密買東京~遭遇する楽しみ

本物の壁が朽ちていく美しさを表現 異色のカバン「コシブクロ」

ガシャガシャと音を立て、たくさんの道具を腰にぶら下げる職人たち。

そんな職人の装備、通称「腰袋」をモチーフに作られたのが、カガリユウスケのカバン「コシブクロ」です。

中に収められるのは、ハンマーやレンチではなく、スマホにICカード、ペットボトルや鍵など、都市で生きるためのツールたち。

しかもそんなツールを装着する機能をパーツに分解し、ひとつひとつを着脱可能にしているのです。

ベースとなるショルダーバッグに、都市で生活するためのツールを装備するパーツを取り付けて使う「コシブクロ」

ベースとなるショルダーバッグに、都市で生活するためのツールを装備するパーツを取り付けて使う「コシブクロ」

「ドダイ」と名付けられた、ベースのショルダーバッグにパーツを装着して、使い方に合わせてカスタマイズを楽しむこのプロダクト。

パーツは11種類。大きく分けて2タイプあって、1つは金具で装着する小さいタイプ。ドダイに「カラビナ」と呼ばれるパーツを取り付け、それに金具で装着します。

「コイン」「ライター」「ペットボトル」「パス」「タブレット」「リールキー」という6種類がそれです。ちなみにここで言うタブレットとは端末ではなく、ミントの方。

もう1タイプが直接ドダイに装着するパーツで、「スマホ」「ノート」「ペン」「シガレット」がこのタイプ。ドダイのベルト部分に取り付けられるようになっています。

さらにこのタイプには、他のパーツを取り付けられるものもあって、例えばノートにペンを付けたり、シガレットにライターをつけたりすることも可能。

ドダイ以外にも、ベルトに付けたり、他のカバンに付けたりと、使い方のレパートリーはかなり広がります。

11種類のパーツの中から、必要なものを組み合わせる(写真提供・カガリユウスケ)

11種類のパーツの中から、必要なものを組み合わせる(写真提供・カガリユウスケ)

このプロダクトを作っているのはカバンのブランド「カガリユウスケ」。初めてこのブランドを見る方は、機能以上に、気になるポイントがあるかもしれません。

それは素材の質感。革製のカバンからイメージするものとはかけ離れた、ゴツゴツ、ザラザラとしたその見た目、手触りです。

これは革の上から建築用のパテを塗り重ねて仕上げたもの。「壁を持ち歩く」というブランドのコンセプトをそのままに、本物の壁のような質感のカバンを作り上げるのが、カガリユウスケの特徴です。

左からホワイト、ブラック、都市型迷彩の3タイプ(写真提供・カガリユウスケ)

右からホワイト、ブラック、都市型迷彩の3タイプ(写真提供・カガリユウスケ)

建物の壁が、風雨にさらされてその姿を変えていくように、体や衣服、物などと接触することで、カバンの風合いは徐々に変化し、まるで何年もの歳月を経たような表情を手に入れます。

さらにこのシリーズには、長い時間をかけて風化したような表現があらかじめ施されたタイプ「都市型迷彩」もあります。

数十年から百年ほど経ったのではないかと思わせるような、深く刻まれた風化を感じさせる表情。それをさらに日々深化させていく楽しみを、ぜひ味わってほしいところです。

建設現場をテーマにした「under construction」というコレクションで発表されたコシブクロ(写真提供・カガリユウスケ)

建設現場をテーマにした「under construction」というコレクションで発表されたコシブクロ(写真提供・カガリユウスケ)

このカバンはカガリユウスケの「under construction」というコレクションで発表されました。

文字通り工事現場をモチーフにした商品の数々によって構成されたコレクション。壁や都市を題材に制作を続けるカガリくんにとって、工事現場はまさに心浮き立つ憧れの対象です。

構造体が築かれていく現場に生まれる、カオスとエネルギーに魅了され、それを創作への原動力へと変換するカガリくん。

建物はいずれ完成の時を迎えますが、それは同時に風雨にさらされて汚れ、傷つき、ゆっくりと朽ちていく時間の始まりでもあり、経年変化によって生まれる美しい姿を心待ちにする彼にとっては、理想の状態に向かう長い道のりのスタート地点といえます。

考え方によっては、都市はどこを切り取っても常に「under construction」であり、このコシブクロはまさに“現場”を象徴するプロダクトともいえるのかもしれません。

(文・写真 千葉敬介)

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