<FOCUS>DAZN解説者の視点

メルセデスとフェラーリの伝統の対決に、レッドブル・ホンダは割って入れるか 小倉茂徳さんのF1の見どころ解説

DAZNのさまざまなスポーツ中継の解説者の皆さんに、各競技の魅力や今季の見どころについて聞く企画。前回のプロ野球に続き、今回のテーマは、ホンダがエンジンを供給するチームが二つに増えて国内での関心も高まっているF1です。取材経験豊かなモータースポーツジャーナリストの小倉茂徳さんにお話を伺いました。

(TOP:中国GPで先頭を走るメルセデスのルイス・ハミルトン=AP)

インタビューしたのは、今季の第3戦中国GP決勝が終わった直後。開幕からメルセデス・ベンツが3戦連続で1、2位を獲得した序盤戦の分析や、ホンダエンジンを積むレッドブルとトロロッソの気になる2チームについて、さらにF1のどこに注目すると楽しめるのかまで、幅広く語っていただきました。

――開幕から3戦続いてメルセデスが1、2位を占めています。この結果と、今シーズンのこの先の展開についてどのように見ていますか?

小倉 シーズン前のスペインのカタロニア・サーキットで行われたテストの結果を見ると、フェラーリが強いのではないかと思っていました。ストレートでの速さはメルセデスを上回っているように見えました。もちろんメルセデスも強いとは考えていましたが、柔らかいタイヤを使ってテストしていなかったので未知数の部分がありました。今季は、昨年よりもさらにメルセデスとフェラーリの差が縮まって、互角に近いのではないか。そう期待しました。

実際にシーズンが始まってみると、初戦はバルテリ・ボッタスが強さを見せて優勝しましたが、2戦目はフェラーリのチャールズ・ルクレールがもう少しで初優勝を飾る直前に、マシンのトラブルに泣きました。そして、上海ではメルセデスが車の速さ、信頼性、タイヤ戦略のすべてで思い通りの結果を出して1、2フィニッシュでした。

3戦までの結果を見ると、ポイント差ほどメルセデスがフェラーリを圧倒してはおらず、近いところで争っていますが、やはりメルセデスは総合力でフェラーリを上回っていると言えると思います。

中国GPはF1にとって1950年の最初の世界選手権レースから数えて1000レース目の記念すべきGPでした。実はメルセデスとフェラーリは、GPが世界選手権となる前の1930年代にも激しく優勝を争いあったライバルでした。プロ野球でいえば巨人阪神戦とも言える伝統の戦いがまた繰り返されていると思うと、感慨深いですね。

両チームの戦いも面白いですが、二つのチーム内のドライバー同士の戦いも白熱していて見応えがあります。

小倉茂徳さんのF1の見どころ解説

――上位2チームとも、2人のドライバーのどちらをエースとして扱うのか悩ましいシーズンになりそうですね。

小倉 5回のチャンピオンを獲得しているルイス・ハミルトンがメルセデスのエースでしたが、今年はボッタスが非常に調子が良いです。フェラーリでも、2戦目で見せたルクレールの走りは、こちらも昨年までエースドライバーだったセバスチャン・ベッテルを上回っていました。1980年代末にマクラーレン・ホンダのアイルトン・セナとアラン・プロストがチーム内でしのぎを削ったように、同一チーム内での競い合いがあると、チーム全体が高みを目指すようになり、レースも面白くなります。シーズンの中で、メルセデスもフェラーリも、ドライバー2人にどのような指示を出すかで迷う場面があるでしょう。

――その2チームを追いかけるレッドブル、そして昨季からホンダとパートナーを組んでいるトロロッソの調子はどうでしょうか?

小倉 レッドブルとホンダの関係は蜜月と呼んでよいと思っています。カタロニアのテストでも順調でした。一昨年までのマクラーレンとホンダの関係とは違います。ハミルトンは「メルセデスとレッドブルの差は10馬力以内まで迫っている」と言っていました。本当にそこまで差が縮まっているかはわかりませんが、ほぼエンジンの力がそのまま表れると言っていいストレートスピードを見れば、ホンダエンジンが確実に進化していることがわかります。

中国GPでは優勝を争うことはできませんでしたが、これはもともと空力に優れている代わりに風の影響を受けやすいレッドブルのマシンが、当日の強風に苦しんだ可能性もあります。次戦のアゼルバイジャンは長いストレートと、曲がりくねったカーブが合わさったサーキットです。そこでどれだけメルセデスとフェラーリに迫れるかに期待したい。どこかのGPで優勝する可能性は見えてきたと思います。

小倉茂徳さんのF1の見どころ解説

中国GPでレッドブル・ホンダのマシンを駆るマックス・フェルスタッペン=AP

トロロッソとホンダの関係も昨季からとても良好です。昨年は、必ずしも満足のいく成績ではなかったでしょうが、これはエンジンだけではなくて、マシン側にも問題があったとトロロッソのチーム関係者が話していました。トロロッソとレッドブルはともにドライバーの成長が楽しみなチームでもあります。

歴史を振り返ると、ホンダは参入から結果を出すまでに5年間ぐらいかけています。F1はすべてを自分たちで開発する競技で、時にはライバルのまねから始めた方が近道になることもありますが、ホンダはそれをしません。それだけに結果が出るまで時間がかかるのですが、独創的な技術で勝てるようになった時には、ライバルは簡単にはまねできなくなるのです。今年10月の日本GPまでにどこまでホンダエンジンが進化を遂げているかも楽しみです。

小倉茂徳さんのF1の見どころ解説

――今からF1を見ようとする人は、どこに注目すると楽しいでしょうか。その魅力を教えて下さい。

小倉 いまのF1マシンは、排気量1600ccのV6ターボのハイブリッドエンジンを小型軽量化して搭載して、 ルールで決められた量の燃料からより多くのパワーを取り出すために効率をとことん追求しています。その結果、ガソリンエンジンながらディーゼルエンジンに優るとも劣らない効率を実現しました。より少ない燃料からより多くのパワーを取り出すというこの最先端の技術は、近い将来、一般の乗用車にも還元されていくはずです。そこに、メルセデスやフィアットグループの一員であるフェラーリといった自動車メーカーが参加する意義があるのです。

そして、ちょうど1000レースを迎えた歴史と伝統があります。欧州発祥のスポーツであるため、やはり格式を重んじる部分もあり、そこでタイトルを獲得することは最大の名誉となります。だからこそ世界最高のドライバーたちが集まるのであり、メーカーも力を入れるのです。

いまは年間21戦あって、世界中のサーキットで開催されます。新しいサーキットは国際自動車連盟の基準を満たすように設計されているのでどこか似ていますが、モナコを代表とする歴史のあるサーキットは本当に独特な雰囲気があります。ナイトレースも行われています。

DAZNの中継映像では、時折空撮映像でサーキット周辺の景色や街の様子を映してくれますが、それを見ていると海外旅行をしているような気分になれると思います。

美しい景色の中を最先端のマシンが高速で走る姿を楽しめる一方で、それを運転するドライバーや、運営するチーム、宇宙ロケットのミッションコントロールのようにレースの戦略を立案実行するエンジニアたち、整備するメカニックたちそれぞれに泥臭い人間ドラマがあります。その対比がF1の最も大きな魅力です。

時代は変わっても、F1の魅力は変わりません。かつて見ていた方たちにも、DAZNで中継している他のスポーツを見たついででもよいので、もう一度F1を見てほしい。まだ見たことがないという世代の皆さんにもF1を見てほしい。レースを見れば、その面白さに改めて気づいていただけるはずです。

F1ファンの方には、F1ZONEもおすすめです。車載カメラの映像と、それぞれのクルマの位置やラップタイムを同時に見ることができるので、チームの戦略や今後の展開について考えながら観戦できると思います。

小倉茂徳さんのF1の見どころ解説

(文/&M編集部、写真/野呂美帆)

■プロフィール
小倉茂徳(おぐら・しげのり)
モータースポーツジャーナリスト・解説者。鈴鹿サーキットと同じ1962年生まれ。1987-88年ホンダのF1チームの広報スタッフとしてF1を転戦。以後、現職に。子供向けにレーシングカーの仕組みと面白さを伝えながらSTEM教育への入り口となるレクチャーも行っている。

■「DAZN」について 「DAZN(ダゾーン)」は、スポーツファンが好きなスポーツを、いつでもどこでもお楽しみいただける、スポーツ・チャンネルです。明治安田生命Jリーグやプロ野球をはじめとする国内コンテンツに加え、アメリカのメジャーリーグや、UEFAチャンピオンズリーグ、プレミアリーグ、ラ・リーガ サンタンデール、セリエA TIMなど欧州サッカーも放映しています。さらにF1™、テニス、バスケットボール、格闘技など、130以上のコンテンツ、年間10,000試合以上を提供し、「スポーツの新しい本拠地」として世界最高峰のあらゆるスポーツの興奮をお届けします。月額1,750円でライブ中継のみならず、見逃し配信やハイライト、特集番組などのコンテンツも見放題。テレビ、スマートフォン、PC、タブレット端末、ゲーム機などマルチデバイス対応しており、いつでもどこでも、ワンプライス・ワンプラットフォームでスポーツ観戦をお楽しみいただけます。日本、ドイツ、オーストリア、スイス、カナダ、イタリア、アメリカ、スペインの世界8カ国で展開しており、 世界的スポーツメディアグループDAZN が提供しています。

DAZN:https://watch.dazn.com/ja-JP/watch-dazn/

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