうことにしました。すると「CX-8は、CX-5を3列シートにしただけだと思ってたんですが、ホイールベースが伸びたせいなのか、走りはまるで別物ですね」とまんざらでもない様子。ホイールベースが伸びたことで、けん引したときの安定感が各段に向上したと感じたそうです。運転してみた結果、車線変更もスムーズで、地方国道のちょっと早い流れにも合流しやすく、トラックの轍(わだち)などがあっても問題ありませんでした。
「こんなにいいとは思わなかったなぁ。ちょっとヘッド車選びが難しくなりました(笑)」(一野瀬さん)

ウワサのマツダ・CX-8でキャンプ用トレーラーをけん引してみる

1時間ほどのドライブを終えた一野瀬さん。「おかげでますます、ヘッド車選びが難しくなっちゃいましたよ(笑)」

ユーザーの意見を取り入れて

今回試乗していただいた、トレーラーユーザーのお二人は、CX-8でのけん引にとても満足されたようです。今回試乗した2200ccディーゼルターボはWLTCモード燃費15.4km/Lと低燃費を実現。さらに、ディーゼルはどうしても好きじゃないという方には2500ccガソリンターボモデルもあり、こちらも420N・m(42.8kgf・m)/2,000rpmという2500ccのガソリンエンジンとは思えない大トルクで、こちらもけん引に向いていそうです。(残念ながらガソリン車にはヒッチメンバーのオプション設定がありません)

CX-8のヒッチメンバー

使用しないときはスッキリと収納されるヒッチメンバー。さすがは純正オプションだ

気になる純正のヒッチメンバーは、配線カプラーは収納式。ボールマウント部のカバーも用意されていて、使わないときには全く目立ちません。外したボールマウントやピンをしまう専用ケースもあって、さすが純正オプションです。CX-8にはヒッチメンバーが用意されているだけでなく、トレーラー・スタビリティ・アシスト(TSA)というブレーキ制御が組み込まれています。段差や風をきっかけに、トレーラーが揺れだすと、それを検知した瞬間にTSAが1輪または4輪にブレーキをかけてトレーラーの揺れを収束させてくれるというもの。「TSAが付いているから万能」とはいいませんが、心強いサポートであることは確かです。

一方で残念なこともあります。純正ヒッチメンバーのけん引可能重量が750kgまでであることです。姉妹車のCX-5は海外では2,000kgのけん引可能重量をもっていますから、CX-8にももっと余力がありそうな気がするのですが。
ただ、ユーザーの意見を取り入れて改善されたこともあります。最初は2インチしか用意されていなかったヒッチボールは、ユーザーの要望により50mmのものが追加で用意されました。全体の販売台数に対して、決して多くはない「けん引需要」でも、このように柔軟にユーザーの声に耳を傾けてくれる姿勢は素晴らしい! 

今後も要望が集まれば、さらに大きな耐荷重のヒッチメンバーが出てくるかもしれません。現在ヘッド車を探している方、トレーラー導入を考えている方。マツダCX-8は要チェックです。

PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。

気軽にお出かけしてほしい ユニバーサルデザインのキャンピングカーに凝らされた様々な工夫

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