インタビュー

伝統的な匠の技から生まれた現代アート 小島奈保子の“切り絵彫刻”

ロンドンを拠点に活動する切り絵アーティスト・小島奈保子さんの作品『BYAKU』が、東京・表参道の「INTERSECT BY LEXUS – TOKYO(インターセクト・バイ・レクサス トーキョー)」で展示されている。レクサスが制作した「匠の技」を収録した動画に小島さんが出演していることから、2013年に制作された作品が初めて日本で展示されることになった。

切り絵は、一枚の紙を切り抜いて描く絵画の技法の一つで、日本では伝統的に一筆書きで描いた線の通りに切り抜く手法が行われてきた。小島さんは、伝統的な手法の平面作品も制作するが、切り抜いた後に透明な糸でつり下げることで立体的に見せている“切り絵彫刻”と呼ばれる作品づくりが高く評価されている。今回展示されているのは、3m×3mの大きさの泳ぐホッキョクグマで、繊細な曲線模様が、水にぬれた毛並みや両手足を動かして進むクマを見事に形づくっている。

小島奈保子

小島奈保子さんと、展示されている作品『BYAKU』

普段はロンドンを拠点に活動する小島さんが、今回の展示のために帰国した機会に、インタビューした。

幼いころから切り絵の魅力にとりつかれた小島さんは、和紙という素材に出会い、切り絵を平面から彫刻へと進化させた。

「はじめは伝統的なものをやっていましたが、自分にしかできない新しいものを生み出して、世に切り絵のよさを伝えたかった。切り絵は一色ですが、どうやったら立体に見えるのかを考えるとすごく面白いです。和紙は1000年もつと言われるほど強いだけでなく、軽くて素晴らしいです。洋紙に比べるとつり下げた紙の動きが全然違いました」

作品のテーマには、動物や自然を題材にすることが多い。その理由を「小さい頃から自然に触れることが大好きで、よく風景や動物を観察していました」と語る。動物を作るときは、動物園に通って、その動物の生活やくせをじっくり観察して、理解してからスケッチを始める。「対象にのめり込まないと作品はつくれないので、いろいろ調べます」。
すべてを“一筆書き”で切り抜く彼女の作品は、失敗が許されない。最初は小さなサイズで作り、イメージを確かめてから実際のサイズで切り始める。

「実際に糸でつるしてみなければわかりません。観察でわかったことを考えながら、関節らしく見える位置に糸をつけていきます。何回か試して、より実物に近づけます。作った後は、重力もまた味になるので、生命があるものや、動きがあるものを作ることが好きです。常にアイデアがたくさんあって、作りたいものがいっぱいありますが、時間がかかるので、すべて実現させることが難しいです」

小島奈保子さん

ドキュメンタリー『Takumi – A 60,000-hour story on the survival of human craft』の一場面(ページTOP写真も、LEXUS提供)

レクサスは、Netflixの人気ドキュメンタリー「Chef’s Table」で注目されたクレイ・ジーター監督に制作を依頼したドキュメンタリー『Takumi – A 60,000-hour story on the survival of human craft(邦題:匠—職人技の存続に関する60,000時間の物語)』を公開している。小島さんは、その中に登場する4人の匠の一人として登場。素材となる和紙の紙すきをしている様子や、紙を切っている美しい映像を背景に、作品づくりや伝統的なものづくりに対する思いを語っている。
このドキュメンタリーは、54分の通常版がAmazonプライム・ビデオやiTunesで配信されており、6万時間に及ぶ長編は専用ページ(www.takumi-craft.com)で公開されている。

伝統的な匠の技から生まれた現代アート 小島奈保子の“切り絵彫刻”

「AI時代に人の手を使うものづくりの『匠』は生き残れるのか」をテーマに制作されたドキュメンタリーの一場面。LEXUS車の最終検査工程を担当する匠(LEXUS提供)

「INTERSECT BY LEXUS – TOKYO」での小島さんの作品の展示は4月23日まで。

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