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素人の“オカン”がデザイン、息子が仕立てる ファッションブランド「RYOTAMURAKAMI」の衝撃

息子が亮太で、母は千明。この2人が作った服が面白くて、気になって気になって仕方ありません。ファッションブランド「RYOTAMURAKAMI」の初期のコレクションです。

写真のモデルは全て男性ですが、実はユニセックスラインもあるブランドで、男子が着ると意外性が強いものの、女子が着たらめちゃめちゃかわいいかも、という服もけっこうあります。

衝撃的な見た目もさることながら、今回お伝えしたいのはデザインの面白さだけでなく、それが生まれた過程というか、家庭というか。

だって、こんなブランドが生まれるこの国には、まだまだ面白いことが起こりそうな気がして、ちょっとうれしくなってしまうから。

素人の“オカン”がデザイン、息子が仕立てる ファッションブランド「RYOTAMURAKAMI」の衝撃

今年で5年目を迎えるRYOTAMURAKAMI。なんとブランド開始から数年、デザインを手がけていたのは、母・千明さん(2018年春夏コレクションからは村上亮太さん単独でブランドを展開)。服づくりを学んだわけでもなければ、デザインのことも、ファッションの世界のことも、何も知らない主婦。いわゆる普通の「オカン」なのです。

そんなお母さんがデザインするブランドが、名だたる有名ブランドと同じショーで発表され、イタリアのデパートでショーウィンドーを飾り、ヨーロッパのコンペティションにノミネート。

なんだかすごい話です……。

素人の“オカン”がデザイン、息子が仕立てる ファッションブランド「RYOTAMURAKAMI」の衝撃

もともと1人で服を作っていた、息子の亮太さん。専門学校を出た後に、アシスタントとして働き始めたブランドが「writtenafterwards」。そして働く傍ら、writtenafterwardsのデザイナー山縣良和さんが主宰するファッションの学校、「ここのがっこう」でも学び始めます。

自分らしい服作りを見つけようと、試行錯誤を繰り返す日々。その中でたどり着いたのが、子どもの頃に着ていた服。お母さんが作ってくれたような服を作る、というアイデアでした。

とはいえ思いついたはいいけれど、なかなかうまくいかずに悩んでいた亮太さん。そんなとき山縣さんがかけた一言が、亮太さんの服作りを一変させます。

「お母さんにデザインしてもらったら?」

亮太さん(左)と千明さん(右)

亮太さん(左)と千明さん(右)

実は、亮太さんは千明さんの作る服が嫌いでした。それを着るのがイヤでイヤでたまらず、ついには不登校になってしまうほど。

なぜかといえば、千明さんが作る服にはリボンが付いていたり、花があしらわれていたり……。つまり“女子っぽい”服だったのです。

千明さんの意図は今でも分からないそうですが、当時小学生の亮太少年にとって、それを着ることは耐えがたい苦痛でした。

逆にわが子が不登校になった理由が、自分の作った服にあったのだと後に知った母は、それから何も作らなくなってしまうのです。

「そんな母との過去を(自分の手で)服にして昇華したい、という気持ちもあったのかもしれない」。千明さんのデザインによる服作りを目指した理由を、亮太さんはそんなふうに振り返ります。

デザイン画からこんな服が生まれます

デザイン画からこんな服が生まれます

「お母さんが作る服」を世界に認められるものにしたい。そのために、かっこいい服にして世に出したい。亮太さんがブランドを始めた背景には、かつて傷つけてしまった母に対する思いがありました。

かくして始まった親子での服作り。その最大の特徴は、創作の過程における発想の飛躍にあると言っても過言ではないでしょう。

ファッションについて勉強をしたこともない千明さん。服づくりの専門知識があるわけでもなく、モードの歴史やトレンドについても知りません。

だからこそ彼女が描くデザインは、服づくりの常識や、ファッションの文脈からはとうてい出てくるはずのない、思いもかけないものばかり。

もちろんそのままでは、服にすることすら難しいものがほとんどです。それをなんとか服の形に落とし込むことによって、人々の想像を軽々と超えるものが生まれる。その破壊力こそが、2人が生み出す服のすごさです。

素人の“オカン”がデザイン、息子が仕立てる ファッションブランド「RYOTAMURAKAMI」の衝撃

(文・千葉敬介 写真提供・RYOTAMURAKAMI)

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