インタビュー

「人生がフリーアドレス」 広い空間での一人作業で成果を出す落合陽一さんのパーソナル空間

メディアアーティストであり、光や音の波の計算機制御を専門とする研究者・教育者である落合陽一さん。今年1月には写真家として個展を開き、3月には米国で開催された音楽とテクノロジーの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」で日本館「New Japan Islands」のディレクションを担当するなど活躍の場を広げている。テレビ出演や講演も加わり、早朝から深夜までスケジュールが埋まる落合さんは、普段はどんな場所で仕事をしているのだろうか。そのアウトプットを生み出す集中力はどのように生み出されているのか。インタビューで産学連携のテックカンパニーを経営する落合さんの仕事の流儀を探った。

 

――落合さんにとって仕事に集中できる空間とはどんな場所ですか。研究者、メディアアーティスト、本の執筆、それぞれ作業の内容によって仕事場は変えていますか。

落合 研究論文を書くときは、うーん、たとえば書くだけのフェーズになっているときは温泉にいることが多いですね。温泉だと執筆がはかどります。メディアアートの作品を考える時は、自宅か旅先が多いですね。自宅には一応工作ができる環境があります。それ以外の実験や開発は大学がほとんどですね。

 

――その中で一番集中できる場所はどこでしょう

落合 ラボにも会社にも僕の机はありません。いわゆるフリーアドレス。どうしてかというと、本当に集中が必要な仕事は、1人だけの空間でしかできないからです。だから研究ネタを考えたり論文執筆や著作やコンテ描きのような、最高に集中しないとできない仕事をする時は、だれもいなくて、なおかつ一定の広さがある部屋を探してそこでやります。

椅子に座ってじっとしていると何も思いつかないので、その辺に寝転がったり、机の位置をずらして考えごとをしていることが多いです。温泉旅館が好きな理由も、畳だと床のどこにでも座れて、横になれるからです。

雑音が欲しいときはカフェで仕事します。note(編集部注:ブログサービス)やサロンに投稿する文章を書くときのような、「この人ならどう考えるかな」ということを考えるときは、人の顔が見えたほうがいいのでカフェでやります。でも、自分の内面に入っていくときには、外側に広いスペースが必要になります。僕は考え事を始めると、急にふらっと部屋からいなくなりますが、妻はよく理解してくれています。

 

――だれかが隣にいると仕事にならないとなると、一般的なオフィス環境で仕事するのは難しそうです。そして、一定の広さも必要条件なんですね。

落合 真横に人がいたら、無理です無理。たぶん原稿は5文字ぐらいしか書けないですね(笑)。ずっとツイッターを見ていると思います。そして「人間のパーソナルスペースは人それぞれ決まってるんだと思う。」ってツイートして終わり。

やっぱり仕事に集中するには、ある程度の広さも必要ですね。僕の場合は、居心地のいいサイズは、いま話しているうちに考えたらだいたい見えてきて、横7m、縦8mくらい。60平方メートル弱あれば落ち着けるんじゃないかな。これはなぜそうなのかというと、僕の実家に、半分洋室で半分和室の広い地下室があって、小学生の時からずっとそこで1人で作業をしていたからです。受験勉強も、大学に入ってからのいくつかの研究もそこでやりました。1人になれる場所で集中する習慣が染みついて、そうでない環境に耐えられなくなったのだと思います。

 

――1人で作業できることと、部屋の広さ以外にも、仕事に集中するために必要な条件はありますか。椅子や机の好みは?

落合 集中に必要なものは、締め切りです!(笑)。机や椅子にもちょっとこだわってみたこともあるのですが、あまりクリエーティブに結びつきませんでした。良い机や椅子は、きっと長時間そこにいたい人のためのもので、僕は1時間や2時間ごとに居場所を変えたいタイプなので、あまり必要ありませんでした。

落合陽一さん

――音楽を聞きながら仕事をすることはありますか

落合 完全な静寂だと逆に集中できないので、何か音が聞こえているほうがよいです。温泉に行くと言いましたが、部屋に温泉がついていると、室内にぴちゃぴちゃ音が鳴っていてちょうどよい。

僕は秋葉原に住んでいますが、始発から終電まで京浜東北線とか山手線の電車の音がずっと聞こえてくるんですよ、カタンコトンって。あれが結構好きです。電車の音は落ち着きます。あの音がしなくなると夜だなって感じます。

飛行機の中も好きな場所の一つで、それはノイズキャンセルのヘッドホンをしていれば騒音がほとんど打ち消されて、若干のノイズだけになって、1人だけの空間のように思えるからです。それぐらいがちょうどよい。

一時期高性能なホームオーディオを自宅に導入していましたが、いいスピーカーがあってもなぜか使っていません。楽器はいろいろ弾けますし、音楽は好きなのですが、結局、いつもヘッドホンで音楽をめっちゃ聴いてます。

僕にとっては音楽は身体と結びつきやすいもので、体の中から音が鳴っていれば「オレはいま音楽になっている」と思えますが、体の外で音楽が鳴っていると、音楽を聴いている自分、というものを意識してしまって気が散るのだと思います。

 

――働き方の未来像について伺います。いまはまだオフィスにみんなで出勤して仕事するやり方が中心ですが、フリーアドレスが発展して、オフィスの外で自由に仕事ができるようになるでしょうか

落合 好きなところに行って、好きなようにやればいいんじゃないですかね。僕はさっき言った通りだけど、たぶんちょっと狭いほうが落ち着くという人はいっぱいいると思います。

みんな個別に好きな広さがあって、好きな音の環境もあると思ってます。僕は空間は広いほうがいいし、音はあまりしないほうがいい。でも、例えば匂いがするものを出してみたりとか、音楽をかけてみたりとか自分の好きなようにデザインすればいいのではないでしょうか。

 

――仕事の打ち合わせはアプリを使ってすることが多いですか

落合 打ち合わせは、ほとんどネットの会議アプリを使ったほうが、早く終わる気がしています。そのほうが用件が終わったらすぐやめますよね。そのほうが僕は好きなので、学生さんとミーティングするのもほとんどそうかな。面と向かうと“圧”が出るので口にしづらいこともありますが、画面越しだと圧はないので、はっきり言えます。

ただ、プライベートなことを含む相談とかモノがないとだめな時は直接会って話すことにしています。やはりそうした情報を引き出すことはネット経由では難しいですし、そういう話の時は、向き合った相手の様子や服装から得られる情報も必要になります。

落合陽一さん

――仕事で使う道具へのこだわりはありますか。

落合 よくガンダムのことを考えながらこういう話を聞いているんですけど、量産型ザクで良い人と、ガンダムじゃなきゃいけない人がいると思っています。僕はツールに関しては量産型ザクで何とかしちゃうタイプです。量産性が高いものが好きなんですよ。

よくモノをなくすので、2、3個は予備を持っていないとだめなのですが、入手が困難なものを使うとそれができません。オールドレンズは入手が難しいですが、カメラのボディーは同じモノで大丈夫で、仕様が違うものをいくつも持ってます。

ノートPCとかタブレットも同じ型を複数台持ってます。中のアプリはけっこうカスタマイズしていますが、デバイスそのものは量産品でかまいません。タブレット用ペンシルも一度に2、3本買いました。コネクターもいつも四つくらい持ち歩いてます。

 

――シャア専用ザクはいらないんですね。

落合 あまり要らないですね。ツノを付けてカラーリングを変えるぐらいならいいですけど。あれはシールを貼ったタブレットのようなものだと思います。ザクをちょっと改造しただけ。元がガンダムだとそれが壊れたらおしまいなので、一点物はできるだけ避けたいですね。洋服もプレタポルテです。量産されているものを使い古すことで自分っぽくなっていくほうが好みです。

 

――仕事に必要な空間・ツール、それぞれにこだわりをお持ちですね。

落合 こんなことを聞かれたのは人生で初めてでしたが、改めて思い直したら、いろいろなこだわりがありました。パーソナルスペースは、人それぞれ、育った環境や受けた教育に応じて決まっているものだと思います。改めて考えてみると面白いですね。

 

――テクノロジーの進歩で、空間のパーソナライズは可能になるでしょうか

落合 照明は好みに応じて変えられると思いますよ。窓は、LEDディスプレーだったら成立するかどうかは、8Kのものを実際にはめてみないとわからないけど、自宅に8Kのモニターを置いてみたら、“窓”感はありました。好きな景色を表示させることはできますよね。あとは奥行きが感じられるかどうか。

僕は明かりは暖色光じゃないとダメで、蛍光灯がついていると消します。ちっちゃい頃から白熱電球の明かりで育ってきたからかな。実家の地下室が全部白熱電球だったんです。なので、蛍光灯の白色の光が紙に反射していると嫌になっちゃうので、家では消すんですよね。家に帰るとだいたい妻が蛍光灯をつけているので、すぐ僕が消してしまいます(笑)。

葉巻を吸うので、猛烈に吸ってくれる空気清浄機を使うのは快適です。昔はあふれた本を床の上に積んでいたので、ほこり対策で空気清浄機が必要でした。本はまとめて処分したのでもう床には積んでいませんが。

落合陽一さん
(構成・&M編集部/撮影・花田龍之介)

 

パーソナル空間のための空気清浄ファンが登場

 

「人生がフリーアドレス」 広い空間での一人作業で成果を出す落合陽一さんのパーソナル空間

ダイソンは4月17日、空気清浄ファンのシリーズで初の個人向けとなる新製品「Dyson Pure Cool Me」を発表した。

ダイソンの調査では、室内の空気は、洗剤・塗料・消臭剤などに含まれる揮発性有機化合物、調理の煙、ペットのフケなどによって汚れており、場合によっては屋外より5倍以上汚染されていることがあるという。

必要な方向に正確に風を当てることができ、密閉性の高いフィルターによって微小な粒子を99.95%除去する機能は、ビジネスパーソンのデスクやベッドサイド、書斎などさまざまなパーソナル空間で活躍してくれるはずだ。

&M編集部は、発表に合わせて来日したダイソンの空調家電製品開発責任者ドミニク・メイソンさんに、パーソナル空間に最適化された製品の特徴や開発の舞台裏を聞いた。インタビュー記事はこちら

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「Dyson Pure Cool Me」の製品詳細ページはこちら

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