口福のランチ

週3日だけ食べられるランチ 鯛茶漬けに感動「小料理 久原」(東京・渋谷)

渋谷駅から恵比寿方向に歩いて7~8分。「小料理 久原」は、街の喧騒(けんそう)とは無縁の落ち着いた雰囲気の小さな和食店。ランチタイムの営業は、水、木、金の週3日のみ。一番人気の「鯛(タイ)茶漬け膳」と、「鯛刺身膳」「日替わり膳」の3種類で、価格はいずれも1500円。このところランチタイムに鯛茶漬けを出す店が増えたものの、残念ながらこれまでは感動できるほどの店に出合えず、初めて鯛茶漬けのおいしさに開眼したのが、ここ「久原」だ。

すべてのメニューに付いているスープを飲み干すころに運ばれてきた「鯛茶漬け膳」には、ごまだれであえたタイの刺し身、焼いたタイのほぐし身、三つ葉や海苔(のり)、すりたてのワサビといった薬味、小鉢、香の物、あられをあしらったご飯、それに急須に入っただしが付く。

小鉢、香の物、薬味などのバランスもいい「鯛茶漬け膳」

小鉢、香の物、薬味などのバランスもいい「鯛茶漬け膳」

お店のおすすめの通り、まずは、たっぷりのごまだれをまとったタイの刺し身を一枚ご飯にのせてそのまま一口。しっかりと厚みのある切り身は、たれの塩気によって身が締まって想像以上にねっとりとして、たれのインパクトに負けないうまみがある。このまま最後まで食べ進めたい欲求を抑えつつ、今度は刺し身をたっぷりとご飯にのせ、タイの頭やアラから取っただしに、かつおだしを合わせた熱々の特選だしをかける。半生になった刺し身もうまいが、ごまだれの溶け込んだご飯も最高だ。

たっぷりのごまだれであえた刺し身はそれだけ食べてもおいしい

たっぷりのごまだれであえた刺し身はそれだけ食べてもおいしい

さっと1杯目を完食したら、ご飯を少しだけおかわりして、今度はほぐし身と薬味をのせ、2杯目の茶漬けへ。刺し身とはまた違うさっぱりとした味わいで、だしのおいしさをたっぷりと味わえてこれまたうまし。

なんといってもタイそのものがうまいのだ。天然物にこだわり、全国からその時期に一番おいしいものを仕入れる。タイが主役の鯛茶漬けなのだから、タイがおいしいのは当たり前と言えば当たり前かもしれない。刺し身好きとしては、茶漬けにするのは少々もったいない気がしていたが、ここにきてその誤りに気づかされた。

「鯛刺身膳」のタイの刺し身も身が締まっていておいしい

「鯛刺身膳」のタイの刺し身も身が締まっていておいしい

料理長の久原大助さんは、精進料理、懐石料理などの店で20年の経験を経て、妻・徳子さんと2人で2010年にこの店をオープン。以来、夫婦の二人三脚で切り盛りしている。米をはじめ、夜に提供する厳選素材をそのまま使うため、この値段を維持するのは厳しいのが現実。一時期ランチ営業を休んだこともあったが、客から強い要望があり、復活させたのだそう。

「我が家にお招きしているような居心地の良さを大切にしています」と、女将の徳子さん。「器も、名のある作家のものもありますが、高級品だけではありません。なんでもやり過ぎるとくつろげませんから、ちょうどいい加減を心掛けています」という。“ちょっと贅沢(ぜいたく)“なランチが食べたくなった日に足を運びたい、大人の渋谷が味わえる店だ。

明治通りから少し路地を入ったところにある静かな店

明治通りから少し路地を入ったところにある静かな店

小料理 久原(くはら)
東京都渋谷区東2-25-38
03-6427-7877
http://k-kuhara.com/

PROFILE

森野真代

ライター&エディター。徳島県出身。外資系ジュエリーブランドのPRを10年以上経験した後にフリーエディターに。雑誌やWebを中心に、旅、食、ファッションなどをテーマに執筆中。無類の食べもの好きでもあり、おいしい店を探し当てる超(?)能力に恵まれている。自分の納得した店だけを紹介すべく、「実食主義」を貫く。酒好きが高じて「唎酒師(ききさけし)」を取得したが、おいしいワインの探索にも余念がない。

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